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今の時代読んでおきたい『兄の終い』村井理子(2020/CCCメディアハウス)

これはなかなか必携なのではないか、と 

兄の終い

兄の終い

  • 作者:村井 理子
  • 発売日: 2020/03/31
  • メディア: Kindle版
 

「今の時代読んで損はない」と思った「今の時代」とは、コロナ禍ではなく、高齢化や孤立化の目立つ時代のことです。

この本は、元の家族とは距離が生まれて、自分の家族を運営している女性と、距離も心も離れた兄の話。だいたいノンフィクションのようです。

 

ある日、警察から電話がかかってくる。「お兄さんが亡くなりました」と。こういう時は家族は確認に行かなければならない。ドラマで見るやつ。そしてここから現実的な話、親しくしていなかった・むしろ嫌いだった兄の葬式を執り行い、家を片付けないといけない。

著者の居住地は、滋賀県。電話をかけてきたのは塩釜署…って、宮城県? 

 

「誰が葬式を出してくれるのか問題」、「突然死した場合は遺された方は何をしたらいいのか」「元妻(元義理の妹)とのやり取りはどうするのか」「子どもが一人で残されている場合は」など、普通に葬式をする以上に大変な状況がてんこ盛り。

もう逃げることはできない。ここを片付けなければ何もはじまらない。ここを片付けなくちゃ、兄はここから去ってはくれない。

p68

 

それをモリモリと片付けていく著者と元義理の妹さん、大変そうでしたが一種の爽快感があり、一気読みでした。

そして本当に5日で片付いた!という感慨もあり、まじめな話ではあるものの面白く読めます。

 

お兄さんの生活保護の話、甥の小学校の先生方の対応、今の私の生活からは知りえないけれど絶対に「知っておいた方がいい」ことがたくさん書かれていました。 

兄の終い

兄の終い

  • 作者:村井 理子
  • 発売日: 2020/03/31
  • メディア: Kindle版
 

読了後、母に貸したら一日で読んでた。面白かったそうです。

ちなみに母は次の↓エッセイの時から「滋賀県の人がいいわぁ」と言っていたので貸しました!

 

 村井理子さんを知ったきっかけのエッセイ『モヤパン』

あんぱん ジャムパン クリームパン——女三人モヤモヤ日記

あんぱん ジャムパン クリームパン——女三人モヤモヤ日記

 


牟田さんファンなので手に取りました。コロナ禍日記では今のところ、これが一番好きです。私の世代~ちょっと上の女性は、読んでみたらどこか必ず面白いのではないかしら。

猫で泣いたのは趣旨ではないのかもしれないけれど。

 

モヤモヤを迂回したり手に取ったりしながら、人に告げようとしながら、直接は言えないでお互いを気遣う。それが一番の伝達なのかもしれないと思います。伝達って、コミュニケーションって、剛速球をぶつけ合うことではないのでね!

 

村井理子さんといえば『エデュケーション』 

村井理子さんはエッセイストであり、翻訳家でもあります。代表作は圧倒のこちら。

 

家族を支配する狂信、陰謀論、ホメオパシー、そして暴力……衝撃の回顧録『エデュケーション』訳者あとがき|Hayakawa Books & Magazines(β)

 

次も楽しみ 『全員悪人』

もうすぐ出るという新刊。認知症、介護モノらしいです。タイトルがすごい。 

全員悪人

全員悪人

  • 作者:村井 理子
  • 発売日: 2021/04/27
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

読んだ!


 

エッセイも楽しみにしています!息子ネタ&犬派の人は要注目の連載です。 

 

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