思えば去年の夏から、よく実家を片付けている。
今年に入ってからはフルスロットルで片付けている。
なんせ物が多いのだけど、いらないものだとしても全部廃棄するには忍びない。リサイクルショップに通って、まだ使えるかもしれないものは買い取ってもらったりしている。
で、結局、紙や布や皮はほとんどカビてる。買ったら死蔵せずに使いましょう。
陶器は意外に値段がつくこともある。
本は分からない。綺麗ならたまに売れる。
片付けているものの中には、祖父の荷物もある。
祖父は亡くなって20年以上経つのだけど、祖母が捨てきれずに一緒に引っ越してきたまま納戸に仕舞ってあった段ボール数箱は、誰も捨てなかったので、ずっとある。
今年に入ってからちょっとずつ、主に母が片付けていたのだけど(母にしか分からないものが多い)、「この箱は触りたくない〜」と言うものがあったので、私が開けた。
いつから封をされているのか分からない、古ぼけた段ボール。色々入っていた。
その中で存在感を放つ、カーキ色の布で縛られた、単行本サイズの何か。
布をほどく。
名簿が出てくる。
崩れそうになっている紙の束。
名簿の一枚目には「⚪︎⚪︎艦隊」と「⚪︎⚪︎分隊」などと書いてあって、人々のお名前とご住所。
本2冊分くらいの名簿。
その下に、一枚紙。
ペラっと、薄い紙。
紙には「帰還者一覧」とあった。
2行目に、私の祖父の名前があった。