第151回直木賞にノミネートされている千早茜さんが、今日の王様のブランチに出ていましたね!(2014年6月)
京都ロケ(在住だそうです)、ショートカットが爽やかな女性でした。
千早茜とは
小説すばる新人賞『魚神』でデビュー。
この小説はまず第3回ポプラ社小説大賞で最終選考作品に残った『魚』という作品を改題したものだそうです。
…なんで最初ポプラに出したんだろう?すばるか、群像っぽい作家さんだと思っています。

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『魚神』はちょっと読みにくかったな…文体が古風な作品でした。
デビュー作がこれってすごい独特。
前回も『あとかた』で直木賞候補作になっていました。
これで第37回泉鏡花賞を受賞した作品。こちらは連作短編集。

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『あとかた』は短編ごとに雰囲気に幅があって、私は『うろこ』の高校生が好きでした!
『男ともだち』を読む前の私のイチオシは『あとかた』でした。
あとかた 千早茜著 学生と居候の風変わりな日常 :日本経済新聞
そして今回直木賞にノミネートされている『男ともだち』、昨日読了しました。

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29歳駆け出しのイラストレーターの主人公・神名葵が彼氏や愛人と一緒にいながら、大学時代で一番近くにいた男ともだち・ハセオと7年ぶりに再会して…様々な男性との関係を通して自分を見つめる…みたいな感じなんですけど、文章にしたら陳腐ですね(汗)
でも千早茜の筆力はすごいんです。
今私が注目している女性作家さんナンバー2。(1位は彩瀬まるです)
時間を揺らがせながら、日常風景と思わせる描写にちょっとずつ違和感を混ぜてくる手法がすっごくうまいのです。
あと文章が流れるように綺麗。
そして今作、ハセオがかっこいい。
男性から見たら狡いかもしれないけどこういう男ともだちがいたら楽しいだろうなぁと女性は思うかもしれない。
腕枕して寝ていても何もない相手。
でも困っている時には助けてくれて、自分のことを分かってくれている。(でもハセオはいつも彼女や遊び相手がいる)(しかもMRだ)
ハセオが愛人の医者に文句つけるところがよかった。卒業式の描写も好き。
あとはSM女王が高じてパトロンを見つけて、バーの経営者になった露月さんのセリフがいい。
「そう、あんたはね、男を信用してないの。すぐ寝ちゃうのもそのせい。身体を与えておいて、自分に欲情する男という生き物を見下しているのよね。けど、あの坊やは決してあんたを抱かない。あんたから何も奪わず、守ってくれる。だから、あんたにとっては最上の男なの」
「責めてるんじゃないの。楽にしてあげたいのよ。あんたが小さい頃、酷い目に遭ったのに誰にも言えなかったのは、嫌われたくなかったからよ。一人になりたくなかったから。一人が怖いのはみんな同じ。あたしだってそう、(中略)たいていの人は何かを諦めながら生きてるの。でも、あんたは違う」
恋愛ネタだけじゃなく、フリーのイラストレーターとして自分の生き方に悩む神名の揺れにも共感できるところがありました。
結局別に男がいなくても生きていけるけど、一人だと寂しすぎる。
保険もほしい。
女ともだちだと比べてしまうし離れてしまう。
そういう女性の計算高さ(天然)を鋭く書いた作品です。
その前に宣伝。本日、私の9冊目となる単行本「男ともだち」が発売されました。本当に久々の長編です(「魚神」以来?)。私の作品の中では異色作で、ばんばん地名や固有名詞がでてきます。舞台はもちろん京都! どうぞよろしくお願いします。 pic.twitter.com/7g5KlDFF89
— 千早茜 (@chihacenti) 2014年5月25日
「本の話WEB」にて、有名書店員さんたちと開催した「男ともだち」座談会の様子がアップされています。座談会というか飲み会でして、酔っているため私の発言が若干おやじくさいのはお見逃しください。楽しかったです、皆さま、ありがとうございました。http://t.co/7k0mdACu0V
— 千早茜 (@chihacenti) 2014年6月11日
https://twitter.com/asayotakii/status/480151138084208640
今回は直木賞が気になる
まあ、直木賞は米澤穂信『満願』だろうと思うんですけどね…。
山本周五郎賞受賞作品だし(今積み中)。でも個人的には柚木麻子『本屋さんのダイアナ』もよかったです。
本屋好き・本好きにはたまらない一冊ですよ。
米澤穂信&女性どちらかのW受賞もあるかも!(希望的観測)
※結果、黒岩博行さんの『破門』でした。

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