きまやのきまま屋

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彩瀬まるオススメ。全作品をご紹介&解説してみる

(2023/05 更新)

彩瀬まるを激推しします

オススメの作家は?と訊かれると「彩瀬まる」と答えがちな、ここ数年のきまやです(相手によるので、舞城王太郎を推したりします)。

数年以内に芥川賞を獲るはずなので応援しています!直木賞だったり十年後だったりするかもしれないけど。

 

この記事は、彩瀬まるの全作品を紹介する試みです。なぜかというと好きだから!

すでにレビュー(書評)を書いている作品には、記事のリンクを貼っています。ぜひ個別記事もチェックしてくださいね^^ 

時系列ではなくオススメ順が知りたい!という人はこちら→

彩瀬まる、何から読む? 

花に眩む

デビュー作。新潮社が主催する文学賞、『女による女のためのR-18文学賞』で読者賞を受賞した作品。

(ちなみに、前年に窪美澄が『ふがいない僕は空を見た』でトップ獲ってる賞です、新人賞としてはダントツ面白いです。女による女のためのR-18文学賞 | 受賞作品 | 新潮社

元祖・幻想系・花ネタ。

花に眩む

花に眩む

 

2023年の新刊に収録されました!手に入りやすくなりましたね~。

 

あのひとは蜘蛛を潰せない

彩瀬まるがこの本で登場した時の、ネット上の本好きたちの動揺を忘れない。

あと、単行本の表紙の微妙なダサさも忘れない。

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(↑これは文庫)

文庫の帯は、椎名林檎が書いていました。分かる。

林檎曰く、『この作品は、体だけ歪に成人した我々のための手引き書である。』。
 

28歳実家住み女性が母親の呪縛から逃れたいような、でも母親がかわいそうで…とかいう葛藤に共感してしまう自分がいながら、じわじわと忍び寄る恐怖。

「うまく言えない」ということを本当にうまく言えてなくて、すごい。文章の力を感じます。

あのひとは蜘蛛を潰せない (新潮文庫)

あのひとは蜘蛛を潰せない (新潮文庫)

骨を彩る

連作短編集。「なにかが足りない」と不安を抱える老若男女がそれぞれ惑う話たちが5つ。中学生の女の子と社会人が交錯する世の中。

夫婦の愛情、女同士の友情、がテーマのものが多いかと思います。が、青年期の男性に突き刺さりそうな『ハライソ』はちょっと異色ながらとても良い。 

骨を彩る (幻冬舎文庫)

骨を彩る (幻冬舎文庫)

 

書評を書いています! 

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神様のケーキを頬ばるまで

お仕事小説の連作短編集、『神様のケーキを頬ばるまで』。

  • 泥雪
  • 七番目の神様
  • 龍を見送る
  • 光る背中
  • 塔は崩れ、食事は止まず

表題作がないタイプですね。文庫の解説は柚木麻子さん。

こちらは、仕事がうまくいっていない人に読んでほしい。そしてDV被害の描写が冷や汗ものです。ひぃ。

一冊を通じて、とある映画監督さん(画家からの転身)のことを追ってもいるので、構造が面白いです。

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神様のケーキを頬ばるまで (光文社文庫)

神様のケーキを頬ばるまで (光文社文庫)

こちらも、単行本と文庫で表紙がガラッと変わっていますね。

単行本はこれ(↓)でした。これもいい、好き。

神様のケーキを頬ばるまで

神様のケーキを頬ばるまで

 

優しい人になりたい。暗いものやみすぼらしいものに目をつむるのではなく、それを見たまま、それでもそっと光る人に、今度こそなりたい。

「泥雪」p55 『神様のケーキを頬ばるまで』 

「泥雪」のここの、中学生の息子との数ページ、とても息が詰まる、すごくいい。 

桜の下で待っている 

新幹線に乗って故郷に帰る人々にまつわる連作短編集。テーマを言うなら「家族」だろうか。

宮沢賢治が出てくる話が好きです。 

桜の下で待っている (実業之日本社文庫)

桜の下で待っている (実業之日本社文庫)

 

レビューを書いています! 

