ずいぶん前の知り合いに、とても感性豊かで繊細な子がいた。
音楽の趣味が合って同じバンドが好きで仲良くさせてもらっていて、楽しかったのだけど、彼女が当時の彼氏と別れた時に
「あのバンドは彼と一緒に何度もライブに行った思い出が強いので、もう聴けない」
と言い出して、感受性豊かなのも大変なんだな、と思った。
私はもともと映画やライブに一人で行きがちだけど、たとえ誰かと行ったとしても、上記の女の子のように感想やその後の行動には影響しない。
一応、この映画はあの男と観たな、とか。 このバンドは同じ女友達と何度も行ったな、とか。 覚えてはいるんだけど。
その印象は、感想と関係ないところで覚えているだけ。
そして映画観た3日後に告られて断ったらキレられた挙句にCD借りパクされたとか、先に就職した女友達とは時間が合わなくてほとんど会えなくなったとか、それはまた違う次元の話だと捉えている。
みなさんどうなのか、とても気になるところである。
とは言え私だって何も感じないわけでもなくて、某洋楽アーティストの一時期のアルバムはとても苦手だ、が、自分自身が元からのファンだったわけではないから分類が難しい。
お店でBGMに流れていると息苦しくなるアルバムが2枚くらいあったので、人気が廃れてきてくれていて助かる。
しかしこれも結局は昔の、私がもっとデリケートだった頃の話だし、今聴いても意外と平気かなーとも思う。
最近とんと聴いてないから検証できないけど(アルバム名を知らない)、意外と平気だよな音いいからな、多分。
でも、音楽好きとしては、こう…感傷に浸ってみたいな、とも思ったりして。
探してみた。マゾかよ。
で、目論見通り、なかなか切ないのを見つけたよ!
私スピッツ好きで、中学の頃から聴いてるんだ。
『運命の人』。
これ今聴くと、いい曲だなー以外に、なんか切ないなー、と思う。
「でもさ 君は運命の人だから 強く手を握るよ」 ここがね。リアルタイムに。
でも、マサムネさんが、重ねて「悲しい話は消えないけどもっと輝く明日!」って言うから。
「余計なことはしすぎるほどいいよ」って、言うから。
別にダメージってほどでもないなー、ってなる。
歌のメッセージとそぐわない感傷は、持ちにくい。
だって、「自力で見つけよう、かみさま」だもの。運命もなにもあったもんじゃないですよ!
マサムネさんの歌なら、ずっと好きでいられるし好きでいても文句言われないし、ライブに行けば会えるし、私の「君」は特定の誰かではない(特定の猫である場合はある)。
特に辛いことなんてないよな、ってなって、やっぱり特に曲やアーティストに思い出リンクしてないなぁ、と思ったよ、という記録。
サンボマスターもandymoriも(andymori解散したから壮平くんかALになるけど)、観たくなったら行くし、思い出と関係なくきっと楽しいだろう。 好きだから。
こういう、音楽の好きになり方をしていることで、私は私に本当に救われている。
音楽、その音楽 俺を開いて
Hi-Fi、あのHi-Fi 今を照らして
「変わらぬ日常」なんてどこにも無いよ
俺の音楽、俺の音楽 今を照らすぞ 音楽
( FoZZtone『音楽』)
※この記事は以前に書いたnoteからの転載です。
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