寺地はるな『ビオレタ』を読了したので、ツイート
寺地はるな『ビオレタ』読了。終始ニヤッとする可笑しみがありながら、いいものと悪いものがぎゅうぎゅうに詰まっている。場面転換と回想の入れ方が巧みで、平たく読めるけど奥行きがある。そして言語センスがいい。これはよいものです。
彩瀬まるが好きな人は、寺地はるなもいけるんじゃないかな(個人の感想)
— きまや (@kimaya4125) 2015年6月7日
もう言いたいことは上記ツイートに全て凝縮してあるので、ここでは違うことを書きます。
買う前のこと
私はあまりお金がないので、新刊の単行本を買うことは月に一度あるかないかです。
こりゃ財布的には非常に厳しい、と思いつつともかく本屋さんで実物を見てみたら。
いい感じ過ぎた。
ちょっとめくって最初の四行を読んだ。
レジに持って行った。
なんだろう、この装丁の良さ。
小物が並んでて女性受けするっているのはあるけど、積み木と切り抜きが並べてあるセンスに加えて、手触りがテラテラしてるんですよ。「寺地」だからテラテラしてるのかしら、とか思ったけど多分違うでしょう。なんかもう、存在自体が良かった。
凝ってるってわけでもない…気もするんですけど(少なくとも『コールド・スナップ』ほど凝ってはいない)、なんかいいですよこれ。装丁に詳しい人はぜひこの良さを分析してみてください。
(余談ですが、私がここ数年イチオシの彩瀬まるの長編デビュー作は装丁が良くなくて損していると思う。イラストだから駄目ってことじゃなくて、雰囲気が合ってない)
- 作者: 彩瀬まる
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2013/03
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- 作者: トム・ジョーンズ,舞城王太郎
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『ビオレタ』は、しみじみ眺めいって本棚に飾りたくなった。そんな本です。
実物が予想以上に可愛かったし、帯文がすごく「らしい」ので購入に至った。特に一行目。村山由佳いいこと言いよんしゃる。読むの楽しみ&帯外したらもっと可愛いの反則やけんこれ! pic.twitter.com/KXHlJwPrOT
— きまや (@kimaya4125) 2015年6月5日
あとはツイートにも書いた帯文。裏側ではストーリーの説明が過多すぎる気もしたけど、これくらい内容をバラしていても全然途中までなんですね。
ちなみに最初に村山由佳を褒めたけど、読了後はむしろ「村山由佳じゃ足らん!窪美澄は読んだのか?津村記久子・綿矢りさ・西加奈子にもちゃんと読ませたのか?」と責めたくなってしまいました(誰をだ。そして村山由佳さんごめんなさい。コーヒーのいれ方シリーズと、『翼』が好きです)
更には帯を取ったら…もうこれはAmazonや楽天で画像が上がってるからネタバレではないと思うので書きますが、小物全てがチェストの上に並んでいるんです。そのチェストのデザインがまた良くて。ていうか似たデザインで青いチェスト持ってるよ私。
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買った後
正直な話をすると、寺地はるなさんが太宰治賞とか何かと私好みの賞で最終選考まで残っていることは知っていたけど、彼女の長いフィクションを読むのは初めてで。
装丁良さ(と出だしの雰囲気)に思わず買ったし『買っちゃいました!』ツイートまでしたのに面白くなかったらどうしよう、しかもネット上とはいえ知り合いだから(知らない人のために説明すると、作者の寺地はるなさんは私と同じくはてなでブログを書いてらっしゃいます)
面白くなかったとしても婉曲に伝えなきゃいけないぞ、これはマズいなーあんまり好きじゃなかったらツイッターしばらく逃亡するか、と思っていたんですが。
読んだ後
杞憂でしたね。これはよいものです。
絶対的な善なんてないし、悪はどんな小さな隙間にも入り込んでしまって私たちを息苦しくさせるけども。そして善の中にさえ悪は含まれているけども。(現実でも、概念でも)
これは、この本はよいものです。この世の中にあった方がいい本です。
作者さんが知り合いでなくても、読了後には「こりゃいいな」ってホクホクして、最初のような熱めのツイートしただろうと思います。
むしろポプラ社の新人賞を私はあまり読んでなくて(群像とすばると文藝賞、R18の方が好き)、伊吹有喜さんを親に借りて「なるほど〜」と思ったことがあるくらいだったので、あまりポプラ社に興味がなく…。
以前から作者さんを知っていたからこそリアルタイムに読めたっていうのは、幸運だったと思います。
だからまあ、これを読んだ私の友人はもれなく買っていいと思うよ。半期に一度の私の太鼓判押しとくよ。
なんかこの文章では全然内容に触れてないけど、私の好みが良いと思ってくれているなら読んでみらん?読み返すから、今遊びに来ても貸せません。
- 作者: 寺地はるな
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おまけに、フォロワーさんに褒めてもらったツイートをもう一度。これを褒めていただいたので、張り切ってこの記事書きました。
寺地はるな『ビオレタ』読了。終始ニヤッとする可笑しみがありながら、いいものと悪いものがぎゅうぎゅうに詰まっている。場面転換と回想の入れ方が巧みで、平たく読めるけど奥行きがある。そして言語センスがいい。これはよいものです。
— きまや (@kimaya4125) 2015年6月7日
寺地はるなさんのインタビューはこちら。
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