きまやのきまま屋

本、音楽、映画、写真のこと。趣味人のきまやがきままに書いてます。※当サイトはアフィリエイト広告を利用しています

2020上半期オススメ本10冊(と、おまけ数冊)

上半期の読了本は75冊でした!

今回は特例をつけます。

・冊数の集計は1〜6月

・しかし「これは上半期に読むはずだった」と心底感じる本をガシガシと7月に読んでいるので、オススメ本にはそれらも入れる!辻褄は年末に合わせる。

ののはな通信

特例を作っておきながら最初のはちょっと前の刊です。2018年から目をつけていて、やっと読みました。 

ののはな通信 (角川書店単行本)

ののはな通信 (角川書店単行本)

 

私はどうやら、往復書簡モノが好きみたいだ。メールに取って代わられても良い。クラス内で回されていたお手紙なんてもっと良い。

 

仲良し二人組だった「のの」と「はな」の手紙でのやり取りが中心なんだけど、性的指向の絡まりもあって、友達になり恋人になり、友達でもなくなり、ほかの人と結婚して日本を離れメル友になり…と、その交流27年にわたる。

高校生から始まった二人は、最後の方では40代になっている。

 

もうこれね、自身の友情の追体験と、現在の我が身の振り返りが捗りすぎて。

社会情勢やサブカル、人の生き方なんてところまで考えてしまった。

 

中年になった「のの」の独白する、この一節が大好きだし真理だと思う。 

 一人でも食べて寝て生活はできるけれど、本当の意味で生きるのはむずかしい。自分以外のだれかのために生きてこそ、私たちは「生きた」という実感を得られるのかもしれない。だれかというのは、ひとに限らず、動物でも植物でもいい。物質でもいいかもしれない。それを通して社会とつながっている、社会のなかにたしかに自分の居場所がある、と感じられるものであれば。 

宝島 

「エンタメ大勝利!」と天に拳を突きあげた一冊。うのさん教えてくれてありがとうー!

こちらも2018年刊行、第160回直木賞受賞作でした。 

宝島

宝島

  • 作者:真藤順丈
  • 発売日: 2018/06/21
  • メディア: Kindle版
 

舞台はちょっと前の沖縄。なかなかセンシティブな沖縄戦後史を生きた人たち。Amazonの紹介がけっこういいので引いてきていい?

生きるとは走ること、抗うこと、そして想い続けることだった。少年少女は警官になり、教師になり、テロリストになり―同じ夢に向かった。超弩級の才能が放つ、青春と革命の一大叙事詩!! 

20年にわたるみんなの生き方、「この世界から出たくない」と思って一週間かけて読んだ。出たくなかった。。。

本の中だと知っていても、こんな世界があるのか、と驚く。感情豊かでユーモアがあって、切実さがあって美しい自然があって人の生活があって、愛と踊りと魂がある。 

 

初めて読んだ作家さんだったけど、文体もとても好みでした。力作~!!! 

ピエタとトランジ

テレビドラマ『相棒』をこよなく愛する私です。シリーズ1から見てます。つまり事件を解決するバディもの(現代)が好き。

そして今回ここまで、とにかく作中での時間経過が長いね、嬉しいぞ。人間存在の成長、とは。。。なんて考えながら読んじゃうの楽しいです。

全部ぜーんぶいっしょに解決しようね 

そもそもピエタもトランジも、『おはなしして子ちゃん』の一編に登場した女子高生たちだったのが、さすが完全版、本当に本当の最後まで書かれていきます。 『ののはな通信』より長かった。

ピエタとトランジ <完全版>

ピエタとトランジ <完全版>

  • 作者:藤野可織
  • 発売日: 2020/03/11
  • メディア: Kindle版
 

普段はただの舞台装置として扱われがちな「事件を呼ぶ体質」について、こうやって扱って転がしちゃうの藤野可織天才じゃない???あっ『ドレス』書いちゃう人だから当たり前か、天才でしたね。 

(参考記事…2018年上半期の読了本からベスト10! )

 

主婦時代のエピソードも好きだけど、終わり方が神がかっていますね。最後に二人の出会いである短編(『おはなしして子ちゃん』に収録されている)が置かれているので、初読の人は感触が違うんだろうなと思います。それも羨ましい。 

 

とりあえず電子書籍の無料試し読み分だけでも読んでみて!お願い。 クリームソーダ!

持続可能な魂の形

知っている人ならわかってくれるかもと思うのですが、私はジェンダー論に対して関心は高いものの、気持ち的に乗り越えるのが大変、で、遠巻きに見守っている感じです。

だからそっち系のフィクションにも好きなのと苦手なのがあって。

最高峰に好きなのがこれです! 

持続可能な魂の利用

持続可能な魂の利用

  • 作者:松田青子
  • 発売日: 2020/05/20
  • メディア: Kindle版
 

松田青子たしか3冊くらいしか読んだことないけど、初長編にして、「私あなたの言ってることぜんぶわかる」になりました。


私は芸能人に詳しくないんだけど、Twitterでフォロワーさんがすごく褒めてて覚えた、「てち」さんのことなんだと思う。

アイドルとは、なんなのか。

どうして、一部に過ぎないとはいえあの人たちは、力で言うことをきかせようとするのか。ことあるごとに馬鹿にしてくるのか。

からの

この国はどうする?

まで。

女性は読んでほしい。

君がいないと小説は書けない

そして私はなぜか、白石一文の言っていることも「ぜんぶわかる」。なんでだろう、読みすぎたかな…。前はそんなに好きじゃなかったんだけど。 

君がいないと小説は書けない

君がいないと小説は書けない

  • 作者:白石一文
  • 発売日: 2020/01/31
  • メディア: Kindle版
 

この新刊がよかったので、このあと5冊くらい続けて白石一文読みました。

自伝的要素濃いめな印象です。白石一文はやっぱり、最後は人間存在の不思議さみたいなので締めてくるよねー。 

 

ただ、今から初めて白石作品を読むならこれじゃない方がいいかもしれない…。私は『ほかならぬ人へ』から入って(その前に最初の3冊読んで怒ってたけど、これで和解)、『翼』が好きです。

 

 

次点でSF(っぽいのを)2冊どうぞ。 

ベーシックインカム

ベーシックインカム

  • 作者:井上 真偽
  • 発売日: 2019/10/04
  • メディア: 単行本
 

さあ、井上真偽の連作短編集を読むのです。SFの流行など知らないよ、「連作」短編の力業の華麗さを思い知れるよ!  

坂下あたると、しじょうの宇宙 (集英社文芸単行本)

坂下あたると、しじょうの宇宙 (集英社文芸単行本)

  • 作者:町屋良平
  • 発売日: 2020/02/05
  • メディア: Kindle版
 

高校生の詩論と日常、に、AIをぶち込んでくる町屋良平。この人は怪物だと思う。よかった。 

 

ここから海外!

わたしのいるところ

Twitter文学賞の海外は、これに投票しました。 

わたしのいるところ (新潮クレスト・ブックス)

わたしのいるところ (新潮クレスト・ブックス)

 

去年、ルシア・ベルリンがとても流行っていて、私も途中まで読んだんですけど、わかるんだけど、あれ重すぎない?みんなあんなの読んでだいじょうぶなの??次の日起き上がれるの?

私はあんなに苦しいの全部読めない。。。ということで、じゃあ、ラヒリ。

45歳独身女性の、ローマでの日常生活の断片たちをよせ集めた長編。とてもよく身になじんだ居場所と、親しみ深い孤独。 静かな気分でしんみり読めました。 

 

生者と死者に告ぐ

〈刑事オリヴァー&ピア〉最新作。7作目。ドイツミステリ。

このシリーズがとても好きなんだけど、どんどん力強くなってきていて、情緒が溢れていてもうだめだ、好き。こんなに刺してくるミステリってそうそうない。 

「関わりつづけるかぎり、克服することはできないものね」P293

「普通の人間はそのうち前を向き、過去を克服するものだろう。だがヘレンにはその力がなかった」P377

感情の交互浴だ。希望と失望の繰り返しは精神衛生上よくない。P597

生者と死者に告ぐ (創元推理文庫)

生者と死者に告ぐ (創元推理文庫)

あと、だいたいがっつり長くて事件も込み入っているので、なんか違う世界に行きたい時に重宝するシリーズです。翻訳は酒寄先生ですし、日本語もいいです。(シーラッハ訳している人!)

『特捜部Q』が好きな人とか好きそうだと思います。『深い疵』から読んでいきましょう。 

 

 

次点でもう一つミステリ。教えてもらって読んだらとてもよかった。父と戦って乗り越えろ!(肉弾戦) 

沼の王の娘 (ハーパーBOOKS)

沼の王の娘 (ハーパーBOOKS)

 

 

オースターの新刊は、、、良いんだけど、、、とりあえず私は絶句でした。

サンセット・パーク

サンセット・パーク

 

 

ここからノンフィクション!

今年はエッセイが豊作だよー。  

うたうおばけ

くどうれいんがめきめき、やばいくらいよい。

詳しいことはこちらでどうぞ。

kimaya.hatenablog.com

うたうおばけ

うたうおばけ

  • 作者:くどうれいん
  • 発売日: 2020/04/29
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

エッセイの連載が群像で始まるらしいね!

 

神様はいつも両方をつくる

公式サイトで買いました、浅井健一ストーリー&ダイアリー。何、ストーリー&ダイアリーって?

