(2024/07 更新)
今更かも?と思いつつ、せっせと書いたので公開します。2019年から私がドはまりしている町屋良平を、全作品解説させてください。
- 青が破れる
- しき
- 1R1分34秒
- ぼくはきっとやさしい
- 愛が嫌い
- ショパンゾンビ・コンテスタント
- 坂下あたると、しじょうの宇宙
- 冒険の記録
- ふたりでちょうど200%
- (短編)四半世紀ノスタルジー
- (日記)パンデミック日記
- リレー日記『全身が青春』
- 野間文芸新人賞!長編「ほんのこども」
- 「私の文体」
- 私の批評
- 連載『生活』
- 文庫解説
- 短編「私の推敲」
- 恋の幽霊
- 生きる演技
- 私の小説
- インタビュー(する方)
デビュー作以前のものは把握してません…色々書かれていたようです。
それではどうぞ!
青が破れる
あらすじ…主人公の秋吉はボクサー志望。友人のハルオの彼女とう子は難病でもうすぐ死んでしまう。おれの彼女の夏澄には夫と息子がいる。夏澄はおれのことを好きではないが会っていて、とう子はハルオに会おうとしなくなる。後輩の梅生をみんなに紹介する。おれはボクシングをする。
(文庫の概要)
- 青が破れる
- 脱皮ボーイ
- 読書
- <特別収録>マキヒロチ マンガ『青が破れる』
- <特別対談>尾崎世界観 表現者は動き続ける
『青が破れる』で町屋良平を初めて読んで、
ひらがながおおい
と思いました!
でもそれが嫌でもなくて、この雰囲気を作るために必然の平仮名なのか…?いや、それにしても多いぞ…?と戸惑ったものです。でも、嫌ではなかった。
『青が破れる』は、小説としてはあっさりしているかも?
波瀾万丈のあらすじがある、というわけではなく、死ぬ者は死に、残された者は生き、そうやって別れるまでみんなで仲良くしている時の風景をたんたんと描写していく感じ。
過ぎていくものへ対して視線を送っていて、さらっとしている感じもありつつ、冷たくはない。人はよく死ぬ。文章はゆるめ。
初版(単行本)は2016年11月。第53回文藝賞を受賞した、デビュー作『青が破れる』は、三島由紀夫賞の候補にもなりました。
その他に短編2つを加え、単行本に。
文庫には特別収録でマキヒロチさんの『青が破れる』の漫画(この漫画が、文庫版の表紙になってます)と、
尾崎世界観との対談、が収録されている!豪華!!
その他2作は、けっこう異色な短編です。『脱皮ボーイ』けっこう好き。
しき
あらすじ…登場人物は高校生たち。巷の話題(恋愛とかテレビとかスクールカースト)にあまり興味がない男子3人と女子3人。ゆるーく関わりながら、それぞれ家のことで悩んだり、やきもきしたり。そして男子チーム・星野と草野は夜の公園で「踊ってみた」を始める。
ダンスものと言ってもいいのかもしれない?「踊ってみた」文学。でも、どのように踊るのかというと
そうか、われわれも、音楽のために踊っているのだ。
音楽がたのしいから。音楽を表現しているのであって、じぶんを表現しているのではない。しかし愚直に音楽を表現してはじめてであえる「じぶん」もいる。
『しき』P32
なんだか達観していて、でも素直で、とても面白いと思いません?
そしてそこに、異端者として川原の友人「つくも」が混ざって星野が混乱し…。草野は転校生で、阿波踊り経験者でもあって、前にいた地域のヤンキー(阿波踊りになると光り輝くひきこもり)との手紙の交流もあるんですよね。
こういう、色々な関わり方のゆるい友達が、かれらの人格に少しずつ影響を与えていることが分かる。
特に大きな事件があるわけではないんですが、良い読後感です。タイトル通りに巡っていく。
初版は2018年7月。第159回芥川賞候補作。文庫解説は、長嶋有!
