『百瀬、こっちを向いて。』とは
映画化されていますが、もともとの原作は中田永一による短編『百瀬、こっちを向いて。』です。
あー言いたいことがいっぱいあるぞ。まずは映画をご紹介します。これがよかったんですよ。
映画のキャスト
早見あかりさんがヒロインで、高校生の役を演じられています。ももクロの元メンバーの人ですよね。
ドラマで言えば『すべてがFになる』の真賀田四季。あれよかったよね~。あと『アゲイン!!』でもヒロインをされていました。
原作アリのドラマにお強いのかと思えば、単純に演技がうまい人です。
話の半分は高校時代で、高校時代の主人公はあまり知られていない役者さんのパターン。
でも無名とかではなく、ドラマ『チーム・バチスタ2』に出演されていたとか。竹内太郎さん、この子もよかった。リアリティがある。
そして、大人パートで、大人になった(ついでに作家になった)主人公を演じているのが、向井理さん。
いい感じの役作りをされていて、なんていうかこう…暗い文学青年感がいい。
少しだけ『ゲゲゲの女房』の時を彷彿とさせます。性格は違う。
そしてこちらの映画、脚本が狗飼恭子なのが個人的にアツい。青春小説を書かせたら異彩を放つ狗飼さん。まさかここで再会できるとは!
という、なかば完璧な布陣で構成されている映画です。
更に言うと、原作が素晴らしい。
『坂道のアポロン』とか好きな人は好きそう。(『百瀬、~』は音楽系ではないし小説ですが、雰囲気はあんな感じ!)
『百瀬、こっちを向いて。』あらすじ
高校入学以降、パッとしない毎日を過ごしている相原ノボル(竹内太郎)。
ある日、何かと懇意にしてもらっている先輩の宮崎瞬(工藤阿須加)に呼び出され、自分の隣のクラスの生徒である百瀬陽(早見あかり)を紹介された上に奇妙な提案をされる。
それは瞬が校内で抜群の人気を誇る神林徹子(石橋杏奈)という恋人がいるにもかかわらず百瀬とも付き合っているといううわさを払拭(ふっしょく)するため、
彼女とノボルが期間限定で恋人同士を装うというものだった。
見どころとしては、
・主人公の「人間レベル2」(レベルが低いことを自覚しているので1ではない)のパッとしなさ
・百瀬がかわいい
・友達がかみさまのよう…
・先輩たちが、ふたりとも、侮れない…
・うぁぁ青春! 俺たちの○○川!
の5点です。
(○○の箇所には、地元の近くの川をあてはめてみると、きっと気分が上がります)
福岡県民としては舞台が久留米・筑後川なことに萌えるんですけど、映画では違う場所で撮影されたらしくて、そこは少しだけ残念。
「大きな川のある、少し田舎」という舞台をうまく使われていました。
ちょうどこれの原作を読み返してて、良い記事を見つけた。ついでに映画も観てるけど(早見あかり!)ロケ地は関東なんだね。https://t.co/eQGarL9rxM
— きまや (@kimaya4125) 2020年5月10日
【重要】映画と原作の違い
基本的に、とても原作に忠実に作られているなぁ。。。と感心しながら観ていました。
原作自体が短いため、少し足されているエピソードはありました。百瀬の家庭環境は、少し変えられていますね。ちょっとしたことが強調されている程度に。
ただ、圧倒的にこれ、映画の方もかなり優れているのですが。
ラストが違う。
映画『百瀬、こっちを向いて。』観た。原作とそこを変えてきたのかなるほど!そしたらだいぶ別物だけどそれもまた良いぞ!『舞姫』を深掘りしたからこそ変えたのかもしれないね、そこ以外あまり変えてないっぽいし。映像として美しいのは確かにこっちかも。しかし田辺くん登場シーンで泣いたわ…。
— きまや (@kimaya4125) 2020年5月10日
ラストを変えてきたんですよ、びっくりしました(良かったので褒めています!)
原作が、けっこうあっさりめの文体で書かれていて、ラストはたたみかけて終わる点が、良い読書体験ではあるのです。
けれど、映像ではその表現ができません。
ということで、話そのものを変えてきやがったー!映像のために!
それがまた映像として美しくて絶句しまして、なにこれ誰が改変したのサイコーじゃん、と思ってググったら狗飼さん…!ってなったので、最初に紹介したのでした。
人間ドラマとして、最高です。
再読了しました
中田永一『百瀬、こっちを向いて。』再読了。軽めの謎&青春はもうこれ一冊でいいんじゃないか。表題作は表現があっさりめなところ込みで完成度が高い。「なみうちぎわ」も好き。主人公たちが地味ながらもひねくれていないから、読みやすいんだと思う。文庫解説・瀧井さん曰く「生真面目」。
— きまや (@kimaya4125) 2020年5月12日
(短編集です。ほかの作品もいいし、気軽に読めますよ。よく友達に貸します。)
最後に語らせてくれ
このあと原作を読み直して、『舞姫』も読み返そう、と思いました。
『舞姫』についても、映画の方が詳しく触れられていたので興味をそそられます。人間描写の奥が深い。
そしてこの『百瀬、こっちを向いて。』の作者さん・中田永一なんですけど、一つお伝えしたいことがあります。
この人は乙一です。
そして久留米(福岡南部)の出身で、私と誕生日が同じです。
おうち時間で暇はある、かつての青春を思い出して悶絶したい、そんな人にオススメの映画です。
Amazonプライム会員なので、追加料金なしでこれ観られました!
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