小話と日記でした。絵本ドーン!じゃなくて新鮮。

私はこの人の言葉が大好きです。

神様はいつも両方をつくる 表紙 浅井健一

sexystones.shop-pro.jp

好きだった人は、まっすぐな綺麗な髪の毛をしていた。話すことが魅力的というか素朴というか、いちいち俺の心に入ってきた。P22

正しい行いをして生きていこう。神様も見ているが、何より自分自身が見ている。P147  

Instagramもやってらっしゃる。

 

ブードゥーラウンジ

f:id:kimaya:20200721115809j:image

ブードゥーラウンジ

ブードゥーラウンジ

  • 作者:鹿子 裕文
  • 発売日: 2020/01/28
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

ノンフィクションというかドキュメンタリーなのかな、福岡在住の編集者さん(もちろん作家さんでもあり、ライターさんでもある)が見てきた、福岡市天神の音楽シーン。

長らく福岡に住んでいる音楽好きな私としては、知ってる・名前だけ聞いたことある・声だけラジオで聞いたことある・ここ行ったことある・見たことある・友達が後輩の友達の先輩、のオンパレードで、大変楽しめました。

文章の熱量に圧倒される体験、音楽が聴こえてくるような瞬間。奇跡のバランスで成り立っているので、福岡県民の必読書に認定すべきだと思った。

 

ビッグバンて、そんな天神わたし全然好きじゃないなーぁ、まあ私は古都におるよ(思っているけど普段言えないヤツ)

 

 

次点で春樹。

猫を棄てる 父親について語るとき (文春e-book)

猫を棄てる 父親について語るとき (文春e-book)

  • 作者:村上 春樹
  • 発売日: 2020/04/23
  • メディア: Kindle版
 

春樹が父親について語ったらビビるよね。とても語ってた。

このエピソード知ってる!みたいなことも多く感じました。意外と小説に書いてる。

例えば、降りて来なかった子猫の話は、『スプートニクの恋人』に。

スプートニクの恋人 (講談社文庫)

スプートニクの恋人 (講談社文庫)

  • 作者:村上 春樹
  • 発売日: 2001/04/13
  • メディア: 文庫
 

 

それでは、2020年後半も楽しく読んで生きましょう!
 

前回まではこちら。

kimaya.hatenablog.com

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映画『百瀬、こっちを向いて。』は原作もいいし映画もよかった!青春!!

『百瀬、こっちを向いて。』とは

momose-movie.com

映画化されていますが、もともとの原作は中田永一による短編『百瀬、こっちを向いて。』です。 

あー言いたいことがいっぱいあるぞ。まずは映画をご紹介します。これがよかったんですよ。

百瀬、こっちを向いて。

百瀬、こっちを向いて。

  • 発売日: 2015/04/02
  • メディア: Prime Video
 

映画のキャスト

早見あかりさんがヒロインで、高校生の役を演じられています。ももクロの元メンバーの人ですよね。

早見あかり写真集「Twenteen」

早見あかり写真集「Twenteen」

 

 

ドラマで言えば『すべてがFになる』の真賀田四季。あれよかったよね~。あと『アゲイン!!』でもヒロインをされていました。

アゲイン!!(1) (週刊少年マガジンコミックス)
 

原作アリのドラマにお強いのかと思えば、単純に演技がうまい人です。

 

話の半分は高校時代で、高校時代の主人公はあまり知られていない役者さんのパターン。

でも無名とかではなく、ドラマ『チーム・バチスタ2』に出演されていたとか。竹内太郎さん、この子もよかった。リアリティがある。

 

そして、大人パートで、大人になった(ついでに作家になった)主人公を演じているのが、向井理さん。

いい感じの役作りをされていて、なんていうかこう…暗い文学青年感がいい。

少しだけ『ゲゲゲの女房』の時を彷彿とさせます。性格は違う。

 

そしてこちらの映画、脚本が狗飼恭子なのが個人的にアツい。青春小説を書かせたら異彩を放つ狗飼さん。まさかここで再会できるとは!

冷蔵庫を壊す

冷蔵庫を壊す

  • 作者:狗飼恭子
  • 発売日: 2014/05/16
  • メディア: Kindle版
 

 

という、なかば完璧な布陣で構成されている映画です。

更に言うと、原作が素晴らしい。

百瀬、こっちを向いて。 (祥伝社文庫)

百瀬、こっちを向いて。 (祥伝社文庫)

  • 作者:中田永一
  • 発売日: 2018/06/01
  • メディア: Kindle版
 

『坂道のアポロン』とか好きな人は好きそう。(『百瀬、~』は音楽系ではないし小説ですが、雰囲気はあんな感じ!)

『百瀬、こっちを向いて。』あらすじ

高校入学以降、パッとしない毎日を過ごしている相原ノボル(竹内太郎)。

ある日、何かと懇意にしてもらっている先輩の宮崎瞬(工藤阿須加)に呼び出され、自分の隣のクラスの生徒である百瀬陽(早見あかり)を紹介された上に奇妙な提案をされる。

それは瞬が校内で抜群の人気を誇る神林徹子(石橋杏奈)という恋人がいるにもかかわらず百瀬とも付き合っているといううわさを払拭(ふっしょく)するため、

彼女とノボルが期間限定で恋人同士を装うというものだった。

解説・あらすじ - 百瀬、こっちを向いて。 - 作品 - Yahoo!映画

 

見どころとしては、

・主人公の「人間レベル2」(レベルが低いことを自覚しているので1ではない)のパッとしなさ

・百瀬がかわいい

・友達がかみさまのよう…

・先輩たちが、ふたりとも、侮れない…

・うぁぁ青春! 俺たちの○○川!

の5点です。 

(○○の箇所には、地元の近くの川をあてはめてみると、きっと気分が上がります)

 

福岡県民としては舞台が久留米・筑後川なことに萌えるんですけど、映画では違う場所で撮影されたらしくて、そこは少しだけ残念。

「大きな川のある、少し田舎」という舞台をうまく使われていました。 

【重要】映画と原作の違い

基本的に、とても原作に忠実に作られているなぁ。。。と感心しながら観ていました。

原作自体が短いため、少し足されているエピソードはありました。百瀬の家庭環境は、少し変えられていますね。ちょっとしたことが強調されている程度に。

 

ただ、圧倒的にこれ、映画の方もかなり優れているのですが。

ラストが違う。 

百瀬、こっちを向いて。

百瀬、こっちを向いて。

  • 発売日: 2015/04/02
  • メディア: Prime Video
 

ラストを変えてきたんですよ、びっくりしました(良かったので褒めています!)

 

原作が、けっこうあっさりめの文体で書かれていて、ラストはたたみかけて終わる点が、良い読書体験ではあるのです。

けれど、映像ではその表現ができません。

 

ということで、話そのものを変えてきやがったー!映像のために!

それがまた映像として美しくて絶句しまして、なにこれ誰が改変したのサイコーじゃん、と思ってググったら狗飼さん…!ってなったので、最初に紹介したのでした。 

 

人間ドラマとして、最高です。

 

再読了しました

百瀬、こっちを向いて。 (祥伝社文庫)

百瀬、こっちを向いて。 (祥伝社文庫)

  • 作者:中田永一
  • 発売日: 2018/06/01
  • メディア: Kindle版
 

(短編集です。ほかの作品もいいし、気軽に読めますよ。よく友達に貸します。) 

最後に語らせてくれ

このあと原作を読み直して、『舞姫』も読み返そう、と思いました。

『舞姫』についても、映画の方が詳しく触れられていたので興味をそそられます。人間描写の奥が深い。

舞姫

舞姫

  • 作者:森 鴎外
  • 発売日: 2012/09/28
  • メディア: Kindle版
 

 

そしてこの『百瀬、こっちを向いて。』の作者さん・中田永一なんですけど、一つお伝えしたいことがあります。

この人は乙一です。

乙一 - Wikipedia

そして久留米(福岡南部)の出身で、私と誕生日が同じです。

 

おうち時間で暇はある、かつての青春を思い出して悶絶したい、そんな人にオススメの映画です。

Amazonプライム会員なので、追加料金なしでこれ観られました!

百瀬、こっちを向いて。

百瀬、こっちを向いて。

  • 発売日: 2015/04/02
  • メディア: Prime Video
 

 

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くどうれいん『うたうおばけ』がエモとは違う次元で光るエッセイだった

くどうれいん『うたうおばけ』がすばらしい 

くどうれいん『うたうおばけ』表紙

今一番オススメしたいエッセイ!

最近、個人的に「友達って何ぞや?」と思っていたこともあり、突き刺さりました。「友達」ねぇ、「ともだち」かよ、って思ってた(伝わらなくていいんだけど)。

 

ていうかそんなことを悩んでいてもいなくても、この文章たちは良いものだと思う。 

うたうおばけ

うたうおばけ

  • 作者:くどうれいん
  • 発売日: 2020/04/29
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

東北の、若い歌人さん・くどうれいん。でもどうやら短歌を詠むだけの人ではなくて、何でも書く人みたい。そんな人のエッセイ、一部で待望だった第二弾だよ! 

周りの人への目線が鋭いけど優しい。暖かいようで冷め(醒め)ているのに、ヤケにはならない。ともだち、のことを見つめたエッセイ集です。

わぁ、説明が難しいな。

キャッチコピーは「人生はドラマではないが、シーンは急に来る」。まさにそういう一瞬が詰まっています。

 

これを「エモい」って言っても別にいいとは思うけど、少し違うと思う(そもそも「エモい」がどういう概念なのか、もう古いんじゃないのか、ということは置いておいても)。

それよりも少し地に足がついていて、やるせなくて、切実で若いけどやけに疲れてもいて。

 

陰キャとか陽キャとかで人を分かりやすく判断したい人は読まなくていいと思う。

エモいとかチルいとかだいぶダルいな…って人は読んだらいいと思う。あと乙一も中田永一もどっちも好き、っていう人も読んだらいいと思う。

気分がほんのり明るくなれる文字列が読みたい、という人はぜひぜひ!

私はたぶん、友達3人くらいに買わせると思う。。。人生の装備として優れているので。。。あーでも私、(笑)たまに使うんだよねー、単に世代なんだけどさー!

 

読了ツイート。 

これを読みながら私は「間に合ってよかった」と思った。もしかしたらそれは「生きていてよかった」なのかもしれない。

私はブランキーにも間に合ったし、今はくどうれいんだって読める。就職氷河期なんのその、ジェネレーションをロストしたとか言われても、いい時代に生まれたなぁ、と、こういうときは思う。 

試し読みはこちらから

第1回 うたうおばけ(くどうれいん)|書肆侃侃房 web侃づめ|note

出版社のnoteで、太っ腹に16編が公開中です。(単行本には39編が収録されているよ!)

 

私はリアルタイムで連載を読んでいて、「最悪で最高のゲーセン」回が好きで好きで、これを読んだときに「単行本になったら買おう…」と思いました。

 

分かりやすくグレても陳腐さから逃れられないのに、金髪にして何かに殴り掛かりたいキラキラのゲーセン。

第15回 抜けないボクシンググローブ(くどうれいん)|書肆侃侃房 web侃づめ|note

「髪染めても、パーマしても、おれたちは不良にはなれない」と、ミドリはあきらめたように、うれしそうに、かなしそうに言った。ひとりごとのようだった。陳腐。と思った。言わなかった。

オレンジのランプをつけた工場警備のセコムが来て、ここは立ち入り禁止区域だからきみたちは入れません、と言った。

その他の色々 

私はご本人のTwitterをたまに拝見していて、

twitter.com

その流れで『うたうおばけ』刊行記念ツイキャスも聞きまして、

編集者さんにボツくらったという、このエピソードに笑いました。

「ほっこり」って言われたくないと思うメンタリティが大好きだよ。

 

 

くどうれいんさんの前作『わたしを空腹にしないほうがいい』は、Amazonにはなくて、全国各地の本屋さんにちらほら置かれている…っていう感じですね。

『うたうおばけ』はAmazonにもあります。なんの違いなのかよく分かりません流通。

 

私は、地元の本屋さんのオンラインで購入しました!