とある書評家の方がおっしゃっていたのが、「ちょっとポエムっぽすぎると感じる人が多いかもしれない。最初の3行で拒否反応が出なければ読み通せる」とのこと。
私はイケました、むしろ好き! 心配な方はkindleのサンプルダウンロードで様子を見てください。
1R1分34秒
2019年1月。第160回芥川賞受賞作!
あらすじ…ボクシングをやっている僕は試合相手に感情移入しすぎて負けやすい。彼女がいるけど彼女には彼氏がいて、友達は一人だけ。友達は僕を映像に撮り続ける。トレーナーにはタメ口をきく。ボクシングの練習は、つらい。減量がつらい。
『青が破れる』と同じく、ボクサーが主人公。同じ人ではなく、こちらはプロなので試合中の描写がしっかりあります。初めから終わりまで、しっかりボクシングしてます。
体を操ることにこだわりがあるっぽい町屋さん。
慣れればダンスみたいにしぜんに動けるから。
p51
鬱屈した青春系、と言っていいかも。デビュー作で書き忘れていたことを集めた感じですかね。
受賞作ではあるんだけど、これから入ると読みにくいかも、と思います。でも『しき』のポエミーさが苦手だった人にはいい?
言語化できる地獄に地獄はない。
p132
減量の緊迫感と、終わり方が見事!
文庫化だそうです!
「1R1分34秒」という小説が12月に新潮文庫になります! 装丁かわゆの解説ゴージャスですので、お楽しみに~
— 町屋良平 (@cori_uno) 2021年10月26日
解説は町田康でした。かわいいイラストは小幡彩貴さん。
ぼくはきっとやさしい
2019年2月。長編。
あらすじ…メンヘラ系男子が日記を書きながら恋をしたり旅をしたりする
友達と弟のキャラがいいし、ミニマリストやブロガーが出てきて、現代を切り取っているなぁと思う作品です。
が、意外に売れていない印象です。主人公がナヨいからか…いや、町屋作品ではこれくらいが普通じゃない?むしろ毎回水没してくれるから面白くない?
結果として、これは詩でした。
夏の終わる風のにおいがして、ぼくはようやく、なにかをいわなければ感情はなにひとつつたわらないんだ、ということをおもいだした。
『ぼくはきっとやさしい』p15
このまま真摯に文章を書いてゆけば、日記がぼくよりぼくになるんだよ。日記のほうがにんげんに近くなる。文章のほうがぼくよりもぼくになる。
『ぼくはきっとやさしい』p30
愛が嫌い
2019年6月。中編集。
- しずけさ
- 愛が嫌い
- 生きるからだ
これ、読み返すたびにどの作品が心にしみるか変わりがちです。
初読の時は「愛が嫌い」をほめるツイートをしたみたいですが、再読した今は「しずけさ」に痺れています。
第10回Twitter文学賞で、私の一票をささげました。当時の記事はこちら→Twitter文学賞 2020年、第10回(終わらないらしいよ、やったね!)
派手さはないものの、良い! 弱い人の日常系。
元気だけど社会的に弱い子どもと、疲れ果てて休養中のニート(「しずけさ」)
友達の幼児を預かる日常がけっこう好きなフリーター(表題作「愛がきらい」)
記憶をなくした会社員のゲーム実況と、本当の家に居つけないルームメイト(「生きるからだ」)
…この一冊通して主人公たちは弱っている感じなので、弱っている時に読むとホッとするかもしれません。メンタルクリニックへ行く時の心構えも分かる!
椚くんは、それもなにか違う、とおもいながら喋っていた。しんじつに迫ろうという気もちが、とてもきつい。だれもがつかうような定型表現や、懐古的な常套句に頼ってしまいたい。
『愛が嫌い』p48「しずけさ」
「忙しいひとはいやだな…………。こっちまで辛くなる。忙しいひとは忙しいひと同士でしか憩えないし。結果どんどん忙しくなってゆく」 ぼくはこういうときばかり本心をいう。(中略)心底から常々考えていることを他人にいうことは、現実逃避の最たる方法か?
