昨年から、こつこつと歌集を読んでいます。が、フィクションと詩集と混ざって、記憶が曖昧になりがち。
なので、歌集だけまとめておきたいと思います。もれなくおすすめです!
ペンギンの見る夢は白い
木曜何某『ペンギンの見る夢は白い』読了。歌集。Twitterで見かけて好きそうだった(私が好きそうなセンスの人が関わってる)のでKindleで買った、こういう時Kindle便利。ツボすぎてゲラゲラ笑えたので、木◯龍也など好きな人に。
— きまや (@kimaya4125) 2021年1月31日
これ、kindleで300円なんですけど、ものすごく楽しいので300円どころじゃないですよ!ここ数年で一番有意義な300円だった、と思う。
kindleアンリミテッドにも入っているようなので、kindleユーザーの方はぜひ。実物はBOOTHで買えるのかな?
まず、ペンギンについて辞書またはインターネットで調べて理解してから読んでね、という但し書きが書いてあります。ペンギンを知らないと読めないです。
カラメルとプリンが逆の配分でモロゾフがすぐ潰れた世界
十二時に魔法が解けてくれないと終電乗るときすっごい目立つ
助けてと殺してくれはおなじことピラニアがもうそこまできてる
たいへんだ、私これ全部好きだ。
Twitter的かな〜?とも思います。
風にあたる
山階基『風にあたる』読了。歌集。木下龍也さんが『天才による〜』で挙げていたので。日常的にカジュアル強めな中、爽やかに叙情だった。
— きまや (@kimaya4125) 2021年2月7日
なだらかな坂があなたで効きづらいブレーキのままここまでぼくは
『天才による凡人のための短歌教室』で挙げられていた一冊。これが、なかなか好みでした。日常系さわやかカジュアル。おすすめ。
木下龍也よりも印象はやわらかい。私の好み。
音楽を声に出したら泣いてしまう夜をだまってだまって帰る
なだらかな坂があなたで効きづらいブレーキのままここまでぼくは
炎天にうねるホースのしぶきから生まれる虹を消えるまで好く
「風にあたる拾遺 2010-2019」を 凧の糸 で購入しました! https://t.co/QqxCAXLtEo #booth_pm
— きまや (@kimaya4125) 2021年5月28日
Lilith
この、帯の二首いいよね。。。
川野芽生『Lilith』読了。歌集。古語だ!多分その効果だけではなく全体を通して静謐な感じがした。
— きまや (@kimaya4125) 2021年1月13日
飛行また遊戯に過ぎずつばさあるものさへ落ちてくるこの地上(p110)
これ「ひぎやう」とルビふってあるのが好き。
夜の庭に茉莉花、とほき海に泡 ひとはひとりで溺れゆくもの
地下書庫に体熱を奪はれながらひとは綴ぢ目の解けやすき本
ほんたうはひとりでたべて内庭をひとりで去つていつた エヴァは
「ひと」で集めてみました。
ちょっと解説するのは諦めさせてほしいんですけど、古語で、美しいです。女性陣はグッとくる人多いのでは。古語でジェンダーをやる、その心意気が賢い。
歌集 滑走路
こちらは、ロスジェネのみなさんに。読むと悲しく思うこともあるのですが、それでもこの本をこの形に仕上げた人のことを、私は尊敬します。
文庫解説は、又吉直樹さん。
きみのため用意されたる滑走路きみは翼を手にすればいい
未来とは手に入れるもの 自転車と短歌とロックンロール愛して
屈辱の雨に打たれてびしょ濡れになったシャツなら脱ぎ捨ててゆけ
かわいい海とかわいくない海 end.
こちら今更に去年読んだんですが、瀬戸夏子はなにがなんでもいいですね。カッコよくて憧れる。もうずっと、藤野可織くらい憧れてる。
だから藤野可織が好きな人は読んでください。本谷有希子でも読んでほしい。
星野智幸が帯を書いています。
かがやいた毛並みに桃色のリボン音叉よりこのまま古典を捨てろ
もうひとりがかつて春に惨殺されるのをみていた世界中の賛辞を浴びながら
わけのわからん掌編も入っていて、わけわからんかったです。 サイコーでした!
