似たようなことを言っているようでいて、実は正反対のことを表現しようとしているのかもしれない言い回し、を集めてみたくなることってないですか??? 私はある。
同じ言い回しについてはこちら。チャットモンチーと小谷美紗子と千早茜の話をしています。
今回は、ここ十数年思っていた、「無駄」について。
無駄とは何か。
いらないものだとされているし、省くべきだとされているものたち。けれど果たして、本当に必要のないものなのか?忌み嫌うべきものなのか?と思いませんか。それって思考停止なんじゃないのか。
「コミュニケーションコストってなんだよ!?」と一人キレたりすることもあるんです。これはきっとちょっと違う。
デトックスされたり断捨離されたりしちゃうやつ、無駄だと断じられていく、もうそれ見方によっては万物だと思うんですが、それならまずスマホをいますぐ手放せ。Twitterを閉じてそこに置け。デジタルデトックスだ、いや違う、だって、
「必要がない」と、「無駄」はたぶん違うと思うんだよね、そういう話をしよう。
特に必要があるっていうわけではないけどあったらちょっと嬉しい、みたいなカテゴリーもあるやん。
ということで、好きなアーティストの話をします。
山中さわおが言うには
バンド結成30周年!めでたく横浜アリーナ盛り上がったり、急にポッドキャスト(通称:さわぽ)をやめてファンを絶望させたりするthe pillowsのフロントマン山中さわおさんを内心ずっと崇拝して生きてる。北海道で一番行きたい場所は銭函海水浴場です。
そのthe pillowsに『この世の果てまで』という曲があります。
ピロウズでベスト1曲選べと言われたら3位くらいまで残る曲。そこの歌詞に出てくる「無駄」は
“無駄な日”なんてありえない
そうだろ はしゃいで息が切れても
「ありえない」の定義が問われるところですが、私はここでは歌詞の解釈として、「どんな一日を過ごしたとしても、それはキミにとってはかけがえのない大切な一日なんだよ」みたいな優しい慰め…
だと思いたいんですけど、まあ多分、「ボーっと生きてんじゃねーよ」って罵倒されてますよね。「ありえねーよ(嘲笑)」みたいなイメージでしょうか。さわおさんだもの。
いや、「ちょっと解釈変えてみろよ、それ無駄じゃないから」みたいな視点の転換を促されている…?
日によっては、慰められている気もするんですけど。“引用符”ついてるのも気になるよね「無駄な日」。
つまり、さわおさんは「無駄=無意味」だ、という意見だといったん解釈しておきます。気が変わったらごめん。どうとでも読めるだろこの感じ。YOUR ORDER!
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余談ですけど、『この世の果てまで』の元曲を聴いたら『17歳のカルテ』を思い出してとても気分が悪くなります好き。
たぶんさわおさんもこの曲好きなんですよね。2000年ごろ、どこか東京のライブハウスでカバー歌ったでしょ、たしか。定かではない。
椎名林檎が言うには
林檎が好きなので10代の頃に3回くらいライブで観たよ、ソロの頃に。事変は2010年くらいまでがとても好き!
無駄については、東京事変『キラーチューン』より。
「今日は一度切り」 無駄がなけりゃ意味がない
絶対美しいのは計れないの 溢れ出すから
無駄がないと意味がない、ということはつまり、
「無駄=有意義」という意見で間違いないでしょうか。まあ「贅沢は味方」って言っちゃう歌なので、たぶんそう。
「」の位置が気になる。今日は一度きり。
あぁ、さわおさんも林檎も、一日について歌っているんだなぁ。一日の中身をどのように解釈するか、という視点。
私たちが一番無駄について気に病んでしまうのは、きっと時間にまつわることなんだろう。だって世の中で本当に不可逆なことって、時間の流れだけだもんね、確かにね。
結論は何も出ないけど、比べて考えてみるとちょっと面白かったです。
保坂和志が言うには
さて、最後に保坂和志を持ってきてひっくり返したい。
「無駄」って言われるのは、この社会ではむしろ誇らしいことだよ。
— k_hosaka_bot (@k_hosaka_bot) 2019年7月4日
無駄な時間というのは、いつ生きるかわからない「捨て石」だよ。ただ、それは全部、できあがったものの中に何らかの形で生きてはいるんだよね。
— k_hosaka_bot (@k_hosaka_bot) 2019年7月12日
捨て石…現在の効果はないが、将来役に立つことを信じて行う行為。また、そうする人。
追記 若松英輔も
大学に勤めるようになってから「無駄がきらいだ」と豪語する人にしばしば会うようになった。それ以前には私の周りにはそんな人は、ほとんどいなかった。むしろ「無駄」ばかりしている同僚、友人ばかりがいた。『モモ』では、「灰色の男たち」といると身が凍る。それが比喩ではないことがよく分かった。
— 若松 英輔 (@yomutokaku) 2020年1月28日
そういえば、大学で最も信頼する同僚は「無駄」なことをいとわない。何かやっていれば、何かが起こる、と口癖のように言っている。もちろん、私も「無駄」ばかりしている。はた目から見れば、愚人たちに映るだろう。だが、それでよいことがよく分かった。むしろ、そうではなくてはならないのだ。
— 若松 英輔 (@yomutokaku) 2020年1月28日
私の狭いビジネス界での経験だが、「無駄」をはぶいて立案された考えや企画は、一見、よさそうに見えるが、その考えや企画が、まったく役に立たない、本当の無駄になることが少なくない。理由は簡単だ。コンセプトとプランだけがあって「人間」がいないのである。住めない「家」。私はいらない。
— 若松 英輔 (@yomutokaku) 2020年1月28日
あなたはどの「無駄」派でしたか?
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