出版社さんがやっている本屋さんajiro。天神になかなか行かなくなってしまったので便利~。5月末までは送料無料だって!

ajirobooks.stores.jp

 

この本屋さん、以前レポートしています^^

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うたうおばけ

うたうおばけ

  • 作者:くどうれいん
  • 発売日: 2020/04/29
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

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彩瀬まるのアンソロジーとかノンフィクションとか

(2023/02  更新)

ここでは、彩瀬まるの短編で、作者名義の単著に収録されていないものを集めていきます。がんばって更新しますけど、もれがあったらすみません!

単著について全作品解説はこちら→彩瀬まるオススメ。全作品をご紹介&解説してみる

最初に読むべきは?→彩瀬まる、何から読む?

アンソロジー

アンソロジーとは、短編集という意味。ここでは、数人の作家さんが同じテーマで短編を書いて、一冊にまとめられた本のことを指しています。

彩瀬まるは、アンソロジーにもたくさん載っているんですよ!

全部は読めていないので、感想がないものもあって申し訳ない。収録されている短編のタイトルが分かっていないアンソロジーもいくつか…。タイトルを調べたら書いていきます!

 

文芸あねもね「二十三センチの祝福」

「二十三センチの祝福」という短編が収録されているのが、文芸あねもね。こちら読みまして、けっこうさわやかな印象です。靴にまつわる物語です。

短編なのに構成が素晴らしく、華麗に立ち直れます。

文芸あねもね (新潮文庫)

文芸あねもね (新潮文庫)

 

3.11の後、「今、自分たちにできること」をしようとペンを執った10人の女性作家たち。そして2011年7月、その想いは全額寄付を目的としたチャリティ同人誌へと結実した。電子書籍から生まれた、再生への希望きらめく小説集、待望の文庫化。  

※新刊に収録されます!

 

 

あのころの、「傘下の花」

女子高生アンソロジー『あのころの、』 には「傘下の花」。 

あのころの、 (実業之日本社文庫)

あのころの、 (実業之日本社文庫)

  • 作者: 窪美澄,瀧羽麻子,吉野万理子,加藤千恵,彩瀬まる,柚木麻子
  • 出版社/メーカー: 実業之日本社
  • 発売日: 2012/04/05
  • メディア: 文庫
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明日町こんぺいとう商店街「伊藤米店」

「伊藤米店」が載っているのは、

([ん]1-4)明日町こんぺいとう商店街 (ポプラ文庫)

([ん]1-4)明日町こんぺいとう商店街 (ポプラ文庫)

 

このシリーズはいくつかあって、

明日町こんぺいとう商店街 心においしい七つの物語「川平金物店」

明日町こんぺいとう商店街3「赤城ミート」

中身を確認できていないんですが、名前が載っているので要チェックです! 

 

運命の人はどこですか?「かなしい食べもの」 

恋愛アンソロジー『運命の人はどこですか?』には、「かなしい食べもの」。瀬尾まい子と西加奈子もよかったです!  

運命の人はどこですか? (恋愛小説アンソロジー) (祥伝社文庫)

運命の人はどこですか? (恋愛小説アンソロジー) (祥伝社文庫)

新刊に入っています!

まだ温かい鍋を抱いておやすみ

まだ温かい鍋を抱いておやすみ

  • 作者:彩瀬まる
  • 発売日: 2020/05/14
  • メディア: 単行本
 

3時のおやつ(タイトル不明…) 

こちらも食べ物系

手元にないのでタイトル不明です…。今度買います。 

きみは嘘つき「花が咲くまで待って」 

『きみは嘘つき』には、寺地はるなさんの短編も載っています。こちらも女性作家さんばかりですね。

きみは嘘つき (ハルキ文庫)

きみは嘘つき (ハルキ文庫)

  • 作者: 彩瀬まる・加藤千恵・寺地はるな・中澤日菜子・額賀澪・椰月美智子
  • 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
  • 発売日: 2017/08/09
  • メディア: 文庫
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きみのために棘を生やすの「かわいいごっこ」

恋愛官能小説アンソロジー『きみのために棘を生やすの』 。収録作品は「かわいいごっこ」。

本を見つけられなかったのでKindleで買いました。千早茜もいいぞ。

きみのために棘を生やすの

きみのために棘を生やすの

同じメンバーで、同シリーズ?略奪愛がテーマだそうです、読みたい!

偏愛小説集 あなたを奪うの。 (河出文庫 く)

偏愛小説集 あなたを奪うの。 (河出文庫 く)

ここから先はどうするの: 禁断のエロス (新潮文庫)

ここから先はどうするの: 禁断のエロス (新潮文庫)

 

怪を編む「甘い種」 

 

ほんのきもち「きらきらゼリー」

異様に豪華メンバーで、人がたくさんな『ほんのきもち』には、「きらきらゼリー」。

ほんのきもち

ほんのきもち

  • 作者: 朝吹真理子,彩瀬まる,いしいしんじ,乾ルカ,オカヤイヅミ,甲斐みのり,鹿子裕文,木皿泉,今日マチ子,小林エリカ,坂木司,桜木紫乃,佐藤ジュンコ,平松洋子,藤野可織,文月悠光
  • 出版社/メーカー: 扶桑社
  • 発売日: 2018/08/10
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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鍵のかかった部屋「神秘の彼女」

密室ミステリアンソロジー『鍵のかかった部屋』には「神秘の彼女」。

島田荘司がいますね…!メンバーががっつりミステリ寄りで、ここに彩瀬さんが入っているの意外に思ってしまいます。読みたい。

鍵のかかった部屋 5つの密室 (新潮文庫nex)

鍵のかかった部屋 5つの密室 (新潮文庫nex)

 

 

妖し「マイ、マイマイ」

「怪異」がテーマのこちらも、かなりの豪華メンバー! 窪美澄さんが好きです。

彩瀬さんと窪さんは、同じ文学賞から出てますし!

女による女のためのR-18文学賞 | 受賞作品 | 新潮社

妖し (文春文庫)

妖し (文春文庫)

 

 

ゆれながら

最新の読み切り短編が、雑誌に載っているらしいです。『ゆれながら』

小説 野性時代 第208号 2021年3月号 (KADOKAWA文芸MOOK 210)

小説 野性時代 第208号 2021年3月号 (KADOKAWA文芸MOOK 210)

  • 発売日: 2021/02/13
  • メディア: ムック
 

単行本に収録されました!

 

僕たちの月曜日

お仕事小説…?

 

 

ノンフィクション

長編作品『やがて海へと届く』の原体験になったのは、やはり彩瀬まる自身の被災経験からなのでしょう。

震災に偶然居合わせた、作家のルポルタージュ。彩瀬まるの作家人生が変わる瞬間が描かれています。

 

そして九州にいた私は知らないことばかりで、勉強になる一冊でもあります。 

暗い夜、星を数えて―3・11被災鉄道からの脱出

暗い夜、星を数えて―3・11被災鉄道からの脱出

 

 

アンソロジーは追いかけるのが大変&雑誌掲載分までは把握できていないかもしれません……何かあったら教えてください!

見つけたら追記していきます。 

 

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彩瀬まる『くちなし』愛のスカートをまとって生きたい。

彩瀬まる『くちなし』が文庫化されてるよ!

くちなし (文春文庫)

くちなし (文春文庫)

 

文庫化されています。表紙が素敵。

こちらの『くちなし』は、直木賞の候補になった作品です。受賞はしなかったものの、それとは違った「第五回高校生直木賞」を受賞しています。

 

高校生は『くちなし』のどこに共感した? 高校生直木賞 前回受賞者・彩瀬まるさん講演会レポート(1) 第5回 高校生直木賞全国大会 | 高校生直木賞 - 文藝春秋BOOKS

でも、そういう日常から大きく乖離した幻想的な作品は、読み手に負荷をかけ読者を選ぶ、と言われて、しばらくは書くのはやめていたんです。今回、「好きなものを書いていい」と言われて、満を持して書いたのが『くちなし』でした。

 

あと、文庫の解説が、千早茜

買いですね!!!

 

こちらの短編集の、「愛のスカート」というお話がとても好きなので、紹介させてください。ギリギリにネタバレなし。…半分くらい? 

絶妙な色合いの写真が表紙。

彩瀬まる くちなし 文庫表紙

「愛のスカート」あらすじ

「いい意味でとんがった部分がない」カットをする、と評される美容師・ミネオカ。彼女が常連に頼まれてヘアカットに出向いた鎌倉の古民家にいたのは、高校の頃に好きで1ヶ月だけ付き合ったクラスの変人・トキワだった。

トキワは新進気鋭のデザイナーになっていて、完璧で不健全な恋をしていた。人妻に。

 

そんな夏が!

始まって終わる!!!

その始まり方と終わり方が美しくてテンションが上がるしかない短編です。

 

恋に落ちる瞬間のアホさ加減

夏が始まる前にそもそもの恋の始まりを押さえておきたいんですけど、2人の出会いは高校一年生。

P71で高校生のミネオカは、トキワに思ってもいなかったことを言われます。それが、己を見透かされたようで、突き放されたようで、興味なさそうなのにかすかに馬鹿にされたようで。

……そういう「今までに言われたことがなかったことをスッと目の前に差し出してきた異性」に惚れがちな単純な人って、いるよね……!

