村井理子『兄の終い』読了。交流少なめになっていた兄の突然死を片付ける妹のノンフィクション。世の中には色々な手続きと仕事がある…という勉強になった。文章に勢いがある。私もせっせと片付けながら生きたいものです。
— きまや (@kimaya4125) 2021年4月15日
これはなかなか必携なのではないか、と
「今の時代読んで損はない」と思った「今の時代」とは、コロナ禍ではなく、高齢化や孤立化の目立つ時代のことです。
この本は、元の家族とは距離が生まれて、自分の家族を運営している女性と、距離も心も離れた兄の話。だいたいノンフィクションのようです。
ある日、警察から電話がかかってくる。「お兄さんが亡くなりました」と。こういう時は家族は確認に行かなければならない。ドラマで見るやつ。そしてここから現実的な話、親しくしていなかった・むしろ嫌いだった兄の葬式を執り行い、家を片付けないといけない。
著者の居住地は、滋賀県。電話をかけてきたのは塩釜署…って、宮城県?
「誰が葬式を出してくれるのか問題」、「突然死した場合は遺された方は何をしたらいいのか」「元妻(元義理の妹)とのやり取りはどうするのか」「子どもが一人で残されている場合は」など、普通に葬式をする以上に大変な状況がてんこ盛り。
もう逃げることはできない。ここを片付けなければ何もはじまらない。ここを片付けなくちゃ、兄はここから去ってはくれない。
p68
それをモリモリと片付けていく著者と元義理の妹さん、大変そうでしたが一種の爽快感があり、一気読みでした。
そして本当に5日で片付いた!という感慨もあり、まじめな話ではあるものの面白く読めます。
お兄さんの生活保護の話、甥の小学校の先生方の対応、今の私の生活からは知りえないけれど絶対に「知っておいた方がいい」ことがたくさん書かれていました。
読了後、母に貸したら一日で読んでた。面白かったそうです。
ちなみに母は次の↓エッセイの時から「滋賀県の人がいいわぁ」と言っていたので貸しました!
村井理子さんを知ったきっかけのエッセイ『モヤパン』
誠実さという言葉がたんぽぽの綿毛のようにはかなく見える世界を呆然と眺めながら、一方で青山さんと村井さんと交わした手紙は、必死さや真剣さを鍋底が焦げつきそうなくらい煮詰めないと書けなかった。人に対して誠実であるということがたしかにここにあると、書きながら私は救われていたんだと思う。
— 牟田都子 Satoko Muta(単著準備中) (@s_mogura) 2021年4月20日
牟田都子さんの「最後かもしれない」も最近よく読み返したり、ふと思い出したりしている。
— 青山ゆみこ (@aoyama_kobe) 2021年4月19日
わたしたちは昨年を生き抜いて、この先を生きようとしている。いつだって「いま」を生きている。そのことが牟田さんらしい誠実さと落ち着いた声で、訥々と語られている。 pic.twitter.com/tkcU2fdq5T
牟田さんファンなので手に取りました。コロナ禍日記では今のところ、これが一番好きです。私の世代~ちょっと上の女性は、読んでみたらどこか必ず面白いのではないかしら。
猫で泣いたのは趣旨ではないのかもしれないけれど。
モヤモヤを迂回したり手に取ったりしながら、人に告げようとしながら、直接は言えないでお互いを気遣う。それが一番の伝達なのかもしれないと思います。伝達って、コミュニケーションって、剛速球をぶつけ合うことではないのでね!
村井理子さんといえば『エデュケーション』
村井理子さんはエッセイストであり、翻訳家でもあります。代表作は圧倒のこちら。
家族を支配する狂信、陰謀論、ホメオパシー、そして暴力……衝撃の回顧録『エデュケーション』訳者あとがき|Hayakawa Books & Magazines(β)
次も楽しみ 『全員悪人』
もうすぐ出るという新刊。認知症、介護モノらしいです。タイトルがすごい。
#全員悪人 pic.twitter.com/t5zt2BYMVg
— 村井理子 (@Riko_Murai) 2021年4月20日
あとがき
— 村井理子 (@Riko_Murai) 2021年4月20日
“老いるとは、想像していたよりもずっと複雑でやるせなく、絶望的な状況だ。そんななかで、込み入った感情を抱くことなく必要なものごとを手配し、ドライに手続きを重ねていくことが出来るのは私なのだろう。これは家族だからというよりも、人生の先達に対する敬意に近い感情だと考えている”
読んだ!
村井理子『全員悪人』読了。向こう側視点からの認知症のこと。もともとがとても愛情深い人なんだろうなぁと思うんですよ…そして両親は同時に老いていくんですよ…これからが不安である。それにしても水道ポリスと魚屋は許すまじ。
— きまや (@kimaya4125) 2021年7月14日
エッセイも楽しみにしています!息子ネタ&犬派の人は要注目の連載です。
#村井理子 さん @Riko_Murai 「 #村井さんちの生活」更新!
— 考える人|新潮社 (@KangaeruS) 2021年4月19日
双子がついに受験生、反抗期の対応に苦慮し、仕事も切羽詰まって、制限つきの生活も出口が見えない……この「不安を先取りして抱える」ような想い、ある意味人生に真摯に向き合っているからかも。https://t.co/b43ggffpWW #考える人
【いま読まれている「よみもの」はこちら!】
— 集英社「よみタイ」 (@shu_yomitai) 2021年4月19日
翻訳家 #村井理子 (@Riko_Murai)さんによるエッセイ&読書案内「犬と本とごはんがあれば 湖畔の読書時間」第21回。
〜汚部屋片付け作業動画が伝えるもの—部屋と住人の数だけ事情があるhttps://t.co/jHG15xLiOR
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