言葉について
漫画家が、漫画家を主人公にして漫画を描いて
作家が、作家を主人公にして小説を書いて(佐藤友哉『離昇』)
芸人が、芸人を主人公にして小説を書くように(又吉直樹『火花』)
(最後ちょっと例えがヨレた)
詩について書いた詩や、言葉について書かれた言葉が好きだ。
となると、寺山修司か谷川俊太郎だろうっていうことになる。
言葉で一羽の鷗を撃ち落とすことができるか
— 寺山修司 (@terayamasyuzi) 2019年3月2日
言葉で沈む日を思いとどまらせることができるか
言葉でバルセロナ行の旅客船を増発できるか
言葉で人生がはじまったばかりの少女の薄い肩をつかむことができるか
私は悲しくなると けむりを見ている
話は変わるけど私はnoteも書いていまして、
インターネットには、「書かずにすむのなら書かない方がいい」ことは、断然書かない方がいいのだろう。
「書きたい」ことでも。
と、思い至ってしまったわけなんですけれども。
とは言え私は黙らない
黙らないことを黙らないために書いている文章。
ここ数ヶ月ふんわりと思い浮かべていた詩があるので、紹介させてください。
もし言葉が
黙っていた方がいいのだ
もし言葉が
一つの小石の沈黙を
忘れている位なら
その沈黙の
友情と敵意とを
慣れた舌で
ごたまぜにする位なら
黙っていた方がいいのだ
一つの言葉の中に
戦いを見ぬ位なら
祭とそして
死を聞かぬ位なら
黙っていた方がいいのだ
もし言葉が
言葉を超えたものに
自らを捧げぬ位なら
常により深い静けさのために
歌おうとせぬ位なら
谷川俊太郎詩選集1(p106)『もし言葉が』
……とか言いながら、サブカルお喋りウーマンなのでちっとも黙れない!いつもどこかで何かを喋りすぎている!
そんな反省をしながら、この詩を噛みしめていました。
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