『愛が嫌い』p156「愛が嫌い」
「生活がたのしいけど、生活に閉じこめられて、生活を膨らませるのはできても、たまには生活の外にでるべきだった」
『愛が嫌い』p203「生きるからだ」
(ページ数は単行本)
ショパンゾンビ・コンテスタント
おれは音楽の、お前は文学のひかりを浴びて、腐ろう。ゾンビになろう。 (帯文)
少し前までボクシングものが異彩を放っていたところ、音楽と文学がきましたよ!!!(『しき』でもピアノの発表会はありました)
再読したらあまりによかったので、記事を書きました。なんの感想にもなっていませんが。
2019年10月。長編。
これで、町屋良平が2019年にたくさん出版しすぎ問題にいちおうの終止符が打たれます。一年でこんなに濃いものを4作も… !
坂下あたると、しじょうの宇宙
2020年2月。長編。
町屋良平を読みながら「これもう詩じゃん」と言っていたら本当に詩をテーマにしてきた一冊。
あらすじ…主人公・毅と友人・あたるは小学校が一緒で、高校で再会してつるむようになった。あたるは人付き合いが苦手なキャラだけど、詩や小説や批評まで書いたりする天才文学者の卵。ネットに文章を発表したり、新人賞の最終候補に残ったりする。その周りをフラフラしながら毅も詩を書き始める。
日々いっしょに遊んでいて、坂下あたるの「あえて語らなかった」あるいは「語りこぼした」ことばの集合でできている。あたるのことばの結晶化を逃れたもの、ダイヤモンドの削りかすみたいなのを、おれが拾い集めてできているのが、おれの詩だ。
P9
自分のオリジナリティに不安を覚えつつ、新しい世界を覗き見る毅。そこにあたるの彼女・さとかちゃん、さとかちゃんの友達・蕾、文章投稿サイトの創設者などが絡んできて、一波乱。
びっくりなのは、この文脈でAIが登場するところです。泥くさい青春&現代詩をやっているのに、急にサイバー。よくここに絡めたね?と思います。
蕾ちゃん(口が悪い)が詩を朗読するところが好きです。あと、あたるは途中で失語してしまうのですが、失語の前に彼の世界観が表出する5ページにわたる長台詞がいいです。
ようするに愛は三角形で、お互いにひたすらむきあうのではなく、頂点にいるものをふたりでみて、反射するものをいつくしむことが愛だ!
P36
町屋良平『坂下あたると、しじょうの宇宙』再読了。前半のあたるの語りが更に沁みたし、女子たちの口の悪さがジワジワくる。ダウナーに創作、あと中庸。ラストでこちらが書くことをやめたら視点すら変わったの象徴的だ。
— きまや (@kimaya4125) 2021年4月1日
みんなのつぶやき文学賞で、2020年第10位になりましたね!
第1回(2020年)つぶやき文学賞|国内篇受賞作一覧 | みんなのつぶやき文学賞公式サイト
冒険の記録
「かれ」とその幼なじみ、ふたりの過ごした時間に重ねられる僧侶と勇者という役割。そして言語と魔法、勇者と魔王の同一性。本作は反青春小説あるいはポスト青春小説の試みである。町屋良平初の電子書籍書き下ろし。
カオスな商品説明!
こちら、kindleでしか読めない作品です。かなり短編。400字詰め原稿用紙換算約24枚だそうです。それが280円。
のちの作品の前触れみたいな、坂下あたる再来みたいな設定もありながら、ファンタジーに足突っ込んでいるのに情緒。もうね、ミラクルよ。
幼なじみの少年が勇者になって、自分は僧侶になって勇者を描写しながらボルヘスを読むけど挫折するの。コルサタルにも挫折した頃には、自分も攻撃魔法が使えるようになってるの。ねぇ、この世界どこ???
