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『本で床は抜けるのか』を読んで、ノンフィクションでは初めての衝撃を味わった!

ノンフィクションで面白かった本 

あえてのノンフィクションを。『事実って小説よりすごいのね…!!』と驚愕するほどの衝撃でした。

その本は、こちら。

「本で床は抜けるのか」

本で床は抜けるのか

本で床は抜けるのか

全然知らない作家さん…どうやらライターさんが書いたようです。ノンフィクションをここ数年から読み始めた私は知らなかったけど、領土問題を中心に長く活動されているようです。

この題名、気になりますよね!!!死活問題ですからね!!

私も個人的に、実家の父親の書斎がいつか1階の台所に落ちてくるんじゃないかとハラハラしていることもあり、自分の部屋での本の置き方にも気を配って配置をしているところなので(引っ越して二ヶ月経つけどいまいち配置が決まっていない)、題名だけで即買いしちゃいました。

内容紹介(ネタバレなし)

結婚にあたって、仕事場を木造アパートに移転した著者さん。資料本を全部運び込んでみると「…これ、床大丈夫?」っていう有り様に。なんせ資料を大量に必要とするノンフィクションライターなので、その重量がハンパない。そこでこれを「床抜け問題」と称して取材を始めます。

SNSなどで意見を募ったところ各種専門家から正反対の意見が出てきたり、実際に床が抜けた体験談がぞくぞくと集まり…。

それぞれの人にインタビューを実際に行いながら自分の家も改善しようと試みる著者さんの考察は、書斎について、地震について、持ち主死後の本について、自炊(電子化)について、マンガの「館」について、色々な問題に切り込んでいきます。脱線の逸話が多いけど、これが面白かったです。

 

その人が集めた本というのはその人の人となりを示す、そしてその集め方にも生き様が見える。

 

『困ってるひと』の大野更紗さんが出てきたり。この人は人生すべてがサバイバルなので考え方も独特。本の電子化に抵抗が少ない若い世代代表です。 

困ってるひと (ポプラ文庫)

困ってるひと (ポプラ文庫)

みんながみんな「書庫」を持てればいいんだけど(実際に作ってしまった人も出てきます)、維持費や土地の問題からそうできるわけもなく。

 

「自炊」してみたはいいけど結局読み返さなくなって後悔している人、親から数万冊という莫大な本を残されたけど価値があるのかないのかも分からず途方にくれている人。そもそも作家の遺族めっちゃ困ってる。私だって今父に死なれたらすごく困る(作家じゃないけど)。資料として寄贈するにも、受け入れてくれる施設を探さなければいけない。散逸させてしまうと価値が減ってしまう…苦悩しておられます。

 

様々な人が抱える、「本をどう保存するのか」問題。

本好きなら一読して損はない内容だと思います。

以下、少々ネタバレ

題名は『本で床は抜けるのか』ですね。これについての答えは、「1万冊以上あって、木造の家の二階以上で、変な置き方をして、壁や床に何らかの問題があれば抜ける」という感じのようです。

あくまでケースバイケース。もし数万冊あったとしても、自分で補強したり、大工さんに専門の施工をしてもらえば最悪の自体は防げる、らしい。

数百冊規模なら抜けないようなので、私としてはホッとしました。

 

題名が少し煽り気味で、それ以外の逸話の方が面白いなと感じるところもありました。あくまでグレーゾーンの「自炊代行者」について、「少女マンガ館?」における女性の生き方との関わりについてなど。

ただその分、話題が分散されていて読みにくい感じもありました。題名通りの「床抜け問題」よりも、本を所蔵することに関するetc、という感じの本です。

 

そして読み進めていて衝撃だったのが、著者さんの生活についてです。

題名についての答えが、この著者さんの場合「本で床は抜けないけど、結婚生活は破綻する」でした…。

 

仕事に理解がある奥様でも、あまりに取材が多く(この本の取材も含む)、家を空けることが多い夫の本がどんどん家に増えていくことには耐えられなかったようです…もちろん、ここには書かれていないこともあるだろうから夫婦のことはお二人にしか分からないとは思うのですが。私としてはかなりの衝撃を受けました。

 

本にまつわる知らない世界のこと、大規模すぎる話から一人一人の人生の選択まで含まれていた、とても興味深い本でした!!

本で床は抜けるのか

本で床は抜けるのか

 

追記:最近文庫になったようです^^ 

本で床は抜けるのか (中公文庫)

本で床は抜けるのか (中公文庫)

 

 

 

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