 

全然、いいこと言われたわけでもないのに。

それを言われたことについては、単に驚きと、憤りと、自分への失望と、新しい世界の発見、を感じたということでしかないのに、…たぶん「自分への失望」を裏返して「相手への期待」にしちゃうような(読み方の性格が悪い)

 

このアホっぽさを文字で読めたのは良かったなぁ。

 

たとえば私は高校二年の時にこれをされて、でもああいうのって醒めるのも早いパターンあるので、もうね、ただ迷惑ですからね。

思ったことくらい好きに言わせてくれよ(私信です)

私の初めての恋にはこんなふうに、屈辱と憧れが混ざり込んでいた。(P72) 

私は、この時点ではミネオカは特にトキワに恋をしていなかったと思います。その後の行動も乙女っぽさを分かりやすくなぞるだけだし。 

ストーキング(収集)の健全さ

ただ、高校生のミネオカと現在のトキワがリンクしてしまうのが、相手へのストーキング行為。

相手のちょっとした小物を盗むといったかわいいもの…なんて言ってられない、犯罪なんだけど。トキワは不審者扱いされているし。

ていうか出されたゴミ袋を持ち帰ってない…? 

 

相手に危害を加えるつもりもなく、無意識に周辺情報をほしがり、手に入れてしまう横暴さは、独りよがりだけど健全かもしれないですね。

一人でやっているうちは、いいかな?

表に出てくるなよ?

 

そのトキワのストーキング収集癖を一瞬で見抜き、室内の隠し場所まで見抜き、品物を検分して「わかるー」とか思っちゃうミネオカがちょっと怖い。

いい大人になって真夏に何をやっているんだ! 

季節を終わらせるには「言語化」

トキワもこのままでは、好きな人のゴミを収集しちゃう変な社会不適合者、で終わってしまう。

そこに意味を与えてしまったのが、再会してみたらまだトキワを忘れられていなかったミネオカ。

 

なんの因果?って思ってしまうけれど、それにもミネオカの性格が大きくかかわっているからこそ、という描写がちゃんとある。

好きな人に対して何もしようとしないトキワに苛立って、ミネオカはある有益なアドバイスをします。言わんでもいいことを言う。自分の好きな人が他の人と仲良くなっちゃうようなアドバイスを、する。

 

そしてミネオカはこう独白する。

でも、これが最適解だ。ただのつまらない優等生として周囲の期待に応え続け、褒められることを求め続けてきた私の、他人の不満足を見破る能力は伊達ではない。(P82) 

 

ミネオカとしては不本意だったかもしれないアドバイスが、トキワを動かして、更にミネオカを不思議な場所に置きます。

それが「ここにいてもいい」という、彩瀬まる最新作『さいはての家』につながっていくモチーフでもあると感じました。

kimaya.hatenablog.com

 

このモチーフがあるからこそ、この短編はただの恋愛ものではない。

ここ注目してほしいなと思います。初読では私は読み逃して、話の奥行きが分かっていませんでした。再読で震えた。

子供の頃にはなかった場所だ。(P87)

「つまらない優等生」であったことを誇りに思えばいい。その場所にいられるんだから。

才能によって愛を具現化した、あとは二度と触るな

そしてトキワが一念発起して、その結果については彩瀬まるの描写力が存分に発揮されてもうとても美しい世界が広がるんですよ。

季節も庭も主婦も布も、とてもきれい。

 

確かに、トキワには才能があった。

けれど、惜しい。トキワが具現化したいと思った情景は「春」なのに、出来上がっているものは、どう解釈しても、「秋」。

出力を間違ってるよ、トキワーーー!

「触れられないものしか好きになんない」んじゃなくて、思い込みとヒロイズムが強いんですあなたは。だから本当は、ミネオカと同類なんだよね。

 

でもそれを指摘しない(もしかしたら気づかない?)ミネオカは、ここでトキワに触れない。私はどちらでもいいと思うんだけど、どちらかを選択することが必要だったのかもしれない。もしくは意地。

 

だからこそ、しっかりトキワの友達になります。これは愛だ、愛のスカートだ、と思いながら。同じ価値観を共有する道を選ぶ。

 

そしてラスト。

受け手のないまま、とめどなくあふれ広がる私たちの愛は、これからも世界を鮮やかな色で染めていく。(P94) 

誰も受け取らないから、止まらないで、どこまでも広がっていく光景。 

そういうものがたくさん交錯しているから、世界は彩りに溢れているんだろうね。 

 

 

※『くちなし』は短編集なのですが、『愛のスカート』はむしろ異色で他の作品からちょっと浮いてて、他の作品は意外にかなり幻想文学だったりします。

私は『花虫』も好きだ!

くちなし (文春文庫)

くちなし (文春文庫)

 

楽天の人はこちら ↓ 

 

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彩瀬まる『さいはての家』感想。安心と私たちの生活について。

家にいる、ということ 

家にいる、というのは、当たり前のようであって実はすごいことなんじゃないかと思う。

 

だって、そこにいていいのだ。

居ていい場所、なんだ。

会社だったら、就職するためにがんばって、通勤して仕事して周りの人とコミュニケーションをとって、、、などしないと、居てはいけない。

 

恋人同士だったら、愛し愛されていないと隣に居てはいけない。

夫婦なんて、おっかなびっくりすぎて目眩しかない。いない方がいいことだってある。

いない方がいいところは、あなたの家ではないよ。

 

家って、当たり前のようであって特別な場所だということを、思う。

たとえそれが仮住まいでも。

彩瀬まる『さいはての家』 

彩瀬まる さいはての家 表紙

彩瀬まるの新刊『さいはての家』は、とある一軒家にまつわる連作短編集だ。

その家を借りては、生きて、去っていく人たち。

 

帯が秀逸なので、この帯にピンときたら読んで!と思う。

この世から逃げたくて仕方がない。

それと同じくらい、この世に触れたくて仕方がない。

 

第一話「はねつき」 

全体がグッときすぎて私はもう何も書けない…と思っていたので、とりあえず最初の話についてだけ感想を書きたいと思う。

 

「はねつき」あらすじ。

スナックの雇われママをしていた私は、常連のおじさまと駆け落ちする。おじさまは「野田さん」、妻と子供を捨ててくる。野田さんは漱石を朗読してくれる。私は働く。私の名義で借りたこの家で。野田さんは、気の毒な私を助けたかったと言った。私たちにはばちが当たると思う。私は本を読むようになった。家の屋根裏にはねずみが住んでいる。

 

と、ここまでが前半のあらすじ。最初のうち頼りない主人公は 

馬鹿にされるのは、守られることに似ていると思う。(p10)

なんて言っているんだけど、途中から 

ああ、確かに私は馬鹿かもしれない。きらいはわかっても、憎しみはよくわからない。憎む力を持てずにここまで来た。(p26)

自覚し、 

いつだって、たくさんのものが痛みと恨みに震えてきたのだ。ただその振動に気づかないようにしていただけだ。(p33)

見つめる。

(こういう、新たな視点を獲得する系に読める話がとても好きだー)

 

そして「私」は世の中のからくりに気がつく。私たちにばちが当たらない理由はとても簡単なことだった。

そんなものだよ。

さあ、その視点を獲得したからには動かずにはいられないね。 

他の収録作品は

「ゆすらうめ」…汚れ仕事に失敗して逃げ込んだタクシーの運転手が幼馴染みだった、同じ団地で互いにかばったり見下したりしていた、どこにも行けない男2人。

 

「ひかり」…知識を蓄えて他人を守っているうちに小さな宗教団体を運営し始め、懸命になるあまり人のことが分からなくなり事件を起こし、逃げている女1人。ラストが良い。

 

「ままごと」…天真爛漫な姉と、しっかりものの私。無神経だが悪気のない彼氏に振り回されながら、親への不満やコンプレックスや執着を放置し合っていてもまだ寄り添う、若い姉妹2人。

 

「かざあな」…その場に合わせて生きてきたつもりが、思考を調整できなくなり、仕事からも新生児の我が子からも逃げずにいられなくなっていく、男1人。もがく。

どうして俺の中に、俺を殺そうとする考えがあるんだ!(p224)

大家さんの言葉が良い。

ちゃんと逃げて生き延びた自分を、褒めなよ、少しは。(p227) 

 

さいはての家 (集英社文芸単行本)

さいはての家 (集英社文芸単行本)

  • 作者:彩瀬まる
  • 発売日: 2020/01/24
  • メディア: Kindle版
 

即座にkindleになってるの、このご時世に嬉しいね!

表紙もかわいい。私は紙の本を愛でています。

今から彩瀬まるを読むなら、これがいいと思う。

(2023/01  追記

文庫になりました!

f:id:kimaya:20230121111206j:image

 

参考記事:

『さいはての家』著者:彩瀬まる|担当編集のテマエミソ新刊案内|集英社 WEB文芸 RENZABURO レンザブロー

 

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サラマーゴ『白の闇』を読んだ。今ってパンデミック小説の読み時…なのだろうか?

パンデミック悲喜こもごも

時期が時期なのでカミュの『ペスト』が本屋で売り上げランキング入りしてる(ていうかトップ)というのを見かけたり、

バズっているツイートで

などという内容を見かけたり。

この中なら、コレラは読みました。

コレラの時代の愛

コレラの時代の愛

 

『コレラの時代の愛』とてもよかった。しかしそんなに病気がどうこう、という記述の記憶はなく、暑かったのと、年齢を重ねてからの純愛…???みたいなものの記憶しかないなぁ。読んだのは10年前なのです。

 

意外に読みやすかったのでみなさんもぜひ。

 

今、コロナ禍で暇になった人は読書しようよ!とは言いやすいものの(かく言う私は仕事がダイレクトに減りました!)、パンデミックものを読む? 今??

みたいな気分にもなるよね。

でも、このへんのを臨場感たっっっっぷりに読むなら、今しかないよね???

とりあえずいってみる?

白の闇 ジョゼ・サラマーゴ

ということで、思わず買ってしまいました。新刊パンデミック。疫病モノ。

白の闇 文庫表紙

書評家のトヨザキさんもオススメされていたので、つい…。

白の闇 (河出文庫)

白の闇 (河出文庫)

 


私の読了ツイートは、こちら。

病棟パニック怖かった(涙)汚いの苦手だときっつい。。。あと犠牲になる系の話きらい。。。

街パニックになってからは、絶望はありつつゲームの世界みたいで、人の悪意が少なめになる分、気は楽になるけど事態は悲惨な。。。

ただ、ラストは収束して終わるので(ネタバレごめんなさい)、希望のある終わり方ではあった。

何をどうしたらいい、ということが書かれているのではなくて、パニック時にどういうことが起こりうるか、ということが書かれていた。銃が規制されている国でよかったよ日本…。 

その他のパンデミック

パンデミックといえば、私の中ではこれ一択。ウイルス・パニックパンデミック!

