実家の本棚から発掘された昔の本を、処分する前に再読する試み…面白かったらそのまま保存、悩んだらブログに書く。
江國香織『左岸』と辻仁成『右岸』。このセットを読み返しました。うーん、面白かった!
私はこれらを2009年頃に読んだようです。面白かったのでセットにして年末に母親にプレゼントしたものの、母の読後はずっと子供部屋(の成れの果て)に置かれていた。親ウケはあんまりだったか?と思いつつ、私は好きなんだよね。
なんせ福岡の話だから。そう、メイン舞台が高宮。そんなん良すぎるよね。あの、テレビ塔のノスタルジー。
この作家さんお二人は、『冷静と情熱のあいだ』のコンビですね。帯の煽りは「競作ふたたび愛の大長篇!」です。
左岸 江國香織
まず、『左岸』。サガン好きな江國香織がこれを書いたというだけでもグッとくるタイトルだが、江國を読み慣れている人にこれがどういう作品かをサクッと伝えるなら
・描写期間が長い、アクティブ主人公
・不倫をしない
の二点が挙げられるだろう。
回想シーンだけだが、保育園の頃から話が始まる。そして詳しく描写はないが50歳くらいまでの、主人公「茉莉」の人生が描かれる。
そして、不倫が出てこないタイプの作品です。けっこう奔放ではあるけど、切実ではないというか、カラッとしていて情に厚いタイプの女性主人公。
この連作は『左岸』から読むのが正解です。
私が持っているのは単行本です。表紙は海水浴をしている人たちの写真。
ところでこういう場合って構成は誰が考えたんでしょうね?
茉莉の兄をあの段階で退場させること、どこの誰が決めたのか知りたい。
右岸 辻仁成
『右岸』に関しては、私は普段からは辻仁成を読んでいないので(『旅人の木』『海峡の光』『愛をください』『冷静情熱』は読んだ)、他の作品に比べてどうこうって言うのは難しいけど、
なんかすっ飛ばしてきているし、世界中旅行していて、好きに生きているなぁと思う。主人公には辛いことばかり起こるけれど。
『左岸』で福岡⇔東京の行き来に慣れた私たちに、世界の広さを教えてくれる感じ。(左岸でもパリには行く。「左岸」てタイトルでパリに行かないわけがなかろう?)
超能力や輪廻など言い出すので、初読の時はびっくりした記憶があり。まあいい感じにまとまるオチ。スピリチュアルを書くならもっと踏み込んでくれよ、とは思うものの、まあ「こんなに苦労した僕」な話が書きたかったのかもしれない。
それもまた、人生哲学っぽくて良い。
誰を救ったか、というところがしみじみ良かった。沖縄の女の子はノーカウントで。
単行本の表紙は寂しい感じ。中身とはイメージ違うかも。サーカスのイメージが強い。
母が最近、YouTubeで辻仁成のパリ日記?を見ていたので、本を買ってあげた。
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