勇者がそれを眺め、「おまえ、ひかってるぞ」という。
「そりゃ、ひかりもするよ」
「なんでひかるの?」
「おまえのことを、理解できそうだからだよ」
(本文と同じ箇所を太線にしています)
数ページでトベるのでおすすめです。
ふたりでちょうど200%
2020年11月。連作、というにも感覚がヘンな短編集。発売前に全タイトル見て爆笑しました。
- 「カタストロフ」
- 「このパーティー気質がとうとい」
- 「ホモ・ソーシャルクラッカーを鳴らせよ」
- 「死亡のメソッド」(書き下ろし)
こんなタイトルで、主題をずらしながら繰り返すんです。連作短編集って言わないかもしれない。
男性2人が、友達だったりアンチだったりしながら交流したりしなかったり。。。重ねていくから情緒が大変なことに。
あと、これはライターさんは読んだ方がいいと思います。終わり方に注目。
町屋良平『ふたりでちょうど200%』読了。立場や状況を変えて繰り返される2人の情緒と、忘れられないいろいろな暴力と海とパーティー。何言ってんだろうこの人天才だからね?4作品どれも雰囲気違ってよかったけど、ラストにサブキャラが分裂したところも泣ける。言葉と資本と正義と想像力!
— きまや (@kimaya4125) 2020年12月15日
(短編)四半世紀ノスタルジー
これに短編が載っています。『四半世紀ノスタルジー』というタイトル。
他の作家さんはコロナ禍の話題にしておられる方が多いんですが(金原ひとみと津村記久子がよかった!)、『四半世紀ノスタルジー』はコロナ禍関係なく、とあるカップルの話でした。DV描写が怖かったです…
「幾ちゃんはいい子だよ」
「いや、すごい、もっと、いまとは違うのよ。ぜんぜん」
「そんなのどうでもいいことだ。皆いい子はいい子だよ。殴るほうがわるくて、殴られるほうはわるくない」
「そんなのわかってるけど」
「わかってない。きみはわかってないんだよ。自分たちはわるくなかったってことが。おれたちがわるかったことをほんとうにはわかっていないことが、ほんとうにどれほどわるいかも、わかってないんだ」
p427『四半世紀ノスタルジー』
(日記)パンデミック日記
こちらでは、1月8日から14日の日記を書いています(2020年の話)。二番目に出てきたのでびっくり。この時はせっせと小説を推敲しているようでした。
日記と言えば、
リレー日記『全身が青春』
『全身が青春』大前粟生/町屋良平/磯上竜也を購入しました! https://t.co/BDxtbbx5Nx #BASEec @toibooksより
— きまや (@kimaya4125) 2022年5月9日
toibooksさんの通販サイトで購入できます。九州ですが2日で届いてびっくり!
作家さんと本屋さんで、noteでここ数年書いていたものの単行本化ですね。
良いタイトル。町屋さんはいろいろな形式のものを書いてらっしゃいます。
さわる手指の器用さがひとをころす
— きまや (@kimaya4125) 2022年5月30日
その拳でひらかせた口腔で良いことを言うな
好きだ良いことを言うなおまえをひらけ
『全身が青春』p25 町屋良平「詩日記(2020/03ー04)」
野間文芸新人賞!長編「ほんのこども」
群像に載ったぶん、連載?が一冊に。
初出:「群像」2020年1月号、10月号、12月号、2021年2月号、4月号、6月号。掲載連作を大幅に加筆・改稿したものです。
ありがたいことに昨年今年「群像」に連作として書いていた「ほんのこども」という小説の感想をちょいちょいエゴサで目にしていて、うれしさあふれています。単行本が11月のあたまに出ますので、断片的に読んでいたかたも、まだのかたも、ぜひ読んでほしいです!!!! 装幀もクーーーーーールです
— 町屋良平 (@cori_uno) 2021年10月2日
大変な力作、そして問題作でした。這いつくばって読め。私の感想ツイートも混乱しています。
『ほんのこども』、暴力にちかしいが過ぎて読みにくい、、、逆に迫力があるものだから、ほんとにもう。フラットに読めない。
— きまや (@kimaya4125) 2021年12月14日
殴る側と殴られる側の了解があってようやく死亡はよぎる。言葉は通じない世界ですと暴力で教えていくと人体は生存の安全圏から出て、しかしまだ死亡までは遠い、なにもないのっぺりとした草原のような生命の場にでる。
— きまや (@kimaya4125) 2021年12月14日
p98
じゃあだれか代わりに語ってよ!そのときだけだった。ほんとに代わりに語ってほしいのはそのときだけだったのに、肝腎のそのときに言葉はぜんぜん語られず、語れずに私は失った。なにを?わからない……しりたいよ。この際、フィクションでもいい。 いや、だめか?