夏の災厄 (角川文庫)

夏の災厄 (角川文庫)

  • 作者:篠田 節子
  • 発売日: 2015/02/25
  • メディア: 文庫
 

こちらは有名かと思います。篠田節子さんは毎回筆力が高いというか、ぐいぐい引っ張っていく展開なので、とてもよかったです。

読みやすいので、日本文学で疫病パンデミックが読みたい方にイチオシ。

 

天使の囀り (角川ホラー文庫)

天使の囀り (角川ホラー文庫)

  • 作者:貴志 祐介
  • 発売日: 2012/12/04
  • メディア: Kindle版
 

あと、私この『天使の囀り』がショックすぎて忘れられないんですけど、これはホラーですかね。精神崩壊パンデミック。

ネタバレ厳禁だと思うので、『悪の教典』や『新世界より』とかで貴志祐介作品は好きかも…な人はぜひ、と思います。 

ネットで見かけたパンデミック小説

ペスト (新潮文庫)

ペスト (新潮文庫)

  • 作者:カミュ
  • 発売日: 1969/10/30
  • メディア: ペーパーバック
 

未読です。

ドゥームズデイ・ブック(上)

ドゥームズデイ・ブック(上)

 

あれ、コニーウィリスってSFでしょう?これも読んでいないかも。

 

その他、パンデミックらしいよ、と噂のものたち。

復活の日 (角川文庫)

復活の日 (角川文庫)

  • 作者:小松 左京
  • 発売日: 2018/08/24
  • メディア: 文庫
 
天冥の標Ⅰ メニー・メニー・シープ(上)

天冥の標Ⅰ メニー・メニー・シープ(上)

  • 作者:小川 一水
  • 発売日: 2013/01/25
  • メディア: Kindle版
 

 



他にもいろいろあるみたいですが、私の知っているのはここまでです!未読も含んじゃったけど!

 

果たして今、パンデミック小説は「読み時」だろうか?

臨場感あふれすぎてて怖さ倍!というスリルを求めるなら、アリ。

 

たくさん読んで生きましょう^^

 

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『本を読めなくなった人のための読書論』本を読もう、そして生きる。しかし無理はするな。

今までに本を読めなくなったことが二回ある。

新卒で一人暮らしをしながら働いていた時と、病気で入院して手術して退院したら元夫とガチ喧嘩して鬱になった時だ。

 

基本的に私は現実逃避もかねて読書をする傾向が強いので、

戻ってくる現実がつらすぎて耐えられない…と脳が判断したら、本を読まなくなる。

 

その前年は300冊読んでいても、どんなに図書館が近くにあってそのためにその家を借りたのだとしても、読めなくなる。

 

一度目の時は、一年の間に母が貸してくれた新刊を一冊しか読まなかった。ラストで号泣した。そして仕事を辞めた。

博士の愛した数式 (新潮文庫)

博士の愛した数式 (新潮文庫)

  • 作者:小川 洋子
  • 発売日: 2005/11/26
  • メディア: 文庫

 

二度目は、実家に帰って療養していて、そのへんに転がっていた知らない作家の分厚い本を読んだ。

航路(上) (ハヤカワ文庫SF)

航路(上) (ハヤカワ文庫SF)

 
航路(下) (ハヤカワ文庫SF)

航路(下) (ハヤカワ文庫SF)

 

めっっっっっちゃくちゃに面白かった。ただただ面白かった。

本が面白かったから、ご飯の味が分かるようになった。

ここから海外のSFを読むようになった。

【参考記事】

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色々と乗り越えた感じはあるので、もう多分、読まなくなることはないだろうと思っている、けど、

最近文庫になっていたので読んだ『悲しみの秘儀』がとても良くて

悲しみの秘義 (文春文庫)

悲しみの秘義 (文春文庫)

 

 

同じ作者の、こんな本を見つけてタイトル買いした。

f:id:kimaya:20200228065927j:image

本を読めなくなった人のための読書論

本を読めなくなった人のための読書論

  • 作者:若松 英輔
  • 発売日: 2019/09/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

まだ読んでいない。また本が読めなくなったら今度はこれを読もう、と思う。

ちなみに今現在は一瞬だけ死ぬほどバイトが忙しくてほとんど読めていない…オースターの新刊を買ったので、これを読むまでは死なない。

サンセット・パーク

サンセット・パーク

 

オースターの新刊を読むまでは死なない、を合言葉にここ10年くらい生きていて、わざと新刊を読まないようにしている時期もあって、ただ「オースターも柴田元幸も私より先に死ぬんじゃない?」ということに気が付いて戦慄している。

だれかたすけて。。。いや、私たちには町屋良平と彩瀬まると藤井光がいるんだけど。海外でこんなにハマれる人はまた見つかるだろうか、いや、そういえばまだマキューアン生きてた。

【関連記事】 

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最近おもしろいと思った、読書についてのツイート。

https://twitter.com/lemon___hh/status/1238484283284574208

 

それでは、またね。

 

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取りて読め。(引きこもり暇つぶしのすすめ)

いやな感じのニュースが続いたり、楽しみにしているものがなくなったり…みんなどうしてるー?

こういう時に、自分はすることないけど色々聞いてザワザワしちゃう勢のみんなは頓服飲んでね。アカウント消した人、またどこかで会おうね。

 

私は通常運転…、会社は大変そう。

「今受けてる注文はたくさんあるぞ!これは捌くぞ!」とも書いてあったので、すぐにどうこうなることはなさそう。

しかしリアルで「パートは休めないから辞めないといけない」って言っている人は、いる。

f:id:kimaya:20200228065606j:image

さて、

 

書いたものでオススメ、というか、こういう面白いのあるよ系でやってみますよカツセさん〜。

とはいえブログ周辺の人はそれどころじゃない人が多いように見えるので、カツセさんの想定している人たちに向けて。

今こそ家で楽しめるコンテンツ!

本を読む人

基本的には、本を探したいなら

honto.jp

hontoのブックツリーを漁るといいですよ。

 

私が紹介するとしたら、フィクション多めで新しめで

kimaya.hatenablog.com

kimaya.hatenablog.com

らへんです。

エッセイだとテーマ別にしていて、 

kimaya.hatenablog.com

kimaya.hatenablog.com

 

面白い系だと、こういうのとか。 

kimaya.hatenablog.com

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楽器を弾く人

楽器を弾くのであれば、私も最近毎日のように見ている

www.ufret.jp

がとても捗ります。

こないだ目撃したんですけど、プロも知らない曲はこれで調べてましたよ。そしてスクロール速度の加減に苦労するのは人類みな共通だった。

映画を見る人

例えば、Amazonプライムに加入しましょう。 

kimaya.hatenablog.com

 

U-NEXTもいいぞ!

参考記事→U-NEXTで映画『寝ても覚めても』を観た(感想はない - きまやのきまま屋

 

もしくはGYAO!です。

gyao.yahoo.co.jp

え、これ普通にYahoo!アカウントでログインしたらPCでも見られるの?知らなかった。便利じゃない?

私はFire TV Stickでテレビで見ています!

このアカウントをフォローしていると映画情報が得やすいです。GYAOの公式アカウントは映画以外のノイズが多い。

 

他に何があるかな…最近は、寝る前に、昔からずっと好きな曲をヘッドフォンで聴いている時間が、一番、あー幸せだー、と思います。

サブスクじゃなくてiPodの中に入っている曲を聴いたりしてます。ブランキーがサブスク解禁しないから(涙)

そういうのも込めて、一冊選ぶならこれ。

ミュージック・ブレス・ユー!! (角川文庫)

ミュージック・ブレス・ユー!! (角川文庫)

【紹介記事】 

kimaya.hatenablog.com

 

なにか思いついたらまた書き足します~ 

2020/02/15 オススメ恋愛小説編!人気作家サミット@王様のブランチ

2020年、人気作家サミット、第三弾

王様のブランチの「人気作家サミット」、今年は第三弾まである!

(瀧井さん、いつもお知らせありがとうございます。)

テーマ、恋愛小説だそうです。そういえば去年もありました、オススメ恋愛小説語り。

kimaya.hatenablog.com

去年とはメンバーが3人も変わったので、何が挙げられるのか楽しみ! 

辻村深月のオススメ恋愛小説

辻村深月って、恋愛もの、、、イメージないですね、書いてないですよね。一要素として取り入れてはいても、メインテーマにはしていない印象です。よく思い返すと『水底フェスタ』とか…?

最新作は、婚活モノ!

傲慢と善良

傲慢と善良

  • 作者:辻村 深月
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2019/03/05
  • メディア: Kindle版
 

 

そんな辻村さんのオススメ恋愛小説は、 

火口のふたり (河出文庫)

火口のふたり (河出文庫)

  • 作者:白石一文
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2015/08/21
  • メディア: Kindle版
 

あ、白石一文。うーん、そっちね!

私は白石一文の恋愛小説では『翼』を推してます。 

火口のふたり[Blu-ray]

火口のふたり[Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: バップ
  • 発売日: 2020/02/05
  • メディア: Blu-ray
 

映画についても触れられていました。意外に最近だ! 

 

中山七里のオススメ恋愛小説

今年の人気作家サミットのコーナーで中山さんファンになってしまいました。前から読んではいたものの、ご本人については一切知らなくて。

中山さんのオススメ恋愛小説は、こちら。 「コレしかない!」といってらした。

イニシエーション・ラブ (文春文庫)

イニシエーション・ラブ (文春文庫)

  • 作者:乾 くるみ
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2012/09/20
  • メディア: Kindle版
 

あー、どんでん返しのこれが、あれで、笑。

「恋愛自体がミステリのネタになっている」という中山さんのコメントは、確かに…と思いました。 

 

村田沙耶香のオススメ恋愛小説

去年の同じコーナーでは、『最愛の子ども』を挙げた村田さん。 

最愛の子ども (文春e-book)

最愛の子ども (文春e-book)

  • 作者:松浦理英子
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2017/04/28
  • メディア: Kindle版
 

これ面白かったですよね!百合…ではない…いや、そうかも…?

描写が丁寧かつ面白い系の作家さんなので、村田さん好きそう。 

さて、2020年に村田さんが挙げたオススメ恋愛小説は、こちら。

 

あとは切手を、一枚貼るだけ (単行本)

あとは切手を、一枚貼るだけ (単行本)

 

「あまり相談しなくて書いた」って本当?

圧倒的な天才作家のお二人の合作。どう仕上がっているのかぜんぜん予想がついてなくて手を出してなかったんですけど、気になってきた。堀江先生! 

