- タイムスリップしたら、また就職氷河期でした
- おれたちの歌をうたえ
- アフター・サイレンス
- 9月9日9時9分
- 新しい星
- ほんのこども
- まとまらない言葉を生きる
- 「利他」とは何か
- 家族と国家は共謀する サバイバルからレジスタンスへ
- 闇の自己啓発
はい、恒例のこちら!
2021年下半期の読了は103冊くらいだと思います。再読含み、漫画含まず。「2021年に私が読んだ」基準のため、刊行は古い本である場合があります。でもだいぶ新しめ!
今回は、紹介をエンタメ順にします!そして今回は海外文学が読めてなかったです…。『地上で僕らはつかの間きらめく』と『冬』を積んでいます。木原ファン。
まずはフィクションから。
タイムスリップしたら、また就職氷河期でした
なろう系か?ラノベか?と思わしきタイトルで、まじめにコメディです。
『結婚のためなら死んでもいい』の作者さんの新刊ですね。
同世代すぎて好き。あの頃を思い出して嫌い。
今35オーバーの人は読んでみたら面白いんじゃないでしょうか。この世代の女子を二人育てた我が母も面白がって読んでいました!
おれたちの歌をうたえ
ミステリ!この人初めて読みましたが骨太で良かった。
ハードボイルドですね。うーん、最初の方はとっつきにくいかもしれない(ハードボイルドすぎて)
しかし、いわゆる「犯人の述懐」をきちんとするラストなんですけど、その言い分が、『惑星のさみだれ』のラスト大決戦の二個前の小ネタと被っていて、私はそのオチがとても好きなんですよね…。私は本という物体を愛しているのではなく、文字を愛しているタイプなので、こういうのに弱い。
ていうか母親リクエストで借りてきたんですよ確か。テレビでやっていたんでしょうね。後にこちらも友人に勧めました。そして友人の母は『探し物は図書室まで』を勧めてくれました。母から母に繋げています。暇なんだもの。
アフター・サイレンス
久しぶりに本多さん読んだけど、文章がいいわ。
あらちょっと東野圭吾の新しめのやつとテーマ被ってるのね、と思いつつ読み進めていたら、だいぶ違う方へ進んでいってくれたので、結果そんなに被っていませんでしたね。
本多孝好『アフター・サイレンス』読了。事件被害者やその家族のカウンセラーを仕事とする主人公。「悪いこと」ってなんだろう?そんなの決まってる、けど被害者たちだって一筋縄ではいかないよね…なしんみり人情ストーリーかと思いきや主人公のあれこれが多彩で驚いた。
— きまや (@kimaya4125) 2021年12月24日
よくできた月9、みたいな印象です。そして文章がいい。本多さんは本当に文章がうまい。筋としてはエンタメです。ハートフル…かもしれない…。
9月9日9時9分
突き刺してくる系、一木けい。
恋愛がメインで主人公が高校生だからって、青春モノだと思ったか?残念でしたみんなで二次被害について考える時間です!という角度で(読み方が偏っている可能性は大いにあります)えぐってくる今回。
しかしメインは恋愛なので、前作に比べるとサラッとも読めると思います。これをサラッと読み飛ばせてしまう人もいるだろうからこその病理、みたいな絶望的な気分になるため、あらすじとか読んでみていけそうだったらオススメです。
前作が刺さった人でも、刺しジャンルが違うのでどうかな…(刺しジャンルという概念)、依存と家族、みたいなテーマは抑えめになったぶん、姉妹の確執がある人が読んだら憤死するのかもしれない。
新しい星
読み終わったの年明けだった気がするけど、2021年はこれを読まずに終われなかった。
彩瀬まる『新しい星』読了。大学からの仲間4人連作短編集。辛いことがあって、呆然としながらも2年くらいコツコツと日々を過ごすうちに心の中からふわっと浮き上がる発想の転換ワードに撃ち抜かれながらも(最初の2篇)、年月が経っていくのでじっとしていられない、そこも含めて良い。
— きまや (@kimaya4125) 2022年1月3日
直木賞ノミネート作でしたね。他の候補が強いので受賞はしませんでした。
ちょっと読みやすすぎたのかも?会話のテンポとか、今風なんですよ。今を捉えているものを書き続ける彩瀬さん。
人はこれを読んだ方がいいです。
ほんのこども
町屋良平が、最近、こわい。
殴る側と殴られる側の了解があってようやく死亡はよぎる。言葉は通じない世界ですと暴力で教えていくと人体は生存の安全圏から出て、しかしまだ死亡までは遠い、なにもないのっぺりとした草原のような生命の場にでる。
— きまや (@kimaya4125) 2021年12月14日
p98
じゃあだれか代わりに語ってよ!そのときだけだった。ほんとに代わりに語ってほしいのはそのときだけだったのに、肝腎のそのときに言葉はぜんぜん語られず、語れずに私は失った。なにを?わからない……しりたいよ。この際、フィクションでもいい。 いや、だめか?
