好きな映画の話
私は『グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち』という映画がとても好きです。
今日は、主人公ウィル(マット・デイモン)と親友チャッキー(ベン・アフレック)の友情について思ったことを。
(この役者の組み合わせがたまらんですよね…!二人がかつて親友で、一緒に脚本を書いたとか…!)
【『グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち』】
【男の目線】
同じくこの映画ファンの男友達がいました。それで、この映画について色々と話していると、彼曰く、
「チャッキーが廃工場でウィルに、
『お前がもし10年後までこの解体業をやっていたら俺は殴る。俺はこれでいい。でもお前は宝くじの当たり券を持っている。それを換金する義務がある。俺はお前を朝迎えに行って、出てくるのを待つ10秒間が好きだ。お前はもうどこかに行ってしまって、出てこないことを期待している。』
と語るところが、ものすごくいい」と。
しかもチャッキーは、本当にウィルが何も言わずにいなくなった時、笑ったろう?、と。
これぞ男の友情だ、と。
(ここで言う「宝くじの当たり券」とは、ウィルの数学的才能のことです。才能があるのに、自分の生い立ちや経験のなさを恥じるプライドのせいで、挑戦をせずにこの町でのうのうと生きようとするウィルに、チャッキーがかけた言葉。)
【女の目線】
確かに私も、ラスト近くのシーンでチャッキーがウィルを迎えに行って、家には誰もいなくて、車に引き返すチャッキーの笑顔が素敵だと思いました。
悲しんだりしないんだなぁ、それって、誰よりも彼の可能性を信じているということ。
(そして、その後に「え、ウィルいないの?じゃあ俺が助手席座る!」と無邪気に席を移動する男の子の単純さもなんか、いいです。そうしてウィルがいなくても続いていく楽しい日々、というのも、いい。)
【『女の子ものがたり』】
それから十数年後に観た『女の子ものがたり』という映画で
あーこれは女の友情だなー、だいぶ形が違うんだなー、と思ったことがありました。
『女の子ものがたり』でも、主人公なっちゃんと親友きいちゃんの別れのシーンがあるんですが、その別れ方はけっこうすさまじいものでした。
きいちゃんは、なっちゃんを突き飛ばして、『あんたなんか嫌い!この町を出ていけ!』と、ものすごい形相で叫びます。
(きいちゃん役の波瑠さんがとてもいいです)
ここだけ見ると、女って今まで仲良くしてた相手によくそこまで言えるなー!という感じかもしれませんが、違うんですよね。
その前のシーンでなっちゃんは、もう一人の友達にお金をせびられていたり、
高校生の時になっちゃんは、近所のプレハブの壁一面に絵を描いていたり(その集中力はすごい)、
きいちゃんはなんだかあまり幸せそうじゃない結婚をしていたり、
色々な前振りがあって。
『出ていけ!』と鬼のように叫ぶきいちゃん、そのセリフは
『なっちゃんはこの町に流されないで!』と言っているように聴こえるんです。
なっちゃんは友達を大切に思っているから、
もしきいちゃんが、なっちゃんの手を握り締めて『なっちゃんは都会に行って絵を勉強するべきだよ』と言っても、
なっちゃんはその手を握り返してずっとそこにいてしまうように思います。
今すぐ、それも確実に、この町を捨てさせるには、
親友に『お前なんかずっと嫌いだった!』と言われるのが、近道なんですよね。
だんだんお互い大人になって、状況が悪くなる一方の町で、
『あなただけでも自分の道を行ってくれ』、と、
『早くしないと私たちがあなたを日常に巻き込んでしまう』、と、思うことがたくさんあるのに、
それをただ『嫌いだ!』と叫ぶきいちゃんに、女の友情を感じました。
この映画は西原理恵子さんの自伝的映画ということで、今の西原さんを見ると、なっちゃんがちゃんと絵の世界で成功したことが分かります。
(映画の中でも「現在」のなっちゃんは漫画家になっています。)
ラストのきいちゃんの様子にはショックで、(ネタバレになるので書きませんが)
「そこまで描かなくていいだろう西原さん…」と思いもしたんですが、
(『グッド・ウィル・ハンティング』の希望に満ちたラストとは全然違う。
あっちは「その後」なんて描きません。ここも男女差でしょうか)
でも女ならではの「思いの残し方」があって、それはとある名前に表れていて。
きいちゃんはなっちゃんを大好きだったことが、腹の底から実感できるんです。
このへんの運びもすごくいい。
個人的感想ですが、この二つを合わせて観ると、友情についての考え方が変わるかも。
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