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やがて海へと届く

設定がちょっと突飛なのが、長編『やがて海へと届く』。身近で愛する存在を亡くしたことがある人に沁みると思います。震災の話。でも震災だけの話ではなく。

「普通のこと」ができなくなるんだよね。そうやって彷徨うしかない時ってある。

 

けれどこの描写の美しさによって救われる思いが、必ずどこかにあると思います。 

やがて海へと届く

やがて海へと届く

 

2019年2月に文庫化されました!

やがて海へと届く (講談社文庫)

やがて海へと届く (講談社文庫)

 

私が、他でもない私が、この瞬間も私の中で明滅するものを信じずに真っ暗だと嘆くなんて、そんな馬鹿な話があってたまるものか!P175

 

映画化です!!!

映画『やがて海へと届く』公式サイト

 

朝が来るまでそばにいる

短編集。テーマは「生きられないのに死ねないしどうしよう!?」だと思いました…。

  • 君の心臓をいだくまで
  • ゆびのいと
  • 眼が開くとき
  • よるのふち
  • 明滅
  • かいぶつの名前

幻想文学です。人間ではないものが出てきたり、変な展開だったり、少し怖いかもしれない。ホラー入っててびっくりしました。こっち系統に進んでほしくない…と少し思ったりします。

でも、執着……そして再生!という感じで、意外と前向きに読み終えられました。 

会えて嬉しかったなあって繰り返しながら、私という存在の認識が終わるまで、暗闇の底で光って遊ぶ。それを、この世のどんなものにも侵させない P198

朝が来るまでそばにいる

朝が来るまでそばにいる

眠れない夜は体を脱いで

このタイトル、すごく良くないですか?私、2018年のTwitter文学賞はこれに投票しました。

  • 小鳥の爪先
  • あざが薄れるころ
  • マリアを愛する
  • 鮮やかな熱病
  • 真夜中のストーリー

華麗につなげる系の連作短編集です。あいかわらずつなげる天才でした。で、内容もね、これまたとても良くて、

主人公たちは、みんな小さくはっきりと生きにくそうなのに、それでも何処かに行ける気がしてきてしまう。

眠れない夜は体を脱いで (文芸書)

眠れない夜は体を脱いで (文芸書)

文庫になりました!(kindleもあります)

眠れない夜は体を脱いで (中公文庫)

眠れない夜は体を脱いで (中公文庫)

  • 作者:彩瀬まる
  • 発売日: 2020/10/22
  • メディア: Kindle版
 

 

くちなし

第158回直木賞候補作。

連作短編集。『朝が来るまでそばにいる』の、幻想文学の流れに半分くらい乗りつつ、「ちょっと日常からハズれた」感を出すエッセンスとして活用されている、異世界。これくらいならホラーにも妄想にもならず、ちょうどいい塩梅かも。好き!

 

直木賞は獲りませんでしたが、高校生直木賞を受賞しました!

高校生直木賞 参加25校の代表生徒たちの声(3) 第5回 高校生直木賞全国大会 | 高校生直木賞 - 文藝春秋BOOKS

くちなし

くちなし

※2020年4月に文庫になりました! 

くちなし (文春文庫)

くちなし (文春文庫)

 
  • くちなし
  • 花虫
  • 愛のスカート
  • けだものたち
  • 薄布
  • 茄子とゴーヤ
  • 山の同窓会

書評を書きました!

全部はまとめられなかったので、『愛のスカート』という短編のことを。

kimaya.hatenablog.com

 

不在

長編を待っていた! 

不在

不在

 

書評を書いています! 

kimaya.hatenablog.com

彩瀬さんご本人にもウケました、この書評!

珠玉

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主人公・真珠。っていう名前の女の子とかじゃなくて、あの、貝の中に入っているやつです。

そんなに好きじゃないかもーと思いつつ読んでて(すみません!)、ラスト近く真珠の献身で刺されました。真珠がこんなに献身的なの…。

世の中は、できそこない、だらけだ。

それでいいんだ。

 

ちょっとヤングアダルト風味も感じたので、表紙もっと違う感じがよかったのでは?紙の手触りすごくいいんですけども。図書館員さん方、そっとYAの棚に置いてみてください。 

珠玉

珠玉

なんでも出来るすごい人とかでなく、あなたに会ったことで私の人生が始まったの。

『珠玉』p204

※2022年11月、『珠玉』が文庫になりました!すごくいい感じの表紙で、帯をめくると仕掛けがあるそうです。気になる!

