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谷川俊太郎さんの詩のご紹介。「あなたはそこに」

谷川俊太郎の詩

ここで、私が好きな詩を紹介したいと思います。有名な詩でもあると思います。

特に何の説明もいらないかと思う、谷川俊太郎。

 

谷川俊太郎 - Wikipedia


実は握手して二人きりでお話したことがあることが、ちょっと自慢。


講演会合宿みたいなものに、20歳頃、山口県秋吉台まで行ってきた。国際芸術村ができたばかりの頃。

 

「谷俊が生きているうちに会っておかなきゃ!」と思った当時。

十年以上たっていますが今でもご健在。しかも健康らしい。

ありがたや。

 

講演会で、もぐりこんでいた新聞記者に「ペンで戦争を止められるんですよね?」とか質問ぶつけられて、

ちょっとウンザリした顔をした谷川さん。

翌朝、直接お話した時、谷川さんは「詩にできることなんて、ほんの些細なことだ」と言ってらした。

納得した。

 

好きだとか言うレベルじゃなくて(好きだけど)、現代詩の礎を築いた方。

国語の教科書に載っているレベル。

彼の言葉のチョイスには目眩がする。

 
有名な詩はたくさんあるけど、中でも忘れたくない詩がある。

作家の島本理生さんが短編で取り上げていた。

短編は『君が降る日』の中の「野ばら」という作品。すごくいいよ。  

君が降る日 (幻冬舎文庫)

君が降る日 (幻冬舎文庫)

 

 

詩を引用させてもらいます。

 

「あなたはそこに」

あなたはそこにいた 退屈そうに
右手に煙草 左手に白ワインのグラス
部屋には三百人もの人がいたというのに
地球には五十億もの人がいるというのに
そこにあなたがいた ただひとり
その日その瞬間 私の目の前に

あなたの名前を知り あなたの仕事を知り
やがてふろふき大根が好きなことを知り
二次方程式が解けないことを知り
私はあなたに恋し あなたはそれを笑い飛ばし
いっしょにカラオケを歌いにいき
そうして私たちは友達になった

あなたは私に愚痴をこぼしてくれた
私の自慢話を聞いてくれた 日々は過ぎ
あなたは私の娘の誕生日にオルゴールを送ってくれ
私はあなたの夫のキープしたウィスキーを飲み
私の妻はいつもあなたにやきもちをやき
私たちは友達だった

ほんとうに出会った者に別れはこない
あなたはまだそこにいる
目をみはり私をみつめ 繰り返し私に語りかける
あなたとの思い出が私を生かす
早すぎたあなたの死すら私を生かす
初めてあなたを見た日からこんなに時が過ぎた今も 

あなたはそこに

あなたはそこに

 

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