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信じることのすべては舞城王太郎『ディスコ探偵水曜日』で知った

かっこいい記事タイトルにしたつもりなのはいいけど、私が愛読しているのは単行本なのに、Amazonに文庫しかない?

ディスコ探偵水曜日〈上〉 (新潮文庫)

ディスコ探偵水曜日〈上〉 (新潮文庫)

 

文庫だと上、中、下の3冊になるので、範囲が違うしページ数も違う。こうなったらもう私は文庫も買うしかないのか?一つの作品にそんなに場所取られることってある??

(ということで、この記事のページ数表記は単行本上巻のものです)

 

その、もう売っていないのかもしれない単行本の上巻を、家宝にしようと思っているくらい、「信じる」ことについて学んだ。

ディスコ探偵水曜日から。

 

本の内容としては、トンデモ系(ばかげている)なミステリで、SFで、グロもあって、探偵モノで、ラノベ風味なので、万人にオススメできるというわけではない。むしろ奇書とか呼ばれているし、私も下巻になるとちょっと引く。

 

このあいだ読書会で隣に座った人から「面白い国内ミステリシリーズを読むべき順番」みたいな話を聞けたんだけど(最近、読むべき順番の話をするのが好き)、ややこしいミステリいいですよね~って盛り上がってたのに、私が「まいじょーではディスコを推してます!」って言ったら「あれは変すぎて挫折したw」って言われてしょんぼり。


ただ、テーマに沿って文脈を拾っていくと舞城王太郎はとてもいいことを書いているんだ、ということが言いたい。

 

あらすじ。

主人公はディスコ・ウェンズデイ、迷子捜し専門の探偵。今は血の繋がらない6歳の女の子・梢と暮らしている。

ある日、梢が急に大きくなった!と思ったら福井のパイナップルハウスで探偵の連続密室不審死が起こって、ディスコが呼ばれてボコられて時空が歪んで、壁を抜けて過去のパンダが愛されて未来で幼馴染みが死んで、人類が壊滅しそうになったり不老不死になったりする話。

 

読んでの通り、書いてても分からなくなるくらいにストーリーがめちゃくちゃなんだけど、とにかく戦う主人公で、考える主人公なんだ。

論理。

だって、戦うためには信念がいる。信念を考えるには論理がいる。

私たちが生きるには論理が必要だ、そして論理には何らかの軸がいる。

だから私たちは、何かを、誰かを信じないといけない。軸となる何かを。信じないと何も始まらない。

 

だから舞城王太郎は繰り返し語る。信じ方を。 信じ抜く方法を。

 

 どう信じればいい?って信じるにやり方はない。信じるということはそのまま飲み込むことなのだ。世界は相変わらずなのだ。俺はそれを飲み込むしかない…のに辛いのは結局自分自身を信じられないからで、俺は自分をちゃんと信じなければならない。p274

 

「たぶん信じようとすることは疑うことなんでしょう。はっきりと形を持って揺らぎがないのは信じてることじゃなくて知っていることですね。p398  

 

信じるも良し、信じないも良しだ。大事なのはどっちかに決めることなんだよ。いつまでもどっちにしようか迷ってるからいちいち動揺したり考え込むんだ。p413

 

「大体何でも一番最初に思ったこととか言うたことが正しいんやで。余計な常識とかに邪魔される前に信じてまえや。p529

 

信じることは、何より強い。たぶんね。

ディスコ探偵水曜日〈下〉 (新潮文庫)

ディスコ探偵水曜日〈下〉 (新潮文庫)

 

 

 

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