 

森があふれる

2019年、最大の問題作となったのはこちらですね…。

森があふれる

森があふれる

 

書評を書きました!

kimaya.hatenablog.com

英訳されるらしいです、『森があふれる』。https://www.counterpointpress.com/books/the-forest-brims-over/

さいはての家

2020年の第一作は、こちら。 

さいはての家 (集英社文芸単行本)

さいはての家 (集英社文芸単行本)

  • 作者:彩瀬まる
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2020/01/24
  • メディア: Kindle版
 

とてもよかった…。

書評を書きました!

kimaya.hatenablog.com

 

彩瀬さんご本人にTwitterで届いたらしくて、ご挨拶していただきました…こういうの、ファンとしてとても嬉しいですね。 

 

(2023/01  文庫になりました!表紙かわいい〜)

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まだ温かい鍋を抱いておやすみ

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まだ温かい鍋を抱いておやすみ

まだ温かい鍋を抱いておやすみ

  • 作者:彩瀬まる
  • 発売日: 2020/05/14
  • メディア: 単行本
 

読了しました!

  • ひと匙のはばたき
  • かなしい食べもの
  • ミックスミックスピザ
  • ポタージュスープの海を越えて
  • シュークリームタワーで待ち合わせ
  • 大きな鍋の歌

「今月のプラチナ本」は、彩瀬まる『まだ温かい鍋を抱いておやすみ』 | ダ・ヴィンチニュース

 

草原のサーカス(長編)

さっそく2021年に最新作が!しかも長編!!

草原のサーカス

草原のサーカス

  • 作者:彩瀬 まる
  • 発売日: 2021/02/25
  • メディア: 単行本
 

作者さんのTwitterコメントはこちら。 

読みました!めちゃくちゃよかったです。。。

 

雑誌掲載の新作 短編

ご本人のツイートで知りました!告知ありがたいです!!

小説新潮 2021年 05 月号 [雑誌]

小説新潮 2021年 05 月号 [雑誌]

  • 発売日: 2021/04/22
  • メディア: 雑誌
 

小説新潮8月号には、「マグノリアの夫」という短編が収録されています。

小説新潮の『なめらかなくぼみ』と『マグノリアの夫』は、2023年の新刊『花に埋もれる』に収録されました!

 

 

川のほとりで羽化するぼくら (中編4作)

川のほとりで羽化するぼくら 書影

読みました!

 

  • わたれない
  • ながれゆく
  • ゆれながら
  • ひかるほし

の4編。すばらしかったです。。。

 

『新しい星』(連作短編)

新しい星

新しい星

Amazon

新刊発売のペースが早い…!文藝春秋で連載されていた作品ですね。

大学時代からの同期4人を行ったり来たり、連作短編集。タイトルはそれぞれ

  • 新しい星
  • 海のかけら
  • 蝶々ふわり
  • 温まるロボット
  • サタデイ・ドライブ
  • 月がふたつ
  • ひとやすみ
  • ぼくの銀河

読みました。

 

かんむり(長編)

2022年9月に、新刊!書き下ろし長編とのこと。タイトルは『かんむり』。

『骨を彩る』と同じ担当さんらしいです!

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読了しました!

夫婦モノ長編の書き下ろしということで、『森があふれる』的な緊迫感を予想していたら、なんだかゆったりのんびりできました。しかし問題提起がないわけはない。それでも共に生きるのだ、という話でした。

『骨を彩る』と同じ担当さんだというの、納得です。読後感が、通じるものがある気がします。

佐々木ののかさんの書評が素敵です。

<書評>かんむり

 

 

花に埋もれる

・なめらかなくぼみ

・二十三センチの祝福

・マイ、マイマイ

・ふるえる

・マグノリアの夫

・花に眩む

の6作品。花に絡めた短編集、とだけ単純に捉えることができないのは、デビュー作から収録されているから、だけではない。もう誉め言葉が見つからなくなっちゃった。

 

作詞

このアルバムの一曲目、作詞が彩瀬まるさん!

 

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