 

古市憲寿のオススメ恋愛小説

恋愛小説…なんでこの人にそんなことを聞くのか?って思いますね(思いました)

それで、これですよ。島本理生の新刊!

夜 は お し ま い

夜 は お し ま い

  • 作者:島本理生
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/10/24
  • メディア: Kindle版
 

さまざまな境遇の「冷徹な女性」が神父のもとに集い…という流れの連作短編集。

 

ふるいっちゃん「怖かった」、辻村さん「ゾクゾクする」など、絶賛でしたね~。

読了しました!

 

あの、私は本当に、デビュー作が群像新人賞を獲らなかったときから、島本さん読んでいまして…好きなんだけど…

 

 

島本さんといえば。

あなたの愛人の名前は

あなたの愛人の名前は

  • 作者:島本 理生
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2018/12/14
  • メディア: 単行本
 

が最近一番よかったです。

 

それにしても、この作家サミットでの島本理生の人気っぷりが面白いです(笑)西さんも挙げてましたし! 

kimaya.hatenablog.com

 

さて、積み本が増えましたか?(小川洋子×堀江敏幸をポチりながら)

 

【2020年の人気作家サミット】

kimaya.hatenablog.com

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【過去の人気作家サミット】

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Twitter文学賞 2020年、第10回(終わらないらしいよ、やったね!)

Twitter文学賞の投票が始まったよ!

 

2月1日から、9日(日曜)まで!

投票しようかなー、と思っている人はお忘れなく&お早めに〜。

Book Room

Twitter文学賞とは?

前に書いたこの記事が

kimaya.hatenablog.com

この時期によく読まれているので、知りたい人がたくさんいるんだ!と思って、改めて書きます。

追記じゃ不親切かもと思って…。

ちょっと状況も変わっているのです。

 

まずおさらい、Twitter文学賞とは、

1年間に出た新刊小説の中でおもしろかった本を1作品だけ、ツイートで投票する文学賞。Twitterアカウントを持っていればだれでも投票することができます。 

Twitter文学賞事務局

というもので。 

2019年に出た本の中で一番好きだった、面白いから人に薦めたい、

そういうフィクションを、国内と海外それぞれ一冊決めて、

『作品名』・著者名・(出版社)を書いて、

国内編は #jtb10 、海外編は #wtb10 を付けてツイート するだけ!

(文庫化と復刊は除外だよ!)

(国内と海外、どちらか片方だけでも大丈夫!)

 

この手軽さゆえに?過去に、芸能人の著作にファンの投票が殺到したり、悪意なく「投票してねー」って呼びかける作家さんがいたり、したんですけど、

運営がその後どうにか丸くおさめていらっしゃるので、オールオッケーでしょう。不問でいいじゃないか。外野が騒ぐことではない。

 

楽しい賞なんですよ、私は一番すき。

そして、いい感じに「知らないけどすごく興味深い!」というラインナップ集まりがち。

そんな過去受賞作も、事務局の方々が順位をまとめてくれているから見て。

第9回Twitter文学賞(国内) | Twitter文学賞事務局

第9回Twitter文学賞(海外) | Twitter文学賞事務局

 

私は去年は、国内では津村さんのサッカーものに投票、(20票で7位!このへん僅差だったので津村さん推してよかった~津村作品でトップを争うくらい好きだ~)

ディス・イズ・ザ・デイ

ディス・イズ・ザ・デイ

  • 作者:津村記久子
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2018/06/07
  • メディア: 単行本
 

これを、姫野カオルコの『彼女は頭が悪いから』(結果、5位になってた)と迷ったんですけど、読後感の良さを重視して津村さんにしたので、

海外は逆にそっち系にしようと思って、 

82年生まれ、キム・ジヨン (単行本)

82年生まれ、キム・ジヨン (単行本)

  • 作者:チョ・ナムジュ
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2018/12/07
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

こちらに投票したら、21票で2位でした! 

ミランダ・ジュライ圧勝。

 

ガチで本を多く読んだ中から投票する人もいれば、数冊しか読んでないけど心揺さぶられた本をオススメしたい人もいるので、アツめのラインナップになりがちです、良い。 

 

そして、こういう形式なので、「一人しか投票していない本」もあるんですよね。

私も以前、「私しか投票してないやん、これ」ってなったことあるんですけど、座談会で取り上げていただけたので逆に作家さんに貢献できた気がしています(勝手に)

白椿はなぜ散った

白椿はなぜ散った

  • 作者:岸田 るり子
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2011/08/19
  • メディア: 単行本
 

岸田るり子いいじゃん、、、。(佐々木敦さんが同意してくださいましたよ) 

 

きまやはこういうのに投票しています

これだけ見ていると私、女性作家さん好きすぎ?ってなりますが、その前は

異郷の友人

異郷の友人

  • 作者:上田 岳弘
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2016/01/29
  • メディア: 単行本
 

で上田さんに投票したり(その後、芥川賞獲りましたね!)

夜、僕らは輪になって歩く (新潮クレスト・ブックス)

夜、僕らは輪になって歩く (新潮クレスト・ブックス)

 

アラルコン&藤井光を激推し!したりしています。 

 

私がこの10年(だいたい毎年)何に投票しているかを知りたいと思った人がもしいたら、ツイログを見ていただければ。

(国内)きまや(@kimaya4125)/「jtb」の検索結果 - Twilog

(海外)きまや(@kimaya4125)/「wtb」の検索結果 - Twilog

 

煩悶している年もあって面白いです。

コールド・スナップ

コールド・スナップ

  • 作者:トム・ジョーンズ
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2014/08/13
  • メディア: 単行本
 

今年で最後です

運営を引き継ぐ人さえいれば存続かも、という噂を見かけたこともありましたが、今年、10回目で最後にするそうです。

 

ボランティア運営とのことで、忙しくて大変なんだろうなと思います。中継したり、順位をまとめたり、表彰したり、やることたくさんですもんね…。

 

すごくすごく楽しませてもらって感謝しかない。これで知った作家さんたくさんいます。

おかげさまで、人と本の話をしていると「きまやさん詳しいですね」って言ってもらうことが多いんですけど、Twitter文学賞全作品チェックしてたらこれくらいは知れますし私より詳しくなれます、マジで。

 

だから、投票しませんか?

私もするけど、去年何読んだっけ???

何にするかめちゃくちゃ悩みます…!絲山秋子も彩瀬まるも長編の新刊出したし、ていうか町屋良平って2019年に4冊出してない?なんなの??

海外は雰囲気としてルシア・ベルリン一強に見えるので、何がそこに食らいつくのか見ものだと思っています。『三体』かな?

 

※2020年も投票しました!

まず海外。

悲しすぎてルシア・ベルリンが読み通せなかった…悲しすぎて死ぬかと思った…ので、ジュンパ・ラヒリにしました。テーマは似ていると思います。詩的で好きでした。

わたしのいるところ (新潮クレスト・ブックス)

わたしのいるところ (新潮クレスト・ブックス)

  • 作者:ジュンパ ラヒリ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/08/23
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

愛が嫌い

愛が嫌い

  • 作者:町屋 良平
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2019/06/27
  • メディア: 単行本
 

悩んだけど、これで。

人間関係の多様性を推していきたい、という気分になっているんです!他のものが浅いとかでは決してなくて、単に分かりやすく「理由もなく縁だけで『他人と』ゆるく関わる」様子を書いているのが、これでした。

 

結果発表が楽しみ

ちなみに、結果発表@本屋B&Bの様子はYouTubeにアップされます。こちらは2019年の第9回。

第9回Twitter文学賞、結果発表 - YouTube

 

結果発表の座談会のゲストがはちゃめちゃに豪華です。去年は

  • 豊崎由美さん
  • 大森望さん
  • 佐々木敦さん
  • 杉江松恋さん
  • 倉本さおりさん

でした。このメンバーで本の話をわいわいするのを眺められるって至福すぎるしジャンルが幅広すぎてメモが捗ります。

 

今年の結果発表は3月7日だそうです! 

 

 

結果です!こちらのサイトから全部見れます!

Twitter文学賞事務局

 

 

そして第二期として、Twitter文学賞の続投が決まったそうです!

来年も楽しみー!

 

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2020/01/25 人気作家サミット@王様のブランチは漫画作品のオススメ!

人気作家サミット@王様のブランチ

前回の続きが放送されましたね!2020/01/25の放送は、2020年の2回目です。

今回も、瀧井さんのツイートで知りました。いつもありがとうございます。 

今回は、漫画編だそうです。

漫画といえば、以前に島本理生がこのコーナーに出た時に、『ちひろさん』を挙げていて、「わかる……」と思った記憶があります。好きそうだ。私も好き。

ちひろさん 1 (A.L.C. DX)

ちひろさん 1 (A.L.C. DX)

  • 作者:安田弘之
  • 出版社/メーカー: 秋田書店
  • 発売日: 2014/07/18
  • メディア: Kindle版
 

 

さて、前回から急にメンバーが変わっていることで物議を醸している(私の中で)、この人気作家サミットですが。

前回の放送を見て、私は中山さんが何を挙げるのかを楽しみにしています! 

辻村深月のオススメ漫画 

辻村さんたくさん著作がありすぎて、色々なものの話をしたすぎて、『凍りのくじら』も『島はぼくらと』もいいよね…とか言いたいんですけど、

一番有名なのは映画化もされた『ツナグ』なのでは?と、やっと思い至りました。 

ツナグ (新潮文庫)

ツナグ (新潮文庫)

  • 作者:辻村 深月
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2012/08/27
  • メディア: 文庫
 
ツナグ

ツナグ

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

しかも、映画はAmazonプライム無料に入ってますね!!!これはいいな、観てないので見よう。

代表作から読んでみたい、という人にオススメできるハートフルな作品『ツナグ』。

 

さて、辻村さんのオススメ漫画は!

魔入りました!入間くん 1 (少年チャンピオン・コミックス)

魔入りました!入間くん 1 (少年チャンピオン・コミックス)

  • 作者:西修
  • 出版社/メーカー: 秋田書店
  • 発売日: 2017/07/07
  • メディア: Kindle版
 

ハートフル、学園、悪魔モノ!

