(以前noteに書いていたものを再掲します)
苦しい気持ちが喉を通って這い上がってきたので吐き出してみたら、鮮やかな緑色のニワトリだった。
息はしていないようだ、死体かと思って触ると固い。
ニワトリを模した石膏像のようで、圧倒的な重みがある。
ぬくもりもあるが、これは私の体温だろう。
しかしなぜこんなに緑色なのか。
喉を通って出てきたわりに乾いていたので、抱えて運んでベランダに置いてみた。ニワトリには庭が合う。庭を見下ろせる位置に置いてやろう。
なにせ私の体内から出てきたものなので、興味を持って眺める。しかし同時に気味が悪いので、ガラス窓越しくらいがちょうどいい。
ガラス越しのニワトリ越しに庭を眺めて夜を過ごした。
夜明けは待たなかった。
あくる日、目を覚ますとニワトリは消えていた。ベランダにはかすかに汚れが残っていた。
童謡を歌いながらベランダを掃除する。
今日もいい天気になるんだろう。
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