谷川俊太郎とパウル・クレー
ところで、詩は好き?
詩が好きとか言ったらイタい人みたいなのであまり言わないけど(問われることもないけれど)、
私が半ば暗記していて、思い出して呟くたびに心痛くなる詩があるよ。有名な詩ではないかもしれないけど、好きなんだよ。
どうしてこんなことになったのか。何がこの詩を作ったのか。いや作ったのはもちろん谷俊なんだけど、あまりにも奇跡的というか。
誰が何を忘れても、私はこの詩を忘れられない、忘れたくない。しっかり持っている。よかったらどうぞ。
またまた谷川俊太郎さんです。パウル・クレーの絵に詩をつけてみるシリーズ。詩画集というやつですね。
第一作は「クレーの絵本」で、こちらも素朴でシンプルに美しい詩が14編書かれています。
私が好きな詩はその第二弾、「クレーの天使」に載っています。
「忘れっぽい天使」
くりかえすこと
くりかえしくりかえすこと
そこにあらわれてくるものにささえられ
きえさってゆくものにいらだって
いきてきた
わすれっぽいてんしがともだち
かれはほほえみながら うらぎり
すぐかぜにきえてしまううたで
なぐさめる
ああ そうだったのか と
すべてがふにおちて
しんでゆくことができるだろうか
さわやかなあきらめのうちに
あるはれたあさ
ありたちはきぜわしくゆききし
かなたのうみで いるかどもははねまわる
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