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谷川俊太郎さんの詩のご紹介その3。「芝生」

谷川俊太郎とかないくん

興味深い記事を見つけました。

 

「死んだら、もっとよくモーツァルトが聴けるかも」 - 谷川俊太郎さんが語る、死についての考え方 | マイナビニュース

 

これは谷川俊太郎さんの死生観についてのインタビューです。渋谷のパルコミュージアムで行われていた「かないくん展」は6月2日までだったみたいですが、行った人羨ましい…。地方には来ないのかな。

絵を担当しているのは、『ピンポン』の漫画家・松本大洋さん。

ピンポン 文庫版 コミック 全3巻完結セット (小学館文庫)

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谷川さんが一晩で文章を書き、松本さんが二年かけて絵を描いたという絵本『かないくん』は、糸井重里監修作品です。かなり装丁が凝っているらしい。

 

かないくん (ほぼにちの絵本)

かないくん (ほぼにちの絵本)

 

 

かないくん - ほぼ日刊イトイ新聞

 

谷川さんのインタビュー 

(インタビューより)

「死ぬというのは肉体を置いて身体を脱ぐことになる」と考えると、だんだん「じゃあ残るのはなんだ」と思うようになりませんか?(中略)

どこまで自分の記憶が残るのかはよくわからないんだけど、何かは残る、何かを感じるだろうなって思いますけどね。だから、今は死も一種の楽しみになっています。「どうなるのかな」という好奇心があるから。

 

死すらも楽しみだと言ってのける谷川さん、強いなぁと思います。

 

この中で谷川さんが「今までのお仕事の中で、気に入っているものはありますか?」という質問に対して答えた、

詩の中でいえば、『芝生』という詩は自分で「これはいい」と思っています。生まれ方が特別だったものだから。

 

『芝生』という詩をご紹介したいと思います。

 芝生
  
そして私はいつか
どこかから来て
不意にこの芝生の上に立っていた
なすべきことはすべて
私の細胞が記憶していた
だから私は人間の形をし
幸せについて語りさえしたのだ

 

唐突に「そして」で始まって、「どこか」と今いる芝生の対比、「細胞」が覚えている「だから」私は「人間」であるということ。

「人間」であるから幸福について語り「さえ」するということ。

簡単な言葉ですが、どれもこれも深いなと思います。細胞が何を覚えているのか、このあたりが解釈の鍵でしょうか。

谷川さんがインタビューで話している「生まれ方が特別だった」というエピソードを調べてみたんですけど、私がネットで検索した限りでは見当たりませんでした。どういう生まれ方なのか、気になります。

 

 

この『芝生』という詩は、HALCALIの曲に乗せて谷川さんが朗読していることでも有名です。

音樂ノススメ

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『芝生』が収録されている詩集はこちら。去年こんな自選集が出ていたとは知らなかったので、今度買ってみようと思います。

自選 谷川俊太郎詩集 (岩波文庫)

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