— きまや (@kimaya4125) 2021年12月15日
だめかもしれない……もうだめだ、私にはほんとうのことは無理だ。フィクションはほんとうしか語れない。だからほんとうへの限界が設えられている。そんなことかけるか?
— きまや (@kimaya4125) 2021年12月15日
p276
町屋良平『ほんのこども』読了。なるほど大雑把に人が病気で死ぬことが書かれるなら、丁寧に人がころしころされする描写をしつこくかきかかれ書き直されることもやっていいよね、という本。途中で大量虐殺もあり、文体のことと私のことが広がって細かく愛のあった友達と小説がお話しする。
— きまや (@kimaya4125) 2021年12月15日
倉本さおりさんによる評も出ています!
#群像7月号 町屋良平『ほんのこども』論。町屋作品にはおなじみのボクシングというモチーフ以外にも、〈解釈すること〉をはじめ暴力の姿があらゆるレベルで描かれている点に加え、〈恥ずかしい〉という感情も頻出する点に着目しました。そこに成熟と「〈私〉を引き受けること」の問題意識がある。→ pic.twitter.com/yxqfXNhCAy
— 倉本さおり (@kuramotosaori) 2022年6月8日
『ほんのこども』は敢えて「私小説」の体裁を掲げながら、「(書かれる)私」が他者であるはずの「かれ」と混じりあう、あるいは癒着していく奇矯な小説。そこには「(書く)私」の暴力と罪の意識が複雑に折り畳まれている。→ pic.twitter.com/pGbOn7AepW
— 倉本さおり (@kuramotosaori) 2022年6月8日
だからこそ町屋良平は〈恥〉の外在化を通じて「私」を不器用に立ち上げいていく。「私が私であること」を引き受けるために。それが、加害と蹂躙の文脈の果てにある戦争という暴力のシステムから脱する唯一の手立てだから。『ほんのこども』とはそういう志と覚悟のもとに書かれている苛烈な小説。→
— 倉本さおり (@kuramotosaori) 2022年6月8日
書くこと、書かれること。読むこと、読まれること。切り離されること、あるいは繋がってしまうこと。社会と暴力と私「たち」のおぞましいありようーーその解体に、小説にしかできないやり方で挑んだ凄まじい作品です。みんな読んで。 /町屋良平『ほんのこども』(講談社)
— 倉本さおり (@kuramotosaori) 2022年6月8日
追記・2022/11/04 『ほんのこども』が野間文芸新人賞を受賞しました!めでたい!芥川賞も獲ったのに!?すごい!
町屋良平が野間文芸新人賞!!!
— きまや (@kimaya4125) 2022年11月4日
『ほんのこども』ちょっと怖かったけどよかったもんね〜☺️めでたいよ〜 https://t.co/I9gM5q7WhJ
「私の文体」
まだまだある群像。文学界と新潮にも、単行本化されていない短編がある気がしますが!
「私の文体」は、13ページほどの短編でした。創作です。
※『私の小説』に収録されています…よね?要確認。
心療内科に行ったりコロナを気にしたりしています。…創作って書いてあるんだけど「町屋さん」って出てきます。ゲラ作業をされています。
不思議に面白かったですが、これは単行本化するの難しいのでは…?
