くどうれいん『うたうおばけ』がすばらしい
今一番オススメしたいエッセイ!
最近、個人的に「友達って何ぞや?」と思っていたこともあり、突き刺さりました。「友達」ねぇ、「ともだち」かよ、って思ってた(伝わらなくていいんだけど)。
ていうかそんなことを悩んでいてもいなくても、この文章たちは良いものだと思う。
東北の、若い歌人さん・くどうれいん。でもどうやら短歌を詠むだけの人ではなくて、何でも書く人みたい。そんな人のエッセイ、一部で待望だった第二弾だよ!
周りの人への目線が鋭いけど優しい。暖かいようで冷め(醒め)ているのに、ヤケにはならない。ともだち、のことを見つめたエッセイ集です。
わぁ、説明が難しいな。
キャッチコピーは「人生はドラマではないが、シーンは急に来る」。まさにそういう一瞬が詰まっています。
これを「エモい」って言っても別にいいとは思うけど、少し違うと思う(そもそも「エモい」がどういう概念なのか、もう古いんじゃないのか、ということは置いておいても)。
それよりも少し地に足がついていて、やるせなくて、切実で若いけどやけに疲れてもいて。
陰キャとか陽キャとかで人を分かりやすく判断したい人は読まなくていいと思う。
エモいとかチルいとかだいぶダルいな…って人は読んだらいいと思う。あと乙一も中田永一もどっちも好き、っていう人も読んだらいいと思う。
気分がほんのり明るくなれる文字列が読みたい、という人はぜひぜひ!
私はたぶん、友達3人くらいに買わせると思う。。。人生の装備として優れているので。。。あーでも私、(笑)たまに使うんだよねー、単に世代なんだけどさー!
読了ツイート。
くどうれいん『うたうおばけ』読了。若い歌人のエッセイ集。色々なものを書く人なんだな。やっぱり最悪なゲーセンの話が刺さると思ったら、その後ふいに展開があったので納得した。しかし「地獄行き」多いね(行けばいい!)読みながら「間に合ってよかった」と自分のリアルタイム感を祝福してしまう。
— きまや (@kimaya4125) 2020年5月2日
これを読みながら私は「間に合ってよかった」と思った。もしかしたらそれは「生きていてよかった」なのかもしれない。
私はブランキーにも間に合ったし、今はくどうれいんだって読める。就職氷河期なんのその、ジェネレーションをロストしたとか言われても、いい時代に生まれたなぁ、と、こういうときは思う。
試し読みはこちらから
→第1回 うたうおばけ(くどうれいん)|書肆侃侃房 web侃づめ|note
出版社のnoteで、太っ腹に16編が公開中です。(単行本には39編が収録されているよ!)
私はリアルタイムで連載を読んでいて、「最悪で最高のゲーセン」回が好きで好きで、これを読んだときに「単行本になったら買おう…」と思いました。
分かりやすくグレても陳腐さから逃れられないのに、金髪にして何かに殴り掛かりたいキラキラのゲーセン。
第15回 抜けないボクシンググローブ(くどうれいん)|書肆侃侃房 web侃づめ|note
「髪染めても、パーマしても、おれたちは不良にはなれない」と、ミドリはあきらめたように、うれしそうに、かなしそうに言った。ひとりごとのようだった。陳腐。と思った。言わなかった。
オレンジのランプをつけた工場警備のセコムが来て、ここは立ち入り禁止区域だからきみたちは入れません、と言った。
その他の色々
私はご本人のTwitterをたまに拝見していて、
その流れで『うたうおばけ』刊行記念ツイキャスも聞きまして、
「ほっこりとか言うんじゃねぇぞ」って書いたあとがき初稿が藤枝さんからボツくらったそうです笑う。 https://t.co/mP2sel4w8D
— きまや (@kimaya4125) 2020年5月3日
編集者さんにボツくらったという、このエピソードに笑いました。
「ほっこり」って言われたくないと思うメンタリティが大好きだよ。
くどうれいんさんの前作『わたしを空腹にしないほうがいい』は、Amazonにはなくて、全国各地の本屋さんにちらほら置かれている…っていう感じですね。
『うたうおばけ』はAmazonにもあります。なんの違いなのかよく分かりません流通。
私は、地元の本屋さんのオンラインで購入しました!
出版社さんがやっている本屋さんajiro。天神になかなか行かなくなってしまったので便利~。5月末までは送料無料だって!
この本屋さん、以前レポートしています^^
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