きまやのきまま屋

日常、本、映画、猫のこと。主婦で趣味人のきまやがきままに書いてます。たまにライター。

おばあちゃんのこと

テーブルに置かれた赤い切り花

こないだの母の日に私が何を考えていたかっていうと、お母さんには申し訳ないんだけど、お母さんのお母さん、つまり私のおばあちゃんのことだった。

 

おじいちゃんは私が大学四年生の時に急に亡くなってしまって、それからおばあちゃんを長女である私のお母さんが家に(つまり私の実家に)引き取って、今はおばあちゃんと私の両親とで一緒に暮らしてる。

 

私は就職してすぐに家を出たから数ヶ月だけだけど、おばあちゃんと一緒に暮らしたことがある唯一の孫で。

今夫と住んでいる場所が実家から近いこともあって、よく帰るから、よく会うし。

それに私は体調を崩したらすぐに数週間は実家療養するから、なんだかんだでおばあちゃんと一つ屋根の下で暮らした期間は、通算で1年くらいにはなるのかも。

 

そのおかげで、だと思うんだけど、そしておおいに誤解も含んでいるんだけど、前におばあちゃんが「孫の中できまやちゃんが一番優しい」って言ってくれたことがあって。

それがなんだか、ここ数年、私のことをどこかで確実に支えてくれているなぁ、と思う。

 

そもそも私の家系はなかなか優秀な人が多いので、正直言うと孫たちの中で私が一番出来が悪い。

学歴も職歴も、どの従兄弟たち従姉妹たちと比べても断トツにショボい。

そして一番身近なところで言うと、我が家はお姉ちゃんがとても出来がいい。働けば稼ぎもいい。性格もいい。嫌味だったり軽かったりするようなリア充でもなくて、漫画に詳しいし子供が素直!あの人ほんとパーフェクト。もう尊敬しかない。

 

だから。 

日頃はそんなにコンプレックスを感じてなんかない…と思うけど、あの従兄弟もお姉ちゃんも差し置いて一番、て言われたのは本当に初めてで。

じんわりと、嬉しい。そういう記憶。

 

道に咲いている花の名前が分からなければ、おばあちゃんに聞いたら何でも答えてくれる。

綺麗な折り紙をたくさん持っていて、何でも作ってくれる。

ずっと前から俳句をたしなんでいて、句集を作ったりしている。文章もうまくて自伝を書いたり。若い頃には子育て絵日記が新聞に載ったことがあるらしい。

あれ、おばあちゃんもしかしてすごい人だな…?

ただの、静かで小さなおばあちゃんに見えるんだけど。

 

会うたびにお小遣いくれるとかいう優しさではなくて、小さい頃はよく叱られたりもして、でも私たち姉妹が夏休みにおばあちゃんちでくっついて本を読んでいたら、夕方には必ず明かりをつけにきてくれた。

 

 

…今は少しだけ認知症が始まっていて、句会に通うことは辞めてしまって(なんせ遠くて危ないので仕方がない)、市の福祉制度を利用して週に何回かデイサービスに行ってるだけなんだけど。

 

そこでは積極的に友達を作っているわけではないのに、色々な人から打ち明け話を聞いてくる。

職員さんにも優しくしていただいて、「◯◯さんがいると場が落ち着くというか、いつもニコニコされててみんなのマスコットみたいな感じです」って言ってもらってる。

 

 

調子のいい時と悪い時があって、悪い時は前に話した内容を覚えてくれてないけど、幸い私のことを忘れてしまうことはまだなくて、調子のいい時には、最近読んで面白かった俳句や新聞の切り抜きを見せてくれる。

 

「孫の中できまやちゃんが一番優しい」

あの言葉、ずっと前に一度言われたきりで、もしかしたらもう忘れてしまっているかもしれないけど、おばあちゃんの中では、そうそうたる顔ぶれのエリート孫たちの中で、まだ私が「一番優しい」のかなぁ、と思うと嬉しい。

「きまやちゃんが一番」っていう瞬間があったことが、嬉しい。

 

別れ際にはいつも、「体に気をつけて、風邪をひかないで」って言ってくれる。こっちが言うべきなのにね。

夫が骨折した時に、手術は終わったし病後の回復がいいからもう心配しないでね大丈夫だよって言ったら、「きまやちゃんの看病がよかったから治るのが早かったんだよ、がんばったね」って言ってくれた。

おばあちゃんこそ優しい。

 

だから、性格キツめなお母さんがおばあちゃんにキレてたら、お母さんの怒りを逸らすことに心血を注ぐし、お父さんお母さんが「おばあちゃんはお留守番の方がお互い気が楽やろー」って言ってしまうようなお出かけにも、「私が会いたいから連れて来て!」ってワガママ言う。(本当に負担ならおばあちゃんは私に直接断る)

 

おばあちゃんの米寿のお祝いをしたのが、去年。

いつまで元気でいてくれるだろう。私と身長が同じでチビで、血液型も親戚の中で唯一私と同じで、お母さんが怒る場面でなぜかヘラヘラしちゃってもっと怒られて、クーラーが苦手でコタツが大好きなおばあちゃん。

 

あぁ、そうか。私とおばあちゃんって、似てるんだな。

 

親ももちろん大事だけど、歳とってからなんだか急におばあちゃんっ子になったよ。

 

おばあちゃん、私ガサツだから、何度聞いても花の名前を覚えられないよ。

折り紙も折れないから甥っ子に怒られてるよ。

 

だからいつまでも、聞いたら答えてほしいよ。私に花の名前を教えて兜の折り方を教えて綺麗な俳句を教えて。

 

おばあちゃんだけが私の中に見いだしたいつかの特別な私みたいな、もっと優しい人間になる方法を、教えて。

 

 

p.s 母の日は姉が花を贈るので、私は前年と同じく展覧会のチケットにしました。

 

 

【前年の母の日の記事はこちら】 

kimaya.hatenablog.com

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