きまやのきまま屋

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原田ひ香『三千円の使いかた』は今を生きる全人類が読んだ方がいい

少し前に、この記事のタイトルのようなことを言いながら母親から本を手渡されました、きまやです。買ってあげたの私なんだが!

『三千円の使いかた』

文庫の広告を、新聞で見かけたらしいです。原田ひ香さんの『三千円の使いかた』。

で、今めっちゃ売れているらしい。ドラマあってるから!

 

私が持っているのは 9版です!

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帯に垣谷さんがいて素敵。『老後の資金がありません』の作家さん。私の母は『うちの子が結婚しないので』のファンでもあります。今回、文庫解説を書かれています。

帯を取ったら、こう。

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ドラマも盛り上がっているようです。土曜の夜かな?ハッシュタグできてる。

私も、原作面白かったし違いを見てみようと思ってチェックするつもりが、実は録画して溜めていて…。

 

とりあえず、本の話をしますね。ドラマとはどう違っているでしょうか?

ネタバレ半分くらい。

あらすじ(原作)

第一話…20代前半の美帆は、都内の実家を出て社会人2年目。自分の暮らしに満足していたが、優しい同性の先輩のリストラ、それに対する男性たちの反応に違和感を覚え、会社勤めも安泰ではないと悟る。安心したいし保護犬を飼いたいし、ゆくゆくは一軒家ほしいかも…と、しっかり者の主婦である姉・真帆に節約術を教わり始める。

 

第二話…70代の琴子(上記姉妹のおばあちゃん)は、夫が遺した一千万円をじわじわ使い、なんとなくジリ貧。ホームセンターで出会った根無し草フリーターの安生(やすお)と、年は離れているけど友達。嫁主導で始めた料理教室運営で、お金を稼ぐ大切さと面白さに気が付くが、なんせ歳なのでバイトが決まらない。と思っていたら…?

 

第三話…真帆は専業主婦をしつつ、ポイ活と個別株スイングで自分のお小遣いを稼ぐ日々。娘の大学進学までに一千万円貯めたいが、気のいい初恋の夫の稼ぎはいまいち。友人や妹に「よく仕事やめたよね」と言われ、しょんぼり。最近バイトを始めたおばあちゃんに慰められる。しかしセレブ婚の予定がある親友が、なかなかエグい義実家と揉め…

 

第四話…もうすぐ40になる安生(やすお)は、出稼ぎ肉体労働と庭作りで生きている。インドで出会ったきなりと付き合っているが、子供がほしいと言われてビビる。きなりはiDeCoと小規模共済を積み立てるしっかり者。わりに高スペックな安生はモテるけど根無し草しかできない、結婚も就職もイメージがわかない。真帆たちと仲良くなったきなりに定住を迫られ、逃げ出すように出たサンマ漁で…

 

第五話…50代の智子は、上記姉妹の母親。更年期に悩んでいるものの子供は独立したからこれからは自分の時間が持てるかも、と思いきや病気が見つかり、ガンかもしれないと気を揉む。妻が入院しても何もできない世代の夫のご飯を作り続けることに嫌気がさしていると、親友は熟年離婚をすると言い出す。そうだ、一緒にFPに相談しに行こう!

 

第六話…美帆の新しい彼氏はサバけた現代っ子。節約ブログを始めるとPV的にも反応は上々。彼と結婚をぼんやり考えていたところ、彼の実家がお金的にブラックなことが判明。奨学金という名前の彼の借金は550万円、デカい。母親から結婚を反対されることに。でも彼氏、才能あるし、なにより前向きでいい人なんだよ!

 

読みポイント

各世代の女性が、それぞれのライフステージを謳歌しながら、個々の悩みを抱えているんだけど。それが、別個の問題でもなく、繋がっているところが面白い。

社会ってそういうものですよね。

あと、ある方向からは「しっかり者」と見えていた人も、自身では切実に迷っていたり悩んでいたりする構造を丁寧に書かれていて好感です。

 

個人的に言いたいことは、安生が根無し草しかできないのは就職氷河期世代に卒業したからだっていうのが、刺さりすぎて痛い。わかる。生まれてからずっと景気が悪い今の若い人もかわいそうだけど、社会に出るタイミングで急に求人がなかった世代はつらいのよ(コロナ禍の人もそうだろう)本州の大企業、氷河期の10年で九州からは院卒の男子一人しか採ってないとか、マジな話なのよ。

 

病理検査を一緒に、手をつないで聞きに行ってくれる友人、だいじ。

 

節約がだいじとはいえ、生きる本質は「楽しく暮らす」だと思う。原田さんもそう考えていらっしゃると思う。

 

個別株スイングとか(この単語は出てこなかったけど、様子から見るとスイング)、iDeCoとか、節約したい!と思ったらみんなで凄腕FPを頼ったりブロガーになったり、ネット民に親和性のあるストーリー展開も素敵。

 

小説としてはラスト色々あるもののちゃんと大団円を迎え、読後はスッキリします。

 

この一冊が、文庫で800円弱。これこそいいお金の使い方だと思います。

 

原田ひ香さんは、↓のイメージが強かったんですけど、エンタメに寄せつつ社会派なところは変わらずですね。

 

時間見つけてドラマも見ます!

 

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