群像2021年12月/ 創刊75周年記念号3、町屋良平『私の文体』読了。エッセイかとも思う通院と睡眠の話に、『ほんのこども』の続きのようなAから奪った文体の話。でも日常で人と距離を取るようになった原因は法律だ、というパラレルワールドになってた。加害にこだわる町屋さんらしいパラレル構造。
— きまや (@kimaya4125) 2022年6月14日
私の批評
町屋さんの「私の~~」シリーズ、短編では『文藝 2023年春季号』に載った短編小説「私の批評」があります。
※『私の小説』にこちらは収録されているらしいです!(出版社情報)
こちら、川端康成文学賞を受賞しました!!(2024春)
連載『生活』
『ほんのこども』以降、どういうものを書いていくのかすごく難しいと思うんですが、始まりました、新連載。
まずは新潮で『生活』。 ※2024年4月時点でも連載中。「生活 第二部」8回目なう。
文庫解説
wikiに載っていない系の話をすると、私が把握しているのは文庫解説(他にもあるかも)
山田詠美さん『ファーストクラッシュ』の文庫解説を書きました。ファーストクラッシュとは初恋のことですが、初と恋がぶつかるときの身体と言葉に起こることが生々しくも鮮やかに書かれた素晴らしい小説と思います。ぜひ手に取っていただけると嬉しいです!
— 町屋良平 (@cori_uno) 2022年10月7日
などです!
短編「私の推敲」
この雑誌とても面白そう。金原ひとみですもの。
遅すぎる画像をパシャア 背もカワ https://t.co/1N9W0HPQGX pic.twitter.com/BuYTjseyIT
— 町屋良平 (@cori_uno) 2022年7月19日
と思っていたら、書籍化されました!
「私の推敲」は本当に私小説っぽくて、ちょっと口調が違えばエッセイなんじゃないの?という手触りの作品でした。でも創作だと思うけどね?イマジナリーにいう、全作がんばって読むぞ。
恋の幽霊
帯をはずすと、こう。
恋の話というか、青春の4人組の話で。大人になった視点もありつつ、恋のパワーが縦横無尽に…。濃かったです。
終わり方はいい感じだけど後味は良くない、さすがの読後感。
生きる演技
2024年3月の新刊。文藝に連載されていたものだと思います。
なんと、発売前重版になっています。純文学ではかなり珍しくない?
試し読みページがあるよ!
公園で始まるの、『しき』みたいでいいです。
暗闇の解像度を上げると光った。
始まり方が天才すぎるよ……。そして終わり方もすごい。ぜんぜん予期できませんでしたこれ。でも確かにあっちの父の話し方、ちょっとあれだなって思ってはいた。
生きているものは証言だけを尊ぶ。だけど忘れないで、その証言のために思い出させる材料は、記憶だけでは足りないものだよ。たとえば表現とか、フィクションとか、そういう根源的な暴力が証言を成立させる。
町屋良平『生きる演技』p268
自分を語るものが自分から遠ざかることがわかる。声を発し、言葉を記録でもしなければ、さまざまな記憶はなかったことになるだろう。どうしても忘れたくないことがあったから人は言葉を書くし語り継ぐ。だがすべての記憶がそんな特権的なものではありえない。p351
イベントもありますね!
【オンライン視聴/イベント参加券】柴崎友香『続きと始まり』×町屋良平『生きる演技』「小説」は「...
倉本さおりさんとやっているシリーズ ↓ は、三回目になるのかな?
町屋良平+倉本さおり『読むこと、書くこと』https://peatix.com/event/3909162
インタビューはこちら。2つ見つけました。
私の小説
2024年夏の新刊です!今までの「私の○○」シリーズがまとまった感じでしょうね~。
表紙すごいね。。。
インタビュー(する方)
江國香織の最新刊『川のある街』、私も気になっています。私、『きらきらひかる』からリアルタイムでほとんど読んでいるので…。
で、新刊について、町屋良平さんがインタビュアーとして取材をした記事が出ています。
これどういう仕組みなのか、ご本人が希望されたのか。
「冷静情熱」から江國に入ったとは驚きかも。江國なら『神様のボート』とかもいいですよ。
関連リンク作家の読書道 第210回:町屋良平さん - 作家の読書道
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