川上未映子の新作エッセイ
先週の「王様のブランチ」の録画(BOOKコーナー)を見ていたら、川上未映子『きみは赤ちゃん』が紹介されていましたね!

- 作者: 川上未映子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2014/07/09
- メディア: 単行本
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ご本人インタビューあるのかなー、と楽しみにしていたら結局ご本人は登場せず。そうか、育児中でお忙しいですもんね。
ご本人めっちゃ美人なので、興味がある人はググッてみてください!
私も『きみは赤ちゃん』は最近読みました。すごく面白い出産&育児エッセイでした。
川上未映子『きみは赤ちゃん』読了。妊娠から出産一年後までの体と心の戦いを綴ったエッセイ。これが素の文体なんだろなと思う、柔らかいのに不思議なことをユーモア溢れた文章でザクザクと書き進めてある。そしてあべちゃん存在感薄くなんてないよ!私はあべちゃんに感動したよ!
— きまや (@kimaya4125) 2014年8月15日
川上未映子のエッセイで、フランクに「あべちゃん」って呼ばれてんの、あの人だよな。字面がいいね、ひらがな苗字呼び。
— きまや (@kimaya4125) 2014年8月15日
(あべちゃんにこだわり過ぎている私です)
「あべちゃん」と「みえ」
ていうかさー、ここで言われている「あべちゃん」ってあの阿部和重なんですよ?あの『グランド・フィナーレ』の芥川賞作家ですよ?

- 作者: 阿部和重
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/02/01
- メディア: 単行本
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「神町サーガ」は濃くて重くて超面白いです。
まあ川上未映子も『乳と卵』で芥川賞獲っているという、史上初の芥川賞作家同士夫婦なんですけどね。すごい対等ですねこの二人。

- 作者: 川上未映子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2008/02/22
- メディア: 単行本
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「あべちゃん」「みえ」と呼び合っている仲良しな感じが『きみは赤ちゃん』で赤裸々に語られておりました。ちなみにお子さんは通称「オニ」だそうです。「おにぎり」みたいだから「オニ」らしいです。いいネーミングセンスだ!
川上未映子の描写のうまさ
妊娠してからの自分の体と心の変化、出産中の痛みと手術、出産後のイライラや育児のアレコレ、仕事との両立について、のびのびした文体で書かれていました。
川上未映子の本来の文体ってこれなんだろうなぁ。著作によっては色々文体の雰囲気を変える人なので、前読んだエッセイ以来久しぶりで新鮮でした。
妊娠してからの心の変化(マタニティブルー)の描写には慄きました…。
更には高齢出産ならではの悩み、予定通りにいかなくて帝王切開になった出産を経てのストレス、そしてお互いに在宅勤務だから煮詰まっちゃうこともあったみたいで、川上未映子はあべちゃんが気に入らないこともあったようですね。産後クライシス…?
でも私が読んだ感じではあべちゃん、めっちゃ家事育児やってました。
あべちゃんが赤ちゃん抱っこしながら仕事してるとか、すごいよ!もちろん妊娠&育てながら仕事してこのエッセイを書き上げた川上未映子もすごいんですが。
大変な育児の中で起こることについて、一生懸命に話す川上未映子(話しながらよく泣く)と、じっくり話を聞いてくれるあべちゃん(たまに白目をむいている)が面白かったです。
そしてブランチの中でも紹介されていた「なあ、あべちゃんは、この子のために死ねる?」からのやりとりが秀逸でした。あべちゃんは一瞬絶句した後にいかにも男性が言いそうなきちんとした理屈を延々と説明するんだけど、川上未映子もう聞いてないw
あべちゃん「ですから、さっき一瞬だけ躊躇したようにみえた、と思うんだけど、そうみえたのは、もしそういう状況になったら、自分が代わりに死んで助ける、ってそういう発想じたいがおれにないからであって、つまり、どんな状況になっても、ひとりも死なずに済むような解決策をとっさに導く、誰も死なせたりしない、という考えを持っているから、なんだよね」
みえ「はいはい」
『きみは赤ちゃん』p178
そしてやっぱり、育児しながら幸せを感じる川上未映子の生き生きした感受性から生まれる描写がとてもよかったです。
多くの人にオススメしたい、赤裸々ほのぼのエッセイでした。

- 作者: 川上未映子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2014/07/09
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