きまやのきまま屋

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『ドライブ・マイ・カー』映画が公開なので原作『女のいない男たち』を再読してみた。

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文庫だと表紙のデザインがだいぶ違いますね。

単行本は、表は『木野』のバー、裏は『ドライブ・マイ・カー』の黄色のサーブ900コンバーティブル、かと思います。

短編集です 

短編集でして、収録作品 

  • ドライブ・マイ・カー
  • イエスタデイ
  • 独立器官
  • シェエラザード
  • 木野
  • 女のいない男たち

の6つ。

表題作でもある『女のいない男たち』(ていうかタイトルひどい)については、話の筋みたいなものはなくて、まえがきの方が読みごたえがあるくらい。(作者がまえがきで、表題作について「即興的に書いた」って書いている、という事実の方が本筋よりも面白い) 

 

で、映画になるのが『ドライブ・マイ・カー』! 

 

あらすじ

妻が亡くなって10年ほどたつ俳優(家福)は、免停になったのでドライバー(みさき)を雇う。みさきは運転がうまくて寡黙。家福は問われるままに妻のこと、仕事である演技のこと、妻の浮気相手(高槻)と友人として交流していたことを話す。

個人的な読みどころ

今一緒にいる女に、今いない女(亡き妻)の話をするパターンのやつですね!その過程で妻の浮気相手の男性について感じたことも吐露する。車内という密室での会話劇、という感じ。

 

短編集の一つ目だからかもしれないけど、『UFOが釧路に降りる』に似た印象です(『神の子どもたちはみな踊る』収録)。

主題は一緒でしょう。『ドライブ〜』の方が年齢が上で、より具体的に深くなっている。で、年齢が上がったので男女間の関わり方が変わっている。

 

主題・・・もういない女(妻)、移動すること、新しく来た女(娘)、どんなに移動しても自分からは逃れられないこと。そして僕には分からないことがある。

 

私は家福が悩んでいるような「妻はなぜ浮気をしたのか、しかもこんなに凡庸な男と」という点には興味がないので(なんとなく分かるので、、、みさきも分かっただろうよ、、、)、

 

あっ、また移動の話だ!という印象が強いです。

『羊をめぐる冒険』からずっとやっている気もします。

「でも、あなたと一緒にいてももうどこにも行けないのよ」

↑ のセリフは元妻

 

どこかべつのところに移動してしまいそうなの。どこかわけのわからないところに

↑ のセリフは新しいガールフレンド


いや、その手の移動よりも村上春樹がよく書いている「本を読む前と本を読んだあとでは、自分の立っている位置が少し変わっている」という持説を、演劇でやってみた感じでしょうか?

チェーホフ好きだよねぇ!

 

 

そして移動しながら、分からないことを知りたいと願い、考え続ける。『ハナレイ・ベイ』もそうでしたね。

どのような場合にあっても、知は無知に勝るというのが彼の基本的な考え方であり、生きる姿勢だった。たとえどんな激しい苦痛がもたらされるにせよ、おれはそれを知らなければならない。知ることによってのみ、人は強くなることができるのだから。

『女のいない男たち』単行本P32 太線部は傍点

 

しかし世の中は分からないことばかりなのよ、、、全てを知ることなどできない、、、という世知辛さを感じます。

発表時の軽い揉め事

まえがきにも書いてありますが、地名で揉めてましたね。『ドライブ・マイ・カー』って地味な話なので、映画化と聞いて一番最初に思い出したのがこのことでした。

作品に地名が登場するということは名誉のようでいて、マナーが悪いとされたら嫌でしょうよ…。

村上春樹の新作短編集「タバコポイ捨て」表現で抗議受けた箇所はどうなった? | ハフポスト

 

でもそのおかげで十二滝町が再来なので、ファンには嬉しいかつ分かりやすい変更だったのではないでしょうか。(みさきの出身地は上十二滝町です) 

映画は?

気が付いてびっくりしたんですが、映画、3時間ありますね…?

50ページほどの短編一つで何をそんなに長時間?と思ったんですが、いくつか記事を読んでみるとその理由が分かりました。

 

中でも、好書好日のインタビューが面白かったです。みさき役の方。

book.asahi.com

本作は村上春樹の『女のいない男たち』の中に綴られている同名短編小説をもとに作られていますね。同作に収録されている「シェエラザード」「木野」のエピソードも投影されています。  

とのこと。

つまり三作品分の内容が盛り込まれているので長くなった、という一面がありそう。それにしても「シェエラザード」の、どのエピソードを絡めるつもりなのか、、、。(だいぶ珍妙な話なのに)

 

広島から北海道までドライブする、と書いてあるので、ロードムービー的な楽しみ方もできるのかしら。 

 

 

映画『ドライブ・マイ・カー』公式サイト (予告が始まると音が出ます!)

 

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