瀬戸夏子『現実のクリストファー・ロビン 瀬戸夏子ノート2009-2017』読了。とりあえず一周したのでメモ。難しいが読み応えの塊。愛媛川十三が出てきた。昔の「ほんのひとさじ」の文章まで載ってて嬉しい。日記とインタビューもよかった。
— きまや (@kimaya4125) 2021年6月4日
青卵
東直子『青卵』読了。四九一首あったらしいので少しずつ読んだ。続けて読むと、どこまでが体でどこからが意志や幻なんだろう?と思う。解説と対談も面白かった。人称とか文体とか。
— きまや (@kimaya4125) 2020年12月19日
読み応えの塊のような一冊。491首。
穂村弘との対談も載っていてオトクな文庫です。私、『回転ドアは、順番に』ファンなので。
波音がわたしの口にあふれ出す鳥が切り裂く空に会いたい
湯の中に重ねた指がふわふわと生きていました 空がつめたい
歩くならひとりがいいの青空に生まれた象のこどものように
「空」の使い方が面白くて、ぽかんとしてしまう感じ。日常に空。あと、水と夢と人生、という印象がありました。
天才による凡人のための短歌教室
木下龍也『天才による凡人のための短歌教室』読了。なにかと手厚く丁寧で、現代の創作論として短歌にかぎらずとても良いと思う。そして巻末の特集が鮮やかで感動する。基礎の30冊ぜんぶ読みたい。
— きまや (@kimaya4125) 2020年12月10日
2020年下半期に読んでオススメな11冊、プラスα でもご紹介したこちら。
Twitterでのエゴサが秒速な木下龍也さん!
こちらは歌集ではなく創作論なのですが、木下さんオススメの歌集が30冊書いてあって、今後追っかけて読みたいメモが捗ります。
あと、単純に本として面白い。どのようにして今の木下龍也ができあがったのか、と、何を気にして生きているのか。自作の短歌紹介、2020年に行われた短歌展(即興作成)の記録など。
版が進むたびに奥付に新作短歌が載るらしいので、百刷までいってほしい。今から買う人はたくさん新作が読めるので羨ましい…!
(関連記事:『玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ』は、7月頭に読むしかない(短歌))
短歌の友人
穂村弘『短歌の友人』再読了。モードの変容、生の一回性、修辞的放棄「棒立ちの歌」など、今読むと大変わかりやすい気がしたので再読してよかった。
— きまや (@kimaya4125) 2021年1月11日
文庫になっているのを知らなかったので、買い直して再読。高橋源一郎が解説を書いています。歌集ではなく、歌論集。
再読して改めて、これはほむほむしか書けないなーという感じ。ちょっと私には難しくもあるので、また読み返したい。修辞的放棄「棒立ちの歌」には感動しました…。
色々な歌人の短歌が載っているので、誰か好きそうな人を見つけたい場合にもよさそう。それにしても、そろそろ続きが読みたい時代になってきました。
これから注目
現代短歌クラシックスのサイズ感が詳しく知りたい。まず手に取りたいタイプの見た目よね。
— きまや (@kimaya4125) 2020年12月25日
今、大人買いしたいシリーズ。
あと、笹井宏之賞に注目しています!
柴田葵『母の愛、僕のラブ』読了。第一回笹井宏之賞の連作を含む歌集。どう生きているかをそのまま、うまいなぁ。
— きまや (@kimaya4125) 2021年3月10日
ジャガイモの芽ほどの毒のおもいでをごろごろ蔵するからだが重い(p58 忍たまが好きだった柏木くん)
橋爪志保『地上絵』読了。歌集。表題歌?のインパクトが強すぎて手に取るのが遅れたけど、全体のトーンはそれより穏やかで好きな感じだった。
— きまや (@kimaya4125) 2021年6月13日
たましいがふるえないようビリヤードの球よすばやく夏を転がれ(p70 とおざかる星)
【近刊情報】
— 書肆侃侃房(しょしかんかんぼう) (@kankanbou_e) 2021年3月18日
橋爪志保『地上絵』
I am a 大丈夫 ゆえ You are a 大丈夫 too 地上絵あげる
淀川は広いな鴨川とは全然ちがうなほとんど琵琶湖じゃないか
第二回笹井宏之賞永井祐賞を受賞した著者の第一歌集。解説は宇都宮敦さん、装画はイケガミヨリユキさん。4月発売。https://t.co/L0rx3bQtFv pic.twitter.com/pRQ5UTo44G
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