大江健三郎賞が終わります
大江健三郎賞とは?
選考基準:大江氏が、可能性、成果をもっとも認めた「文学の言葉」の作品を選び、受賞作とする。なお、選評の代わりとして、大江氏と受賞作家との公開対談を行い、「群像」誌上に掲載する。(公募はしておりません。)賞:受賞作品の英語(あるいはフランス語、ドイツ語)への翻訳、および世界での刊行。
今までの大江健三郎賞
- 作者: 岡田利規
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2009/12/24
- メディア: 文庫
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収録作『三月の5日間』の男女のダルダルっぷりは芸術ですよ。海の向こうでは戦争が始まるのにね。ダルいのに読み飽きない不思議!
『掏摸』は中村作品の中期の始まりになった印象です。
評判が良かったようで、姉妹編『王国』が二年後に書かれています。『掏摸』と呼応する内容で、こちらは女性が主人公。
「オレオレ詐欺」が犯罪として有名になってきた頃の作品で、特に犯罪者でもない主人公が軽い気持ちでオレオレ言ってる間に俺がどんどん増えていく…かなり問題作です。高尾山でのプチ登山ブームとか、時流を反映しています。
・第六回、綿矢りさ『かわいそうだね?』。
この辺りから大江健三郎賞に対する世間の評価が怪しくなってきた気がします。
綿矢さんも芥川賞受賞後にぱっとしない時期があったんですが、この作品で大江健三郎賞受賞をもらったことで盛り返した印象です。
当時綿矢さんが不調だったせいで(そして綿矢さんはいつも容姿について色々言われがちなせいで)大江健三郎賞自体の評価が割れるようになったのかなー、と思うんですが、これ以降の綿矢さんの活躍を見たら、大江健三郎賞の「可能性を認める」という趣旨にはかなり合っていた気がします。
以前も書きましたが、綿矢りさ作品の最近のおすすめはこちら。
【読書】綿矢りささんが王様のブランチに出てましたね! - きまやのきまま屋
・第七回、本谷有希子『嵐のピクニック』。
こちらも岡田さんのように劇団「劇団、本谷有希子」の主催&脚本家&演出家さん。
小説はけっこう書いていて、以前からかなり珍妙な世界を醸し出していました。
その作風の集大成になったのがこの『嵐のピクニック』。
初期の『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』や『あの子の考えることは変 』ほど身も蓋もない感じは減っていて、文学として読めるラインに入ってきた作品かと。
もっと笑い転げたい人は本谷有希子『グ、ア、ム 』をどうぞ!
・第八回が今年、岩城けい『さようなら、オレンジ』。
これが最後の大江健三郎賞作品になります。
『さようなら、オレンジ』はデビュー作にして太宰賞を獲って芥川賞候補になって、今年の本屋大賞にもノミネートされていました。
もどかしさもありますが、面白かったです。
ということで、終わりです
ところで大江健三郎と言えば、私が17歳の時に「セヴンティーン」を読んで面白かったので彼氏に薦めたらエロすぎてドン引きされたことがいい思い出です!
「セヴンティーン」が収録されているのは、こちらの文庫です。
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