「今日も幸せでよかった…という涙が出る」っておっしゃってた。辻村さんが幸せなら、私も嬉しいです。ありがとう入間くん。読むよ。

中山七里のオススメ漫画

「平台に置いてある漫画は趣味関係なく読む」発言、素敵。

 

中山さんのオススメ漫画は

空腹なぼくら(1) (ビッグコミックス)

空腹なぼくら(1) (ビッグコミックス)

  • 作者:友安国太郎
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2019/12/26
  • メディア: Kindle版
 

ゾンビー!!!

はー、ゾンビもの流行ってるんだなぁ。でもそんなに絵柄怖くない感じかな。

 

主人公は、知性と感情があるままでゾンビなんですって。そして「人類養殖計画」って、え、でも、見つけた女が元カノって、、、めちゃくちゃ面白そう。

Kindleあるのでポチですね。中山さんに乗せられました。

古市憲寿のオススメ漫画

ふるいっちゃんはもう少し猫好きを強くアピールしていくといいと思います!(インスタをチェックしてるファン

 

前回も軽めのSFを紹介してくれたり、サブカルに強そうな古市さんのオススメ漫画は

ワンダンス(1) (アフタヌーンKC)

ワンダンス(1) (アフタヌーンKC)

  • 作者:珈琲
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/05/23
  • メディア: コミック
 

ダンスもの?青春もの。

「言葉がいらない自己表現」としての踊り。世界とつながるものはなんでもいいんだなby古市。

喋りだけが自己表現ではない、というのは、色々な事情を抱えた人には救いになりますよね。

 

村田沙耶香のオススメ漫画

村田さん〜!私は『ギンイロノウタ』らへんも好きです!

 

芥川賞をとったあとも、快進撃を続ける村田さんのオススメ漫画は、これ。

サブリナ

サブリナ

  • 作者:ニック ドルナソ
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2019/10/17
  • メディア: 単行本
 

ん、漫画?グラフィックノベル、と言われるやつです。ブッカー賞ノミネート作として有名。

 

Twitterと実店舗で、存在は確認していて気になってはいたんですけど、、、村田さんこれ好きなのか、、、。なるほどなぁ。

というか、好きを超えて「読み終えて寝込んだ」とおっしゃってましたね。

 

私は『サブリナ』を訳された藤井光さんのファンです。訳作品が多すぎて追えてないけど、藤井さんはハズレがない。

あれ、Amazonもうない?値段にびびって買えなかったんですよ…本屋で見かけたら買いかなぁ…。

 

 

今回、知らない漫画ばかりですごく面白かった!

漫画好きな人が熱く語ってくれるの、見ていて楽しいですね。

次回も楽しみにしてます!!!

 

【続きはこちら】

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【前回の放送はこちら】

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【去年の放送はこちら】

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【朝井リョウについて】

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2019年下半期のオススメ本9冊!なるべく新刊で!

2020年に入ってから佐々木中に手を出して青ざめているきまやです。なぜか。そういう巡り合わせだったからとしか言えないけど面白い体験でした。

 

2019年下半期の読了本は76冊でした。あら、上半期と同数。その中からなるべく新刊で、ベスト9冊を選んでいきます。

どこかの誰かの読書の参考になれたら嬉しいです!

 

上半期のオススメはこちら。

kimaya.hatenablog.com

森があふれる 彩瀬まる

とてもよかったので書評を書きました。織田作之助賞は獲らなかったみたいなんですが、推していきたい。(窪さんが獲った) 

kimaya.hatenablog.com

森があふれる

森があふれる

  • 作者:彩瀬 まる
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2019/08/08
  • メディア: 単行本
 

私がずっと読みたかったのは、きっと、こういう話だったんだろうと思う。

たくさんの「どうして」を内包して緑だけが繁殖をやめない。作家VS描かれる対象、でもあり、フェミっぽい流れで紹介されてもおかしくないと思うんですが、いかがでしょう。

平場の月 朝倉かすみ

これ、刊行は2018年末でしたね!

大人の恋愛もの、上半期は絲山秋子に泣き、下半期は朝倉かすみに泣きました。 

平場の月

平場の月

  • 作者:朝倉かすみ
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2018/12/13
  • メディア: 単行本
 

第32回山本周五郎賞を獲っています。映画化もされるとか。

50代の恋愛なんですけど、これがね、地味かつ沁みる。

話の構成が素晴らしかったし、日常を生きるとは、と考えを改めさせられる一冊でした。そして私はやっぱり、結婚はしておいた方がいいと思いました、好き同士なら法律を。

朝倉かすみ 『平場の月』 特設サイト | 文芸図書編集部 | 光文社

 

あれ、『平場の月』も映画化?

 

あなたの愛人の名前は 島本理生

これも刊行は2018年末。もう新刊も出ています。が、これがよかったんですよ。

島本理生が本気で刺しに来たら、こうなるの。 

あなたの愛人の名前は

あなたの愛人の名前は

  • 作者:島本 理生
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2018/12/14
  • メディア: 単行本
 

連作短編集の形をとっていて、何が何でも、どこかの誰かを何らかの角度から絶対に一筋、スッと刺してやろうって(もちろん比喩です)、そんな気概を感じた。 

 

同世代女性におすすめしたい、けど読まない方が平和かもしれない、私は好きだぞ、そんな作品。

ラストはちょっと救われていてよかった。 

愛が嫌い 町屋良平

町屋良平を読みまくった一年だったね…。デビュー作から読み返していました。文庫になったし。

デビュー作『青が破れる』って私はピンとこないんだけど、それを見逃さない選考委員、藤沢周・保坂和志・町田康。ありがとうございます。

そして文庫には!

尾崎世界観との対談『表現者は動き続ける』が載ってます。これはみんなに読んでほしい。世界観がいいぞ。

青が破れる (河出文庫)

青が破れる (河出文庫)

  • 作者:町屋良平
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2019/02/05
  • メディア: 文庫
 

 

 

さて、2019年にたくさん読んだ中でも、これが一番好きでした。

愛が嫌い

愛が嫌い

  • 作者:町屋 良平
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2019/06/27
  • メディア: 単行本
 

中編が3つ収録されています。「しずけさ」「愛が嫌い」「生きるからだ」。

 

ちょっと世間からはみ出している大人や子供の話。

町屋良平って、終わり方が独特じゃない?別にラストに向かって加速しないのに、最後、ふわって放り出されるでしょう、天に向かって。

そこがとても好きだと思う。

葉にしたたる滴がひかりを反射すると、川がごうごうながれ、かれは、なにかを閃いた。(中略)五歩でその天啓を忘れ、忘れたあとに、このままで生きていこう、とかれはおもった。とくにインスピレーションの要らない人生だった。なにかを表現したらたちまち暴力になってしまうのでかれはこわい。

「生きるからだ」p251 

図書室 岸政彦

表紙の写真と題字が岸さん本人作であることに、まずぐっときますね。 

図書室

図書室

  • 作者:岸 政彦
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/06/27
  • メディア: 単行本
 

表題作「図書室」と「給水塔」の二編が収録されています。 

「図書室」は、小学生の女の子が主人公。関西弁がここちよく、図書室で仲良くなった男の子との掛け合いがおもしろいです。

それが意外な方向に進み、ある年の大晦日にちょっとした冒険が始まります。

 

「給水塔」は、岸さんの自伝的要素があるのかな。何回か読んだら、これこそが私の中の「大阪」になりそうです。 

 

ここから海外文学!

ある一生 ローベルト・ゼーターラー

困ったらクレストブックスを読もう。薄くても濃い。

20世紀の、一人の男の人生です。働いたり、得たり、無くしたり、人生のすべて。

セリフが少ないんですけど、風景描写がとてもきれいでスラスラ読めます。 

ある一生 (新潮クレスト・ブックス)

ある一生 (新潮クレスト・ブックス)

 

最後だいたい花が咲いているのが、とても好き。 

 

回復する人間 ハン・ガン

あのね。

これ読んで、ちょっと回復した。 

回復する人間 (エクス・リブリス)

回復する人間 (エクス・リブリス)

  • 作者:ハン・ガン
  • 出版社/メーカー: 白水社
  • 発売日: 2019/05/28
  • メディア: 単行本
 

ありがとう。

回復って、取り戻すことなのかもしれない、と私は思いました。 

刑罰 シーラッハ

シーラッハの『犯罪』シリーズ、最新作は『刑罰』でした。12篇入っています。訳は、お馴染みの酒寄先生です。

刑罰

刑罰

 

「おれは物乞いじゃない。ウサギ小屋を持っていてね。四匹飼っている。毛並みがふわふわなんだよ。毎日、野菜を与えている。金なんていらない。なにもかも静かに話せる相手がほしいんだ。自分ではもうなにも理解できない」

『刑罰』p196「テニス」 

犯罪に巻き込まれた人々は大抵、なにをどうしていいか分からなくて、誰を憎めば報われるのかも、明日をどうすれば救われるのかも、なにもわからない。

大事な誰かが滑稽な死に方をしたり、残虐な殺され方をしたりしながら、残された人たちはそれでも、死ぬこともできないで、刑罰と向き合う。

そんな短編集。悲惨さと日常は紙一重でした。

 

最後に詩集・歌集を。 

今日は誰にも愛されたかった 谷川俊太郎・岡野大嗣・木下龍也 

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谷川俊太郎が好きなんですよ!

【参考記事】

kimaya.hatenablog.com

 

そして、歌人ではこの2人が好きです。

kimaya.hatenablog.com

 

そんな3人の「連詩」が前半にあり、そのあとになんと「感想戦」があります。

何をどう思って書いたのか、何に気をつけたのか、どこに引きずられそうになったのか、など創作秘話がてんこもりでした。こんな詩集ってある?

3人はとても仲良しそうでしたよ。

 

さて、2020年オリンピックイヤーも、楽しく読んで生きましょうね。

 

※番外編

新年早々いいものを読んで泣いていました。

悲しみの秘義 (文春文庫)

悲しみの秘義 (文春文庫)

  • 作者:若松 英輔
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2019/12/05
  • メディア: 文庫

【これまでのオススメ本】

kimaya.hatenablog.com

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kimaya.hatenablog.com

kimaya.hatenablog.com

kimaya.hatenablog.com¥

2020/01/11 人気作家サミット@王様のブランチで紹介された本たち

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人気作家サミット@王様のブランチ

人気…コーナー?年に2回あっているくらいでしょうか。

今回けっこうガラッとメンバーが変わっていてびっくりしました。

朝井リョウのいない人気作家サミットなんて。西さんまでいないし。さやかはいるのか。みえたんとりおたんはいないのか。人選が不明。 

 

最初になぜか『スワン』の話をされていましたね。中山さんと辻村さんが直木賞の流れで推してらっしゃった。 

スワン

スワン

  • 作者:呉 勝浩
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/10/31
  • メディア: 単行本
 

 

辻村深月のオススメ本

直木賞作家&本屋大賞でも一位獲ったことがある辻村さん。辻村さんってけっこう、色々なところで本を紹介しているイメージがあります。読書家さん!