— きまや (@kimaya4125) 2021年12月15日
だめかもしれない……もうだめだ、私にはほんとうのことは無理だ。フィクションはほんとうしか語れない。だからほんとうへの限界が設えられている。そんなことかけるか?
— きまや (@kimaya4125) 2021年12月15日
p276
町屋良平『ほんのこども』読了。なるほど大雑把に人が病気で死ぬことが書かれるなら、丁寧に人がころしころされする描写をしつこくかきかかれ書き直されることもやっていいよね、という本。途中で大量虐殺もあり、文体のことと私のことが広がって細かく愛のあった友達と小説がお話しする。
— きまや (@kimaya4125) 2021年12月15日
すごいこと知っているんですね、この人。
何かしらスペシャルな本であることは間違いないので、挙げずにいられないんですけど、
フィクションを書くこと、読むこと、全部が嘘で、人のことを思うことが全部がぼうりょくてきだなんていったら、私たちはいったい何についておはなししたらいいの?
人はこれを読まなくても大丈夫ですが、混乱したい人は読んだらいいと思います。
さて、次点で千早茜『ひきなみ』、絲山秋子『御社のチャラ男』、青山美智子『お探し物は図書室まで』、です!明るい話が好きな人はこのへんを読んでください!(『ひきなみ』は微妙に暗いか?
ここからノンフィクション。
まとまらない言葉を生きる
もう紹介とかいらんやろ。要約なんてしないよ。
「利他」とは何か
この後にも出てくるけど、ほんともう本当は加害とか被害とかの話したくないよな!?みたいな気分になりますね。でもずっとするよ。心底私たちが逃げられないのはここからだよ、でもいつもじゃないよ。そんなんばっかりは読まないよ。
そこで「利他」です。
若松さん目当てに読んだんですが、意外に磯崎さんもよかった。
関連動画も~
家族と国家は共謀する サバイバルからレジスタンスへ
せめて晴れた日に屋外で読みたい。
11月には信田さよ子と上間陽子の共著も出ましたね。買ってます。ちょっとずつ読みます。
闇の自己啓発
こちらも読了したのは年明けなんですけど、出版は上半期なので、ここに入れときます。評判よかったですよね。荒れていたとも言うかもですが、あれはパフォーマンスしている人の柄が悪すぎるため、破いた方を支持はできないです。単に面白い本です。
でもTwitterで「この本の想定読者は西野信者のアッパー層」みたいな言説があったりして…、それらも込みで、うん。
SF好きな人にはいいと思うんですけど、厭世的になってしまうのかもしれません。が、文章そのものが楽しい瞬間がめっちゃある。事実や想定ではなく、言葉によって救われよう。
文化資本とか教養について一家言(ていうか文句)がある人は、読みにくいのかもと思います。
参考資料として『天気の子』を見たり、サブカルが捗ります。年末にメンバーがコンテンツ地獄に出演していらっしゃいましたが、ダントツ面白かったです。
『闇の自己啓発』読んでるんだけど参考文献が幅広すぎて、わかる!とわからない…が交互に押し寄せる。。。
— きまや (@kimaya4125) 2022年1月10日
江永泉/ 木澤佐登志/ ひでシス/ 役所暁『闇の自己啓発』読了。サブカルから離れてしまったら分からないところも多いけど、とても楽しく読めた。たぶん啓発はされなかったけど、参考文献漁りが捗ると思う。たまに無駄に文章がカッコいい。
— きまや (@kimaya4125) 2022年1月17日
さて、グッときた古典は
です!
それではまた半年後!
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