最近の作品は読んでないなぁ…『朝が来る』はよかったけど、もっと初期の方がなじみがあります。『オーダーメイド殺人クラブ』いいよね!

でも婚活モノという新作は気になっています。

傲慢と善良

傲慢と善良

  • 作者:辻村 深月
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2019/03/05
  • メディア: 単行本
 

※読みました!

 

辻村さんがイチオシされたのは、こちら。

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十二国記

うちにもあります、はい。(すみません私は未読で、母が読んでます)

白銀の墟 玄の月 第一巻 十二国記 (新潮文庫)

白銀の墟 玄の月 第一巻 十二国記 (新潮文庫)

  • 作者:小野 不由美
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/10/12
  • メディア: 文庫
 

18年待ったって!

 

中山七里のオススメ本

初めてお顔を拝見しましたが、とても優しそうな人だね。オススメ本は、 

海外ミステリクラスタのみなさん、気になりますね。

最近「レイチェル」多すぎですけど、あらすじ聞いた感じ私とても好きそう、と思って読みましたよ~。

スピーディな展開、誘拐されたりしたり!すごくおもしろかったです。

The Chain (English Edition)

The Chain (English Edition)

  • 作者:Adrian McKinty
  • 出版社/メーカー: Mulholland Books
  • 発売日: 2019/07/09
  • メディア: Kindle版
 

 

中山さんはやっぱり、ドビュッシーよかったよね! 

さよならドビュッシー (宝島社文庫)

さよならドビュッシー (宝島社文庫)

  • 作者:中山 七里
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2011/01/12
  • メディア: 文庫
 

ラフマニノフも好きだったし、このシリーズ好きなんです。

あ、あとドラマ化されていた静おばあちゃんシリーズも好き。でも作品が多いので全部は追えてないです>< 

  

村田沙耶香のオススメ本

さやかー(泣)

本をオススメしながら思い出し泣きをしていた芥川賞作家、村田さん。その本は

こちら。 

星の子 (朝日文庫)

星の子 (朝日文庫)

  • 作者:今村夏子
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2019/12/06
  • メディア: 文庫
 

え、今村作品でいうならむしろ新作で芥川賞を受賞した『むらさきのスカートの女』の方が、村田さんは好きそうな気がしてしまった、意外かも。 

 

『星の子』は、主人公が少女。そういえば『しろいろの街の、その骨の体温の』に通じるものがあるかもしれない。いや、比べると『しろいろの~』の女の子は早熟すぎるか。

『星の子』みたいな少女性は、村田さんは書かないものだからこそ、惹かれるのかもしれないですね。

【今村夏子の関連記事】

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しろいろの街の、その骨の体温の

しろいろの街の、その骨の体温の

  • 作者:村田沙耶香
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2013/03/11
  • メディア: Kindle版
 

(私、クレイジーさやかがクレイジーに振り切っちゃう前の作品けっこう好きなんですよ。もっと評価されていいでしょう、このあたりも!) 

 

ちなみに放送を見ている時の私。 

『星の子』、2017年下半期ベスト9に入れてました。好き。 

 

古市憲寿のオススメ本

令和元年のゲーム・キッズ (星海社FICTIONS)

令和元年のゲーム・キッズ (星海社FICTIONS)

  • 作者:渡辺 浩弐
  • 出版社/メーカー: 星海社
  • 発売日: 2019/07/16
  • メディア: 単行本
 

人生ガチャ、ショートショートなど、軽く読めそうなSFなのかな?本人の雰囲気と違う気がしますが、実際に好んで読むのってこっち系なのか~。 

 

私はそもそもふるいっちゃんが好きなので、なんかもう、変なこと言わないで炎上しないで…って祈りながら見ていました。でもごめん、フィクションの方ぜんぜん読んでない。もうあなた芥川賞ノミネート断って好きに書いたらいいやん…。

 

ピースボートから読んでるけど、これが好きかな。

だから日本はズレている (新潮新書 566)

だから日本はズレている (新潮新書 566)

  • 作者:古市 憲寿
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2014/04/17
  • メディア: 単行本
 

 

新作『奈落』は評判いいみたいですね。

奈落

奈落

  • 作者:古市 憲寿
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/12/24
  • メディア: 単行本
 

 

今回もなかなか面白いコーナーでしたね!またあるといいな。 

 

 

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おすすめ食エッセイを4作ご紹介、そしてこれから読むメモ

ごはん物エッセイってたくさんありますねぇ。表現のうまさ真骨頂!みたいな感じがするので、作家さんのエッセイが好きです。

今回は食に関するエッセイを集めながら、読み終わった分でオススメしたい本について解説をします!

わたしを空腹にしないほうがいい くどうれいん

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歌人の、くどうれいん。

Amazonで取り扱いがないのかな?私はajiroで買いました!知り合いイチオシだったので!

みずみずしい文章とはこのことよ、とため息をつきます。お若い方のようですけどそれを差し置いてもみずみずしすぎる、才能か。

 

短い文章が続くんですが、その中でご飯を作ったり食べたり、勢いがあったりしんみりしたり。1ページにこれでもかと盛り込んでくる。ご飯が美味しそうで、生きていくのが楽しそう。

『六月のミラーボールに暴かれて』が好きです、p22、完璧な12行。タイトルの五七五もいちいち必見です。 

 

本屋で見かけたら必ず買ってください。損はさせないので。通販があるのかな?

わたしを空腹にしないほうがいい 改訂版 | H.A.Bノ通販

 

くどうれいんさんは、このあとに『うたうおばけ』というエッセイを出しています。とてもよかった!  

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あはは、エモとか言って遊んでる場合じゃないじゃん古い大人たち!

 

わるい食べ物 千早茜

f:id:kimaya:20190305204108j:image

千早茜が妙に気になって仕方がないここ数年です。

kimaya.hatenablog.com

 

彼女の初エッセイがご飯ものでくるとは!?と驚きました。

わるい食べもの (単行本)

わるい食べもの (単行本)

 

でもそういえば、新作『さんかく』はご飯ものと言っても過言ではないくらい、延々とご飯を食べていましたよね(てきとーに食べる人も出てきて、対比になったり) 

最近とくに、食べるシーンが重要になっている小説をよく書いている印象の千早茜。『神様の暇つぶし』も、すごくよく食べてた。生きていく限り食べる、という気迫があった。

さんかく

さんかく

  • 作者:千早 茜
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2019/10/31
  • メディア: 単行本
 

 

このエッセイ『わるい食べもの』では、書いてあることが突飛だっていうことじゃないんですよね。

でも、どこかが確かに偏屈。

性格として芯が強いんだろうなということをうかがわせる、食の好み。

 

食を語ることは、人生観を語ることに近しいのかもしれないよね。 

 

続きが出ました!

しつこく わるい食べもの

しつこく わるい食べもの

  • 作者:千早 茜
  • 発売日: 2021/02/26
  • メディア: 単行本
 

 

ごはんぐるり 西加奈子

ごはんぐるり (文春文庫)

ごはんぐるり (文春文庫)

 

タイトルの「ぐるり」とは、周辺という意味だそうです。

カイロに住んでいた幼少期から、大人になって旅や料理をするようになってからの色々。西さんは、料理好きそうなイメージある!

 

西さんのエッセイは話し言葉が生き生きしていて、食を愛することは国そのものを愛することなんだなと思います。正解の話が偏ってて楽しい。

 

そして思うんですけど、西さんって自意識としっかり戦う人ですよね。だからこそ『i』とか書くんだろうけど。『サラバ!』もそうだっけ。

千早茜が意外にそのへんから自由なのに比べると、西さんは少し大変そう。とても気を遣っているというか…。

 

そういう、女性作家さんの偏りが好きなんだよ私は!

 

B級恋愛グルメのすすめ  島本理生

恋バナとごった煮でいいなら島本理生のこれもアリ…?

これ、読んだけどそんなにグルメネタの印象はないんですよね…。最近Kindleになってたので、ご紹介。

ちなみに私は昔からユヤタンが好きです。だから多分グルメネタが目に入っていない。

恋バナついでに、確かそのへん(結婚・再婚)も触れられていたと思うんですよね。再読したいです。

B級恋愛グルメのすすめ (角川文庫)

B級恋愛グルメのすすめ (角川文庫)

  • 作者:島本 理生
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/09/20
  • メディア: Kindle版

 

ここからは積み本です!

やっぱり食べに行こう

やっぱり食べに行こう

やっぱり食べに行こう

 

原田マハって旅エッセイのイメージ、と思ったら『フーテンのマハ』を読んだことがあるからでした。

アート!旅!グルメ!

kimaya.hatenablog.com

 

今日もごちそうさまでした

今日もごちそうさまでした (新潮文庫)

今日もごちそうさまでした (新潮文庫)

 

角田光代、エッセイは猫ものと旅ものしか読んでいないので、気になります。

あーでも確かに食べるの好きだよね角田さん。ワイワイと楽しく呑み食いしてるイメージ。

kimaya.hatenablog.com

 

巴里の空の下オムレツのにおいは流れる 

巴里の空の下オムレツのにおいは流れる (河出文庫)

巴里の空の下オムレツのにおいは流れる (河出文庫)

ちょっっとずつ読んでいます!しかし年内には無理でした…。描写が胸に迫るので、一気読みできないんですよね…。

続編もあります。

東京の空の下オムレツのにおいは流れる (河出文庫)

東京の空の下オムレツのにおいは流れる (河出文庫)

 

旅行者の朝食 

旅行者の朝食 (文春文庫)

旅行者の朝食 (文春文庫)

エッセイと言えば、いつか紹介したいのが米原万里。これを買って積んでます。

 

味なメニュー 

味なメニュー (新潮文庫)

味なメニュー (新潮文庫)

  • 作者:平松 洋子
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2018/11/28
  • メディア: 文庫
 

平松洋子さんを一冊も読んだことがないので、気になっています。いつも表紙が美味しそう。

 

私の好みが反映されて、女性作家さんばかり!

読み終わったら追記していきます!

 

 

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